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【復旧は】豪雨災害で運休続くJR肥薩線 3日に方針決定か 沿線の人たちの思いは

2024年4月2日 19:21
【復旧は】豪雨災害で運休続くJR肥薩線 3日に方針決定か 沿線の人たちの思いは
熊本豪雨で被災し運休が続くJR肥薩線。3日、JR九州と国・県が検討会を開き、肥薩線の復旧に関して何らかの方針を示すとみられます。復旧に向け課題なのが、「住民が日常利用できるのか」。沿線に暮らす人を取材しました。

球磨川沿いを抜けながら熊本と鹿児島を結ぶJR肥薩線。2020年の熊本豪雨で被災し、八代駅と鹿児島県の吉松駅を結ぶ86.8キロの区間で運休が続いています。

約2年にわたりJR九州と国、熊本県で協議されてきた肥薩線の復旧。議論の中心は、鉄道として復旧できるかどうかです。大きなネックの一つが復旧費用。JR九州が示した金額は総額約235億円です。このうち国が負担する河川や道路の整備として重なる金額を差し引いた76億円を、国とJR、県で平等に負担する予定です。

しかし…。
■JR九州 古宮洋二社長(2023年11月30日の会見)
「国の金を使って200億使って、乗客が毎日ウン十人しか乗りませんでしたというのが本当にいいのかというので、我々は持続可能性、肥薩線を今後、どうしていくのかというのが必要じゃないですかと」

30年あまりの間に乗客は約5分の1まで減った肥薩線。熊本豪雨前の1日の平均乗客数は400人余り(2019年414人)で、年間約6億円の赤字経営でした。

一方、県と沿線自治体は、地域の振興にもつながるなどとして「鉄道による復旧」を求めています。去年12月には、県と沿線自治体で「復興方針案」を提案。2033年度に八代、人吉間で鉄道を復旧することを基本方針とし、新たな観光列車の導入や宿泊施設の整備などで「観光の再成長」を目指すとしました。

これに対しJR九州は、観光だけでなく、沿線住民の日常利用を加えた2本柱にすべきと指摘しています。

■藤木紫苑記者
「復活の鍵を握るのが地元の人たちの日常利用です。沿線住民の今の気持ちを聞きました」

■地元の人(人吉市)
「ぜひ復旧しないと、私たちは高齢で、いつ免許が…車に乗れなくなるか分からないので、公共交通機関の必要性をこれほど感じたことはない」

現在も人吉・球磨地域から八代方面には高速バスが運行していますが…。
■地元の人(人吉市)
「高速バスを予約し、てそれから熊本市まで新幹線で行ってと、とても時間もかかりますし、今は特にバス停までけっこう時間かかりますね」
■地元の高校生(あさぎり町)
「親が仕事で朝、忙しく、そういう時は自転車で行かなきゃならなくなるので、(鉄道がないのは)不便だと思います」

一方でこんな声も…。
■地元の人(人吉市)
「できないのはあきらめて、(鉄道事業を)しない方がいいんじゃないかと思う。バスも空で乗っている人はいない」

八代市にあるJR肥薩線の坂本駅。列車の運休が続く中、去年10月から乗り合いタクシーが運行されています。
■地元の住民
「乗り合いタクシーは利用するといっても大変です。肥薩線は、ないよりはというか、なきゃだめだもん」
■地元の住民
「地元の足がないからね。1本でも2本でも通ってくれた方がいいんじゃないんですか」

そして、鉄道の復旧に期待を寄せるのが沿線の観光業者です。
■球磨川くだり船頭 藤山和彦さん
「水害で4年近く通らないと、寂しい気持ちと移動手段があまりないというので問い合わせもある。前みたいに肥薩線が開通して、観光客の皆さんに人吉・球磨を訪れてもらい、球磨川くだりにも、ぜひ大勢の方に来て欲しい」
■人吉温泉女将の会 さくら会 有村政代会長
「時間はかかるかもしれないが、絶対にやるということで決まれば、私達の未来に向かって 頑張る意欲も出てくるので、OKが出るよう大いに期待している」

2月に開かれた協議会で、県や地元自治体は、県や沿線市町村の職員が公務での移動で肥薩線を優先して利用することや、肥薩線の駅から乗り継ぐ二次交通の充実などを地域一丸で取り組むとしました。

3日に再び開かれる3者による協議会。肥薩線の復旧方針が示されるのか、注目されます。