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隣の中学校と合同で部活を!熊本市で初の取り組みスタート

2024年4月29日 21:10
隣の中学校と合同で部活を!熊本市で初の取り組みスタート

少子化や教員の過重労働の問題を受けて、公立中学校を中心に「部活動の改革」の議論が進んでいます。課外活動を通した豊かな学校生活を守ろうと、熊本市では初めて2024年度から2つの学校の部活動が連携する取り組みが始まりました。

熊本市中央区の江南中学校。
放課後、新1年生がそろって学校を後に…。
同じころ。歩いて10分ほどの距離にある隣の江原中学校。同じように教員が生徒を引率し学校を出発しました。

それぞれが向かったのは…お互いの中学校!目的は、この4月から始まった「合同部活動」です。
この日は「拠点校型」の部活動体験です。入学した学校に希望する部活動がなかった場合も連携する学校の部活に入部することができます。

江原中で始まったサッカー部の練習にサッカー部がない江南中の生徒が加わります。
体験した江南中の生徒は…

■江南中サッカー部を体験した生徒
「サッカー部とても楽しかった。江原中でやりたくなりました」
「(サッカーを)できないなら他のところでやることも考えたんですけど、江原中でできるとなって本当によかったです」

このほか、それぞれの学校に部活動があるものの部員数の不足などで試合に出られない場合などに合同で出場ができる「合同型」の部活動も導入されます。

指導者には教員だけでなく競技経験がある地域の人材を活用します。この2校には教師に加え地域指導員が1人ずつ配置されています。

■ソフトテニスを指導・山下博司さん(73)
「今までの自分の経験を次の子どもたちに伝えてあげられればいいかなと思う」

こうした取り組みはあくまで「希望する部活動ができない生徒の選択肢を奪わないこと」が目的で、試合に勝つための人材集めをしないことが条件です。

今後、熊本市教育委員会は競技経験がある大学生や退職した教員などによる「人材バンク」を設立し、地域の指導者を安定して確保するとともに、指導者や教職員への活動の対価を支払うことを検討しています。

■江南中学校・星田正治校長
「教員の働き方改革っていうのも 今たくさん言われていますが、やはり子どもたちが生き生きと中学校時代を送っていくための改革でなければいけないと思う。たくさんの知恵を借りて、熊本市ならではの部活動改革に向けて取り組んでいってもらいたい」

広がる、多様な部活動の在り方。体験会に参加した1年生のうち数名は隣の中学校の部活動への入部が決まったということです。

主に公立中学校の部活動をめぐっては、民間団体に委ねて新たな運営形態の構築を目指す「部活動の地域移行」が文科省の指導のもと、2023年度から始まっていますよね。

背景には教員の働き方改革に加え少子化や指導者不足などもありますが、熊本市教委は完全に地域移行をするには指導する人材が足りないなどとして、あくまで「学校主体」の部活動を継続したい考えです。
熊本市では今年度から、紹介した2校が連携校の第1号として拠点型の合同部活動の取り組みが始まりました。

子どもたちが部活動など学校以外の課外活動で得られる喜びや経験の場をどのようにして守っていくか学校や地域で試行錯誤が続きます。