【政令市で最悪】経済損失は年間2890億円!?熊本市の渋滞 どれほどひどい?実態を調査
(花木瞳記者)
熊本市と周辺の地図にちりばめられた赤い点。約200あります。実は、これは主な渋滞か所です。これらは主に交差点ですが、平均時速20キロ未満での走行が続くことや、2回以上信号待ちが必要なことなどの基準から「主要渋滞か所」とされています。特に集中している熊本市周辺だけで200か所ほどあります。
(畑中香保里キャスター)
国道3号や通称「電車通り」など、渋滞する所が連続しているところもありますね。
(花木記者)
さらに熊本市だけに限ってみると181か所です。国土交通省が政令指定都市を対象に「主要渋滞か所」の数でランキングを出していて、全国20の政令指定都市の中で熊本市が最多です。
さらに、こちらは政令市の中心部における車の平均速度を元に算出した「渋滞ランキング」です。「のろのろ運転」の順位ということですが、熊本市の中心部がワーストです。これが、熊本市の渋滞が全国一ひどいと言われる所以です。
実際の道路状況はどんなものなのか?渋滞か所が集中している国道3号付近を調査してきました。
【VTR】
熊本の渋滞はどれほどなのか?
KKTは国道3号で調査を行いました。平常時と、通勤ラッシュの時間帯に同じ区間を走ってみると…。
■花木記者
「めっちゃ渋滞してる」
■堀江敬悟ドライバー
「ノロノロです」
渋滞があるのとないのとでは、かかる時間にどれくらい差が出るのか。驚きの調査結果が出ました。
熊本の渋滞事情を調査しようと向かったのは、熊本市北区山室の国道3号と通称「飛田バイパス」との交差点です。ここから国道3号を通って熊本市役所まで向かう約5.7キロのルートを走ります。
■花木記者
「午前10時です。市役所までの時間を測ってみます」
運転してくれるのは、熊本の道を知り尽くすKKTの堀江敬悟ドライバーです。
■花木記者
「何時ぐらいが一番混みますか?」
■堀江ドライバー
「午前8時前後ぐらいじゃないですかね。先の信号から浄行寺とか水道町とかぐらいまで」
■花木記者
「結構、距離がありますよね」
■堀江ドライバー
「結構あります」
幹線道路ということもあり、23か所ある信号にかかりながら進みます。
■花木記者
「到着しました。かかった時間は16分39秒です」
平均時速は約20.5キロ。渋滞に巻き込まれなくてもこの速度です。では、通勤ラッシュ時にはどれだけ時間がかかるのでしょうか?
■花木記者
「午前8時です。それでは出発します」
同じコースを最初は順調に進んでいましたが…。
♪カーナビの音「約1キロ先、渋滞があります」
■花木記者
「渋滞してるって言ってる」
ほぼ中間にあたる室園交差点に差し掛かると…
■花木記者
「めっちゃ渋滞してる。めちゃくちゃノロノロですね」
■堀江ドライバー
「ノロノロです」
青信号なのになかなか進みません。あっという間に、先ほどの所要時間、16分あまりが経過しました。
■花木記者
「カーナビを見ると、周りの道路も結構、渋滞を示す赤色になっている感じですね」
■堀江ドライバー
「そうですね」
■花木記者
「抜け道ってあるんですか?」
■堀江ドライバー
「今の時間、抜け道を行くよりは、酷道3号を行った方が早いと思います」
赤信号がさらに行く手を阻みます。そして…。
■花木記者
「到着しました。かかった時間は29分10秒です」
平均時速は約11.7キロ。先ほどよりも12分以上、時間がかかってしまいました。
【スタジオ】
(花木記者)
実は、渋滞によって経済的な損失が出るという試算があるんです。
(緒方太郎キャスター)
「経済的損失」ですか?
(花木記者)
例えば観光面では、移動時間が長くなるほど観光客の滞在時間が短くなるため、観光や飲食などに消費する額が少なくなってしまいます。
また物流業界にとっては、配送時間が長くなることで運べる荷物の量が減るなどの時間的な損失が指摘されています。
この影響は私たち住民にも及び、経済団体や有識者でつくる検討会によりますと、渋滞によって生活時間が奪われる時間的損失を金額に換算すると、1人あたり最大で熊本県民で年間17万円、熊本市民で年間24万円とされています。
これを熊本県の人口170万人で単純計算すると、2890億円。2023年度の県の予算9733億円の約3割にあたります。
(畑中キャスター)
こうして金額で見ると、かなり大きな損失だと感じますね。
(花木記者)
どうしてここまで交通渋滞が悪化しているのか、この状況を抜け出す方法はないのか、今後シリーズで徹底調査していきます。