【行政代執行】道路拡幅工事のため明け渡しに応じなかった家屋を強制撤去へ 15年にわたり交渉に応じず
渋滞緩和に向けて道路を広げるなどの工事を進めるため、熊本県と熊本市が土地を明け渡すよう交渉していた1軒の家屋。15年にわたり交渉に応じなかったとして11日、県が住宅を強制的に撤去する行政代執行が行われました。人が住む家屋に対して行われるのは県内で初めてです。
■熊本県土木部用地対策課 下﨑浩一課長
「これより行政代執行を開始致します」
行政代執行が行われたのは、熊本市中央区西子飼町にある木造2階建ての住宅1棟です。
目の前を走るのは、県道と市道が連なる坪井龍田陳内線。渋滞緩和などを進める「都市計画道路」に指定されています。
県と熊本市は、住宅がある土地が、歩道の拡幅や自転車レーンの整備などに必要な用地に含まれているとして、約15年にわたりこの家に住む2人と土地の明け渡し交渉を行ってきました。
熊本市は新たな居住先を確保したものの移転の交渉は進まず、県の収用委員会で熊本市への明け渡しが決定。2020年5月以降は不法占有状態になっていた中、11日に熊本県が行政代執行を宣言。県や市の職員が、建物の構造調査に入りました。
■熊本 県土木部用地対策課 小森田 直樹課長補佐
「建物の方を裁決に基づいて、明け渡す義務が移転義務者にはございますので、明け渡してもらえていないということは、代執行についてはいたしかたないのかなと」
この区間の道路整備は、2025年度末までの完成を目指しています。建物は代執行の対象ではない部分にもかかっているため、熊本市は今後、解体範囲を検討し、11月下旬に解体工事に着手する予定です。