「記憶にない」松橋事件再審無罪の宮田さんの元警官と元担当検事 証人尋問で語る
現在の宇城市で起きた殺人事件で犯人として服役した男性が再審無罪となったいわゆる「松橋事件」。男性はその後亡くなり、遺族が「違法な捜査だった」と国と県に賠償を求めています。事件当時、捜査にあたった元警察官と元検事の証人尋問が13日に行われ、2人はほとんどの質問に対して「記憶にない」と証言しました。
■齊藤誠弁護士・弁護団共同代表
「松橋事件の大詰めといいますか山場になりました。宮田さんの捜査の全貌をできる限り明らかにしたいと思っている」
裁判を起こしているのは2020年、87歳で亡くなった宮田浩喜さんの遺族です。
宮田さんは1985年に現在の宇城市松橋町で男性が殺害されたいわゆる「松橋事件」で容疑者として逮捕され、懲役13年の判決を受けて服役しました。しかし再審=裁判のやり直しにより2019年に再審無罪となりました。
翌年「違法捜査や証拠隠しの結果、長期間服役した」として国と県に8200万円あまりの損害賠償を求めて提訴。その後、宮田さんが亡くなったため遺族が裁判を引き継ぎ「警察官がウソの自白を誘導し、検察官は無罪を証明するための証拠を隠した」と主張して国や県と争っています。
13日の裁判では、当時捜査にあたった元警察官と宮田さんを取り調べて起訴した元担当検事への証人尋問が行われました。原告側は、2人に対して当時の証拠資料などを示しながら捜査状況について尋ねましたが、2人はほとんどの質問に対して「記憶にない」と答えました。証人尋問を終えて、原告側の弁護団は。
■弁護団共同代表・三角恒弁護士
「必ずしも思ったようなところまでは出てきませんでしたが当時の捜査状況というのはある程度は浮き彫りになったのではないかと思っています。あのような検察官の尋問態度が判決にどのような影響をおよぼすのかにも注目していきたい」
12月13日に開かれる次の裁判で結審する予定で、今年度中には判決が出る見通しです。