「迷走」自民党富山市連 その経緯と波紋
次期衆議院選挙富山1区の候補者選考をめぐり、自民党富山市連は8日、現職の田畑裕明議員を推すかどうかを問う党員アンケートは中止し、田畑議員を公認候補として推薦する方針を決めました。経緯を振り返ります。
8日開かれた富山市連に所属する各支部の支部長・幹事長らによる会議。開始前には田畑議員が出席者に頭を下げて回るなどしました。
田畑議員「ご迷惑かけてますどうもすみません」
富山市連 中川忠昭支部長あいさつ「党員に対して皆様方の思いを聞いてみたいということで、アンケート調査をさせていただきたいと思います。忌憚のないご意見を頂いて、なんとかですね、富山1区が皆さんとともに一本化してですね、しっかりと戦えるような、そういう基盤を作っていきたい」
8日の会議で冒頭、中川支部長は「党員アンケートを行いたい」と話していました。しかし、この2時間後に一転。アンケートは中止とし、田畑議員を候補として推薦する方針を決めたのです。
田畑議員をめぐっては今年1月、所属する安倍派からキックバックされたパーティー収入合わせて68万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことが発覚しました。
さらに今年6月に開催を予定していた政治資金パーティーの案内状に「入金のみ」の項目を設定していたことから、政治資金規正法が禁じる「政治家個人への寄付」にあたる恐れがあるとして、国会で野党から追及されました。
9月3日、次期衆院選富山1区の候補者擁立に向けた話し合いでは。
中川支部長「推せないという人もいたね。現職を含めて予備選やることも必要でないのかなということを、最後にみなさんに考えてほしいと言っていたわけです」
出席者からは田畑議員を「一致結束して推せない」などの声があがり、極めて異例となる「予備選」を検討する事態に。その後、市議と県議へのアンケートでも田畑議員を推すかどうか意見は割れました。
中川支部長「やはりここは党員の皆さん方にアンケート方式で良いから、一度問うべきでないかと」
党員およそ6000人を対象にアンケート調査を行い、田畑議員を推すかどうかを判断する、としていました。そして迎えた8日の会合。
岡田記者「今、会合が開かれています」
冒頭以外は非公開で開かれ、執行部は党員アンケートの内容を示す予定でした。しかし・・・
中川支部長「党員に対するアンケート調査をやろうと思っていたわけですが、それをやめることにしました。アンケート調査の内容そのものを提案するまでもなく、アンケート調査をやるのは、我々を無視するのかという強い意見も(出席者から)ございました」
各校区の支部長らからは、アンケートの実施自体に反対する意見が相次ぎ、田畑議員を支えるべきだという意見が多く出たということです。そして、党員アンケートは行わず、田畑議員を引き続き推すことを申し合わせました。
中川支部長「田畑さんを我々がしっかり支えるという結論に達しましたので、これで一つになれるんじゃないかということを判断したわけです」
田畑議員「もちろん厳しいご意見もございましたが、皆さん私のこの12年間の活動に対して、大変温かい声をいただいたというのが実態でありますし(涙)誠心誠意、国政で私は富山の代表として働けるように、有権者の皆さんへの説明責任や、いろいろなところに分け入ってですね、私の政治信条、また取り組んできた実績、今後やりたいこと、全力で訴えてまいりたいという決意であります」
一方、田畑議員は8日の会議で新たに、自らの政治資金収支報告書に不記載があったことを明らかにしました。
富山市連の一連の「ドタバタ劇」について、自民党県連の宮本幹事長は。「決定的に不足しているのは、本人と県議や市議のみなさん、校下支部のみなさんとのコミュニケーションが全く不足していたことが、今回の要因じゃないかなと。今度はただ反省してくださいとかどこまで反省したとかそういうことではなくて、どういう形で富山1区という組織を運営していくか、動かしていくかということに、田畑支部長は相当汗をかかれなくちゃいけないんじゃないかな」
富山市民からは納得できないなどの声があがりました。
男性「自民党の話なので、あとは投票する人が決めればいいだけなんで、それはそれで自由だとは思うんですけど、そこに対してどうこうというのはないですけど、ただ、本当にそれでいいのっていう思いは、ちょっとありますよね」
男性「1回やるといってアンケートの内容もいろいろ決めたという話は聞こえてきていたので、ちょっと腑に落ちないというか、腹落ちしないというか。とはいうものの、今までの活躍もおありの方なので、一生懸命貢献していただければいいんじゃないかなと思いますけど」
女性「やるならやる、やらないならやらないっていうのをはっきり決めてから、みんなに言えばいいのに、いつもなあなあで、結局しないんですみたいな。推さないです、はっきり推さないです」