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ギャンブル依存症 富山県内当事者の声 医師「回復できる病」

2024年4月5日 19:36
ギャンブル依存症 富山県内当事者の声 医師「回復できる病」

大リーグ・ドジャース大谷翔平選手の通訳だった男性が違法賭博に関与したとして解雇された問題で、背景にあったとされる「ギャンブル依存症」が取りざたされました。ギャンブルにのめり込んだことで資産だけでなく家庭をも失いかけた富山県内の当事者を取材しました。吉田記者のリポートです。

富山県内に住む鈴木隆(仮名)さん(50代)。ギャンブル依存症の当事者です。

鈴木隆(仮名)さん
「興奮するだけで、お金がどれだけ入ってもそれはもう関係なく、金銭的なものじゃなくて、勝つか負けるかそれだけで….勝てば勝つほど、負けてもまた取り戻すために、またお金を用意して、また突っ込むような…」

親や友人の影響で10代の頃から始めたというパチンコや麻雀。いつしか自分で制御がきかなくなるまでのめり込んでいきました。

鈴木隆(仮名)さん
「金銭感覚がその頃からなく、もう人からお金を借りたり、だまし取ったり、脅したり、そういうのでお金をなんとか作って、ギャンブルに突っ込むというような….麻痺していますね、その時点で。悪いことという意識はないですね」

ギャンブルにつぎ込んだお金は総額で数千万円に及ぶといいます。

鈴木さんは薬物にも手を出し、これまでに4回、刑務所に収監されました。

鈴木隆(仮名)さん
「息子と娘もいるんですけど、家族は自分のことはもう『お父さん』じゃないと、もう知らないと、面会でも手紙でも言われて…」

同じ過ちを繰り返してしまう依存症。

鈴木さんは、お金だけでなく、家族まで失いかけました。

国のまとめでは、県内のギャンブル依存症患者は2021年度では31人ですが、ギャンブル依存症が疑われる状態の人は推計でおよそ1万5000人に上るという調査もあります。また、県のまとめでは、相談件数は毎年300件を超え、増加傾向にあるということです。

医師は、ギャンブル依存症は完治はできないものの「回復できる病」だと話します。

アイ・クリニック 吉本博昭理事長
「完全に元のようなギャンブルにはまる前の状態に戻ることはできない。でも治療によって工夫すれば、やめ続けることができる」

一方で、依存症からの回復はひとりでは難しく、信頼できる人に頼ってほしいといいます。

アイ・クリニック吉本博昭理事長
「自分の問題は、依存症という病気にかかっているという認識をもって初めてスタートになりますので…ひとりで抱え込まないことが大事だろうなと思います」

鈴木さんは、依存症の負の連鎖を断ち切りたいと、出所後、初めて自らの意思で回復をサポートする全寮制施設への入所を決めました。

今は、心理療法を用いたプログラムを受けながら人生の再出発を目指しています。

RESTA 高畑博行代表
「こういう依存回復施設に行って、ちゃんと回復を目指していくからっていうことを娘さんに説得して、ようやくね、それを信じてもらえてというか…」

鈴木隆(仮名)さん
「(娘は)最初、結婚式をするって言ってたんですけど、自分を呼ばないっていうのでなっていたんですよ。でも、もう少ししっかりしたら結婚式を挙げて、ぜひ出席してほしいと言われてるんですよ。娘・息子、やっぱり大切な人を失いたくない、裏切りたくない。その気持ちを強く持っていれば、いいんじゃないかなと。それが絶対大事なことなのかなって、そしたら必ず自分も見失うこともないのかなと…」

一度は切れかけた家族の絆。それでも再び結び直せると信じて鈴木さんは歩みを進めています。

問題を1人で抱えている当事者は多いのではないかと思います。社会への復帰に向けては、依存症への正しい知識とともに、家族や専門家からの支援が必要です。まずは近くの相談窓口を利用して下さい。

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