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「命を預かる」能登半島地震 介護を必要とする避難者 射水市の施設が受け入れ

2024年2月15日 20:03
「命を預かる」能登半島地震 介護を必要とする避難者 射水市の施設が受け入れ
能登半島地震により住んでいた場所からの避難を余儀なくされた人たちの中には介護を必要とする高齢者も多くいます。石川県からの避難者の受け入れを決めた射水市の介護施設を取材しました。

射水市の特別養護老人ホーム「大江苑」です。2月9日、はじめて地震による避難者ひとりを受け入れました。

七尾市の介護施設から来た水口ハマ子さん(78)。長引く断水により施設の運営が困難になったため、水口さんは地震後、富山県内の病院に運ばれました。近くに住む息子家族はみな無事でしたが、集落にある住宅の多くが被害を受け、住める状況ではないことをこの日初めて知らされました。

水口ハマ子さん
「大変やわ。ほんとにひどかったしな被害がな」

息子
「他にもっとひどい人がおるから、うちはまだいいほうやから」

息子の妻
「元気はあるからね、私たち心配しないで」

水口ハマ子さん
「寂しいとか、そんなこと言うとられんやろ。頑張らな。命失っている人いっぱいおるん やからね。頑張らんとだめや、頑張るしかないわね」

水口さんの受け入れを進めたのが、「大江苑」施設長の松浦佳紀さんです。

入居する人たちが笑顔になるよういつも心を配っています。

松浦さんは、22年前に施設の仲間と結成したアマチュア劇団「小杉爆笑劇団」の一員でもあります。

介護の仕事と並行して、認知症などの高齢者をテーマにした寸劇を県内外で上演しては、介護に悩む家族や地域を笑いで包んできました。

また、東日本大震災や熊本地震など被災地での支援活動も続けてきました。

松浦佳紀施設長
「辛い経験をされている方の話を 聞いたりして、自分も成長して いくのではないかと、私自身もそう感じましたし」

2024年1月6日、松浦施設長の姿が七尾市にありました。劇団活動の知り合いを訪ねて支援物資を届けるためでした。その後、大江苑の職員のひとりも、県の災害派遣福祉チームの一員として七尾の避難所で高齢者の生活支援にあたりました。

大江苑 津田昌彦さん
「被災された方のお手伝いに施設長も行っていたというのは常々聞いていたので、行く事で得るものもあるよというふうに言われていたので」

目の当たりにした石川県の被災地の現状。大江苑は避難者の受け入れを決めました。施設では今後ももうひとり受け入れを予定しています。

松浦施設長
「我々やはり、人の命を預かって いますので。今回受け入れできますか?と言われて、『当たり前やねけ!』言う感じで(笑)、困ったときはお互いさまで、出来ることを、出来ることからやっていきたいと思います」

県によると地震後、石川県から富山県内の介護施設に避難している人は、1月12日時点で77人で、今も体育館などの1.5次避難所で受け入れ先を待つ高齢者がいるということです。

安心して介護を受けられる環境が、一日も早く整ってほしいですね。