いざ衆院選へ…被災地能登を抱える石川県 3選挙区それぞれの前哨戦を追う
県都・金沢、石川1区。自民・立憲・維新・共産・国民・無所属の6人が出馬を予定し乱戦模様です。
知事選に出馬した馳浩 氏の後継として、3年前に初当選を果たした自民党の前職、小森卓郎 氏。今回の選挙は自民派閥の裏金問題で比例代表への重複立候補はできず、まさに背水の陣です。地震対応や総務大臣政務官を務めた実績を掲げ、議席死守を誓います。
小森卓郎 氏:
「もしもまたこの先お役目をいただけるのであれば、より大きな形で、日本のため、そしてまた皆様のために働かせていただけるものではないかというふうに思っているところであります」
その自民党の裏金問題を引き合いに政治の刷新を訴えるのは立憲民主党の新人荒井淳志 氏。3年前は小森氏に4万票の大差をつけられ落選、雪辱を果たすべく打倒自民に狙いを定めます。
荒井淳志 氏:
「裏金をもらっている皆さんに、こういう生活者の気持ち、暮らしていく人の気持ちが分かるはずがありません。生活や暮らしを支えていく、そういう政治に転換できるように全力で活動に取り組んでまいります」
そして今回、県内の小選挙区に、初めて新人を擁立したのが国民民主党。
小竹凱 氏:
「日本全体の将来が持たないというような思いから、与党でも野党でもだらしないと。新たな選択肢を作っていきたいという思いで立ち上がりました」
大手ゼネコン出身の小竹凱 氏が政治に信頼を取り戻すと意気込みます。ただ、立憲、国民民主ともに支持母体は同じ連合石川。それだけに支援が分散する懸念も。
連合石川・福田佳央 会長:
「1人区で2人どうぞ、というわけにはいかないので、推薦よりも1ランク落とした扱い(支持)というふうにさせていただきました」
こうしたなか、我こそは非自民の受け皿と議席を狙うのが維新の会の小林誠 氏。1区で唯一の金沢市議経験者として市民目線の施策を訴え、子育て世代への浸透を図ります。
小林誠 氏:
「これまでの市議会議員としての経験。子育て支援や教育の充実。そして医療や介護といった福祉の拡充。その思いをしっかりと国政に届けていきたいと思っておりますし」
一方、共産党も新人の村田茂 氏を擁立。裏金問題への自民党の対応を批判し、国民の生活を最優先にした政治への転換を訴えます。
村田茂 氏:
「金権腐敗政治の根も絶っていこうではありませんか。自民党政権、大企業からお金をもらって大企業応援の政治を続けてきた、このことが日本の政治を大きくゆがめてきたのではないでしょうか」
このほか、石川1区には新人の藤原徳英 氏も立候補を予定しています。
石川2区は、自民党の前職と、立憲民主党、共産党のあわせて3人が立候補を予定しています。
5回目の当選を目指す自民党前職の佐々木紀 氏。自民派閥の裏金問題を巡って比例代表への重複立候補ができないなか、「退路を断ってしっかり戦う」と気を引き締めます。
佐々木紀 氏:
「いかにこの信頼を取り戻していくかが大きなテーマになってくるわけでございます。私は、この国の政治を未来につなげていくためにも、政治改革、しっかり取り組んでいきたいなと思っているところでもございます」
立憲民主党新人の小山田経子 氏。2年前の参院補選、参院選にも出馬。裏金問題を引き合いに自民党に自浄作用は働かず、政治を変えるには、政権交代しかないと声を上げます。
小山田経子 氏:
「やっぱり私たち高い税金を払っています。この税金がいかに私たちに使われているか、これをしっかりとクリーンな政治にしていく私たちの政治にしていくことこそが今回の大きな政治改革大義であると」
そして、同じく新人で共産党の坂本浩 氏。裏金問題に関係した人は立候補する資格がないと断じ、共産党こそが改革の道筋を作ることができると強調します。
坂本浩 氏:
「疑惑隠し、能登切り捨て、党利党略の選挙を行ったこの石破政権に対して、退場の審判、日本共産党へのご支援でご一緒に下していこうではございませんか」
石川2区の争点の1つが、北陸新幹線の敦賀以西のルート問題。現行の「小浜ルート」に対し、南加賀では「米原ルート」を、という声が多くなってきています。
佐々木紀 氏:
「特にこの地域ではですね、米原ルートということも言われているわけでありますので、一政治家としては、私はこの米原ルートも含めた検討を国の方にしっかりと主張していきたいなと思っています」
小山田経子 氏:
「私は米原ルートを、今の同じメンバーでは絶対話が進まないので、改めて違うメンバーでテーブルで議論するということで、先を早めていきたいなという思いで」
坂本浩 氏:
「これから小浜ルートにしても米原ルートにしても莫大な税金がかかるじゃないですか。だから、今の能登の被災地の現状から考えてもね。これは中止すべきだというのが私の考え方です」
地震と豪雨で大きな被害を受けた能登「石川3区」。週末、七尾市徳田地区で開かれた祭りには毎回激戦を繰り広げる2人が参加しました。
自民党から出馬する前職の西田昭二 氏。前回、前々回と接戦を制していて今回、3回目の勝利を目指します。
西田昭二 氏:
「被災者の皆さん方が心が折れるような状況でありますけれども、しっかりとこれは元に戻していかなければなりません」
対するは立憲民主党の前職、近藤和也氏。2009年に初当選を果たすもその後は落選。前回と前々回は比例復活での当選となりました。
近藤和也 氏:
「大丈夫じゃない人の方が多いですよね。何とか皆様の大変な状況に政治が寄り添っていけるように、私もこれからもずっと頑張り続けていきたいと思います」
地震と豪雨からの復旧復興を担うことになる能登の代表を決める選挙戦。就任したばかりの石破総理や立憲の野田代表が同じ日に被災地を訪れるなど全国屈指の注目区です。ただ復旧復興最中の被災地の住民からは。
住民:
「選挙どころでないげんて。今は自分の生活に追われ、それでいいんかなと思いますね」
「選挙してる場合じゃないかもしれませんけど、でもやっぱし大事な1票なので(投票に)書きにはいきたいと思ってます」
「選挙をすることによって、復旧復興に支障が出ないような形でやってほしいなっていうのはあります」
被災地の声に対し西田氏、近藤氏の2人は複雑な胸中をのぞかせつつ、迫りくる公示日に向け覚悟を決めます。
西田昭二 氏:
「通常の選挙はできる状況ではありません。ただ、様々な形で被災者の皆さん方のご意見を伺ったり、また状況を見ながら選挙戦を進めていく。被災者の生活再建、なりわいの再生というようなことも大切でありますし、国と連携をしながら取り組みたい」
近藤和也氏:
「先月豪雨があったばかりでそれはないでしょと、そんな政治を続けていいんですかというのが一つの争点だというふうに思っています。勝たなくてはいけないですし、私がここにいるんだと、皆様の味方になって、これからも頑張っていくんだということをお示しをしていかなくてはいけない」
一方、共産党からは新人・南章治 氏が立候補を表明。被災地への復旧復興「能登の声を国政に」と声を上げます。
南章治 氏:
「度重なる災害に心が折れてしまったという被災者の声が聞こえてきます。必要な災害対策、備えはできるはずです。軍事費に8兆5千億円も税金を投入している場合ではない。被災者に寄り添い全力を尽くします」
被災地への復旧・復興に向け負けられない戦い。衆議院選挙は10月15日に公示、投開票は27日に行われます。