おめでとうに代わる言葉で...能登で年賀状作り 添え言葉は「もう1年、されどまだ1年」
新年の年賀状を作り始める時期となる中、地震の爪痕が残る被災地では祝いの言葉をためらう人が多くいるのが現状です。石川県珠洲市で日本郵便の職員が年賀状作りを手助けする催しが開かれ、能登の住民が添えた言葉にはさまざまな願いが込められました。
川島 行人 記者:
「珠洲市宝立町に来ています。こちらでは解体が住んでさら地になった土地がある一方、解体が済んでいない家もあり、年の瀬になっても復興は半ばとなっています」
その宝立町の公民館では…
参加者:
「印刷するの(プリンター)も津波でだめになったからもう捨てた。パソコンはあるけど」
日本郵便の職員:
「ここでパソコンありますので一緒にきょう作る」
日本郵便の職員が出向き、地震の影響でパソコンやプリンターが使えなくなった人の年賀状作りを手伝いました。
ただ、ここを訪れた女性は…
参加者:
「家も全壊。「神も仏も無いね」という気持ちで、自分ではおめでたいっていう気持ちがないから」
なかなか年賀状を出すことに前向きになれなかったといいます。
近所に住むこちらの北山さんも同じ気持ちを抱えていました。
北山 悦子さん:
「出しても5、6枚だわ。そうやろ? 普通と違うしあんまり出したくないし、といって全然出さんのも、挨拶状出してはいるけども、感謝だけでいい、それでみんな分かるやろ」
北山さんが選んだ言葉は、新年を祝う言葉ではなく「感謝」。その横には「もう1年、されどまだ1年」の文字が添えられました。
いまも重機の音が町中に響く年の瀬を迎えた珠洲市宝立町…元日のまま残る住宅も多く、復興はまだ道半ばです。
北山さん:
「感謝のこの言葉で、何もかもみんな通じると思う」
この日は地元の多くの人が訪れ、デザインや言葉を悩みながら来年の年賀状を作っていきました。
参加者は:
「謹賀新年はちょっとなんか抵抗あるねということで、こちらのがいいかなと、新年のご挨拶というの。」
そして、北山さんの年賀状が完成しました。
「すごい、こればっちし!」
「全部の意味含まれとるね」
北山さん:
「やっと解体できるって案内も来たから寂しくなるけどひと段落だわ(と伝えたい)」