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和菓子2000人分を被災者へ…七尾の老舗和菓子店営業再開 のれんにかけた想い

2024年1月25日 22:04
和菓子2000人分を被災者へ…七尾の老舗和菓子店営業再開 のれんにかけた想い

明治時代から続く七尾市の老舗の和菓子店がいち早く営業を再開しました。
伝統ある店がのれんにかけたその想いとは。

寒さが厳しさを増し倒壊した建物にも、雪が…
七尾市で600年以上の歴史を誇る一本杉通りです。
商店が立ち並ぶ歴史ある街並みは元日の最大震度6弱の地震で変わり果てた姿に…。

■地元の住民
「普段は観光客が必ず来る場所。ぼちぼち一歩ずつ前に進んでいったら良いのかな…」

まちの中心部も大きなダメージを受けるなか、地震から2週間が経ち新たな動きが。

■NNN取材団・根本翔記者
「甚大な被害をうけたこの一本杉通りでは、まちの復興の希望になろうと、老舗の和菓子店がいち早く営業を再開しました」

明治時代に創業し一本杉通りで最も古い和菓子店「花月」の女将・通文子さんです。

■花月・通文子女将
「(一本杉通りは)のれんのまちとして知られているので、のれんをかけて元気にしている店が1軒でもオープンできたらとい うことで」

建物が全壊するなどしてすべての店舗が休業を続けるなか、まちの姿を取り戻そうと先陣を切ったのです。
七尾市ではいまも全域で断水が続いていますが、工場は井戸水を活用して稼働を継続。
店舗も営業に支障が出るほどの被害はありませんでした。

1月15日には、2000人分の和菓子を市内の被災者たちへ届けました。
営業中の店から通さんがポットを持って出てきました。

「それどこに持って行く?」
「すぐそこ。そこも被災者の宿になっているの。近所の人おるから」

地元の顔なじみたちへの配慮も忘れていません。
できるだけ避難所に通い、お茶や漬物を届けています。

■花月・通文子女将
「この通りで潰れて家に入れない人もいる。私は十分できるから少しでも温かいものを」

今度は七尾市へ復興支援に来ていた大阪のボランティア団体が店にやって来ました。
自身もこの団体から食事を提供してもらっていた通さん。
その感謝のしるしに和菓子を毎日届けていました。
1週間にわたる支援活動最終日のこの日、通さんに団体全員でお礼を伝えに来たのです。

■大阪からのボランティア団体
「寒いし正直早く帰りたいという気持ちもあったが日を重ねると地域の人がありがとうと言ってくれて、こっちの方が逆にありがとうという気持ちになれた。(店が再開したことで)希望であったり頑張ろうという気持ちができるんじゃないか」

■花月・通文子女将
「毎日おいしい食事をいただいて本当に喜んで食べさせていただ きました。ありがとうございました。一本杉はのれんのまち。1軒でものれんを下げてはやく解消していくことを悲願して待っています」

女将の感謝と祈りが込められたのれんが、きょうも七尾のまちになびきます。