県のスポーツ・コンベンションセンター入札“不調” 資材や人件費高騰で事業者から「金額に開き」の声
県が計画するスポーツ・コンベンションセンターの入札日を迎えましたが、応札者はなく、入札は「不調」となりました。入札を検討していた事業者からは建設費が高騰しているとの声が上がっていて、県は事業費や計画内容の見直しを迫られることになりそうです。
(山下香織キャスター)
「次々に候補地が変遷し紆余曲折を経てきた県の新たな総合体育館の計画。ようやくこのドルフィンポート跡地に建設されることが決まり動き出しましたが、資材や建設費の高騰という思わぬ壁に阻まれました」
県は鹿児島港本港区のドルフィンポート跡地に計画するスポーツ・コンベンションセンターについて、予定価格313億円を提示し今年4月に入札を公告。2つの事業者グループから参加の表明がありましたが、入札日の27日、それぞれから県に辞退届が出されたということです。入札が不調となったことに塩田知事は。
(塩田知事)
「事業者とも意見交換を重ねながらここまで来ていたがこうした結果になったことは残念」
事業者側からは8月中旬以降、他の県の大規模工事の影響で人材が不足していて資材や人件費が高騰しているという話があったと言います。
県外の事業者と入札を検討していた県内の企業は「準備を重ねてきたのに残念。資材の高騰や人件費の高騰でかなりの金額の開きがある」と明かし、県議会議員には事業者から「見積もりと”100億円ほど”の差がある」という話があったと言います。
(塩田知事)
「色々なコストが高騰しているということですから(増額する)可能性も含めて様々なヒアリングをしたいと思っている」
塩田知事は事業者から入札を辞退した理由などを聞き増額の可能性も含めて今後の対応を検討したいと話しました。県は整備や運営を一括発注する現在のPFI方式をとり続ける場合は予定していた2029年7月の供用開始は難しいとの認識を示しています。
今後の対応として知事は、事業費の増額、計画内容の見直し、整備運営手法の見直しの3つの可能性に触れましたが、内容の見直しに関しては全国大会が開ける最低限を維持するため規模や機能の見直しは困難との見方を示していて、それ以外にどういうコストカットの工夫が可能か事業者からヒアリングしたいとしています。
政治学の専門家は資材や人件費の高騰は鹿児島に限った問題ではなく公共工事の入札が不調となるケースが全国で相次いでいると指摘します。
(鹿児島大学 藤村 一郎准教授)
「建設費資材費の高騰は県政のせいではないので予測が難しい所だろうとは思う。委員会とか他の方々に議論してもらった結果を積み重ねて最終的に予算を県議会で議決するところまでもっていってるのでそれ(計画)を放棄するのは難しいんじゃないか。基本的に予算の増額によって計画を維持するということが定石」
藤村准教授は「増額となれば反対の声が上がるのは必至。様々な意見を拾い上げ皆が納得できるよう注力する必要がある」と話しています。