勤務時間は平日日中「デイタイム救急隊」の1日に密着 元気の源は妻の・・・ 子育てとの両立も<仙台市消防局>
仙台市消防局が、勤務時間を平日の日中に限定した「デイタイム救急隊」を発足させて2年あまり。
この春からは、新たに1隊を増設。職員には、子育てとの両立が出来ると好評だ。
新緑が芽吹く仙台市内の公園には、大きなシャボン玉を作って娘を喜ばせる父親の姿があった。
父「パパのお仕事なんですか」
娘「きゅうきゅうしゃ」
松本卓哉さん(28)は、仙台市消防局「デイタイム救急隊」の隊員。
3歳になる娘の子育てに積極的に関わりたいと、配属を希望した。
仙台市消防局・青葉デイタイム救急隊 松本卓哉さん(28)
「土日にしかないイベントや保育園の行事に、家族で参加できるのは家族の時間が増えてとてもいい」
仙台市は、救急車の出動が多い日中の態勢を強化しようと、おととし東北初となる「デイタイム救急隊」を青葉消防署に発足させた。
救急隊3隊のうち、1隊が「デイタイム救急隊」だ。
救急車の運転席でミラーの角度などを確認する松本さん。「デイタイム救急隊」は、働き方改革にもつながっている。
通常 救急隊員の勤務は、朝8時半から翌日の朝8時半まで。交代で仮眠をとるが、出動に備え24時間勤務だ。
一方、「デイタイム救急隊」は、朝8時半~夕方5時までの勤務。土日祝日は休みだ。
仙台市消防局・救急企画課 佐々木隆広課長
「私は子どもが3人いますが、こういった(デイタイム救急隊 の)選択肢はなかった。(救急隊員時代は)当直があたり前で、子育ても自分の妻に任せきりの部分もあった。今は仕事と家庭を両立できる時代になったんだなと感じます」
東京消防庁では、5年前 育児や介護などで24時間勤務が難しい職員の活躍の場としてや、年々救急出動が増加する中出動件数の多い地域で現場への到着時間を短縮しようと、発足させた。その後、各地に広がり、去年8月時点で少なくとも全国73の消防本部で運用されている。
高齢化を背景に、仙台市でも救急出動は増加傾向にある。コロナ禍では減少したが、去年は過去最多の6万5千件近くに上った。
また午前8時~午後6時までの日中の時間帯の出動が、全体の5割以上を占めている。
日中に増加する救急出動。今年4月には青葉消防署に加え、仙台駅近くに市内2か所目の「デイタイム救急隊」が設置されている。
「急病発生、急病発生」。朝9時、1件目の出動だ。出発まで、およそ2分。
遅れは命に関わるかもしれず、1秒1秒を無駄にできない。
この日は、午前中だけで5件の救急出動があり、「デイタイム救急隊」を含む3つの隊全てが出払っている時間帯もあった。
1時間半ほどの活動を終え、松本さんが署に戻ってきた。忙しい日は、現場から現場へ転戦することもあるという。
仙台市消防局・青葉デイタイム救急隊松本卓哉さん(28)
「朝から夕方まで(救急出動は)多くて、夜は少し落ち着くんですが。だから『デイタイム救急隊』の需要はかなりあると思います」
最前線で働く松本さんは、上司からの信頼も厚い。
仙台市消防局・青葉デイタイム救急隊 阿部直之隊長
「もともと優しい隊員なので、傷病者に対しても私たちに対しても優しい雰囲気で、職場の雰囲気がとても良い」
正午のチャイムが鳴り、昼休憩の時間。
松本隊員
「愛妻弁当です。いつも作ってもらっています。きょうもおいしそう」
松本さんの元気の源だ。
「デイタイム救急隊」の働き方は、家族にも好印象だ。
松本隊員の妻・益奈さん
「家族での時間が増えたのと、土日休みになったので、保育園の行事にも参加しやすく なった。あと、娘が一番パパと遊ぶ時間が増えて嬉しそうにしているのが一番大きい」
松本隊員
「家族との時間を過ごすのが、仕事のモチベーションの1つにもなっている。いずれは救急救命士として、隊長として隊を率いて24時間勤務でもデイタイムでも救急車で活動していきたい」
今は家族との時間を大切にしながら、いずれは救急隊を率いる立場になることを目指し、市民の命を守る仕事を続けていきたいと考えている。