【特集】長年の「偽物説」を覆した多賀城碑 知られざる研究成果
この多賀城碑、実は長い間、「偽物」との疑いがかけられていた。
国宝指定に至るまでには偽作の学説を覆してきた知られざる研究成果があった。
2023年暮れ、多賀城創建1300年を記念して上演された音楽劇。
現在の多賀城の風景を背景にオペラやモダンダンス、能楽など様々なジャンルを取り入れ、多賀城の歴史を描いた。
演出した志賀野桂一さんは多賀城は想像力を掻き立てる魅力があるという。
演出家 志賀野佳一さん
「町の歴史を掘り下げると根っこがある。豊かな資源があるわけでそこから現代に使えるものを読み解いて表現の材料に使っていく」
「多賀城」は奈良時代、蝦夷と呼ばれた東北の人々を治めるため朝廷が設置した政治的・軍事的拠点だ。
その中心が政治や儀式を行う政庁。奈良の都・平城京を参考に作られた。
その一角にある「多賀城碑」には1300年前の神亀元年=724年に多賀城を創建したと刻まれている。
多賀城の創建年代を記した唯一の記録だ。
その価値が認められ、今年3月、文化庁の文化審議会は、国宝指定を答申。近く正式に指定される。
今年11月には、多賀城の入り口、南門の復元が完成し、公開される予定だ。
知事
「東北の宝、日本の宝だ」
多賀城碑を見にきた県民
「こんなに身近に接しているものが国宝になるのはいい、大事に大事にしていきたい」
多賀城を研究してきた東北歴史博物館の吉野武所長は、多賀城碑は数奇な遍歴を辿ってきたと指摘する。
東北歴史博物館 吉野武所長
「碑が建てられてすぐ行方不明、消息不明。江戸時代に発見され、数奇な道のりを歩んできた碑である」
建てられて間もなく、行方不明となった多賀城碑、江戸時代に発見されると、松尾芭蕉らが訪れるなど名跡として全国に知られてきた。
しかし明治時代に入ると一転、多賀城碑に疑いの目が向けられた。