【特集】<総合診療医とは?>医師自ら農業・漁業を体験し震災後の地域支える 暮らしの理解がよりよい医療につながると信じてー(宮城・石巻市雄勝町)
地域の暮らしを理解することがより良い医療につながると、農業や漁業体験も積極的に行う姿を取材した。
海と山に囲まれた石巻市雄勝町。
人口は約1000人、高齢化率はおよそ6割だ。
地域医療を支える医師がいる。
末永拓郎さん(44)。
末永医師)フラフラね。なんだろ、立ち眩みみたいな感じ?
患者)ではないんだね…
患者の症状を、丁寧に聞き取る。
この日の患者は、硯職人だったという95歳の男性。
末永医師)ほかに気になっているところ、なかったですか?
1人暮らしの男性を、気にかける。
患者「この先生は大変良い先生だ」
末永医師は、雄勝町で週1回、訪問診療を行っている。
末永医師
「継続的に見て評価しないと分からないことがある」
高台にある石巻市雄勝診療所。
多い日には、30人以上の患者が訪れるこの診療所で、末永さんは外来診療も行う。
患者
「たばこもやめたから」
患者とのコミュニケーションを、大切にしている。
末永医師は、幅広い分野にわたる診療を1人で行う『総合診療医』だ。
『総合診療医』とは、専門化する医療を見直し、患者に寄り添った診療が必要であるとして、2018年に誕生した。
高齢化が進む中、その必要性は高まっているが、若い医師のうち『総合診療医』を目指すのはおよそ3%に留まる。
末永医師
「特に高齢化が進んだ土地では、医療機関にかかれるかどうかはそこに住める条件の一つになる。もしここがなかったら、多分雄勝地区で暮らせないと思う人が相当数出てくる」
患者
「歳取ってから、石巻行くのも大変。ここの病院は近いから」
仙台市出身の末永医師が、地域医療を志したきっかけは、東日本大震災だった。
当時は、鳥取県の大学に通っていた。
末永医師
「ちょうど私が大学5年の3月に 東日本大震災で、仙台とかに津波が来ている映像が繰り返して流れて、行かなきゃいけないと」