【今の庁舎は何代目?】過去と未来の姿とは?仙台市役所の解体工事が報道公開<宮城・仙台>
<リポート・伊藤悠貴 記者>
「半世紀以上にわたって市民に親しまれてきた仙台市役所の解体工事が本格化しています。皆さんが利用していた正面玄関から徐々に解体が始まっています」
15日午前9時仙台市役所建て替えにともなう本庁舎の解体が本格化し、その様子が報道公開された。解体工事が行われたのは仙台市役所の受付や市民の部屋などがあった場所。
重機によって鉄筋コンクリート製の建物が少しずつ取り壊される姿に、長年、庁舎に通っていた職員も複雑な思いを持って見守っていた。
<仙台市本庁舎整備室 藤田考一室長>
「かなり古くて使いにくいなこの庁舎と思ったこともありますが、壊してしまうと寂しい思いがあります」
いよいよ本格化した解体工事。
この建物は仙台市の本庁舎としては「3代目」になる。
~初代本庁舎~
かわら屋根に木造平屋で、明治18年(1885年)に完成。
現存する唯一の写真。
そして、時代は昭和へ。
今の東二番丁通りを北上すると見えてくるのが2代目の本庁舎。
~2代目本庁舎~(1929-1966)
ルネサンス式鉄筋コンクリート造。当時の最新技術を結集した建物で、近代都市・仙台のシンボルだった。
しかし、2代目庁舎は仙台空襲で被災。その後現在の3代目庁舎の建設が始まり、当時は日本一の規模ともいわれた庁舎がたった1年で建てられた。
宮城県沖地震や東日本大震災に耐え、復旧・復興の拠点としての役割も果たしてきた現在の本庁舎。昭和・平成・令和と半世紀以上にわたって杜の都を見つめてきた3代目がバトンをつなぐ。
<仙台市本庁舎整備室 藤田考一室長>
「新本庁舎の規模は地上15階建て。延べ床面積が約6万6000平方メートル。今の現本庁舎の高さも床面積も2倍の規模となります」
~4代目本庁舎~
地上15階地下2階で、総事業費は514億円。
そして、建物だけでない1番の特徴は本庁舎を中心にした新たな街づくりにある。
<仙台市本庁舎整備室 藤田考一室長>
「一番町商店街から定禅寺通間の軸線を意識した配置。市民広場や道路空間を一体的に活用できる整備を考えている」
狙うのは本庁舎から市民広場や定禅寺通、そして一番町商店街エリアまでを 一体化するような「街の回遊性」。仙台駅周辺に集中する傾向がある〝人の流れ〟を市役所周辺にも広げようというもので、先だって様々な実証実験も進めてきた。
いわゆる〝役場〟としての機能だけでなく、4代目新庁舎は建物を中心に新たな街づくりを目指している。
仙台市役所本庁舎の建て替え検討メンバーの1人、東北大学大学院の姥浦道生教授は全国的にも同じような流れがあるという。
<都市計画に詳しい・東北大学大学院 姥浦道生教授>
「街のにぎわいを作り出す新しい装置としての機能というものが地方都市では考えられていて、ひとつのトレンド」
姥浦教授は横浜市や長岡市など先行事例を参考にしながら、仙台駅周辺の商業空間とは違う魅力を高めることが必要だという。
<都市計画に詳しい・東北大学大学院 姥浦道生教授>
「例えば仙台の特産品、東北の特産品(販売)とこれからの農業をどうしていくというシンポジウムを一緒にやりながら売ったり買ったりしていくとか。
まずは皆さん駅に来る方が多いと思うが、あそこ(仙台市役所周辺)に行けば何か(仙台市、東北ならではの)面白いものがあるよねと。どう勾当台、定禅寺まで足を運んでもらうか。そのための大きなマグネットとしての市役所の低層部」
新たな市役所がどのような賑わいを生み出すのか。仙台市の4代目となる新庁舎は2028年からの利用開始を目指している。
では新しい庁舎にどう移っていくのか。
①15日、取り壊しが始まったのは図の赤色の部分で、正面玄関や議会棟を解体していく。なお、噴水はもう姿を消している。
②一方、図の青色部分の庁舎は残し業務を続けつつ、赤い部分の跡地に新しい庁舎を建てる。
③新しい庁舎が完成したら引っ越しをして、その後青い部分を壊す。利用は2028年だが「何月から」ということはまだ決まっていない。