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自分のスキルをフルに生かして “地域の魅力” に新たな息吹を 地域おこし協力隊の思い《長崎》

2024年7月1日 6:45
自分のスキルをフルに生かして “地域の魅力” に新たな息吹を 地域おこし協力隊の思い《長崎》

まちの魅力アップのために、奔走する地域おこし協力隊の女性がいます。

自分自身の“得意分野”を活かして、地域の活気を取り戻そうとする取り組みに密着しました。

▼得意分野や経験を活かし “オリジナル” の地域おこし

大きく色鮮やかなアジサイの花を浮かべていきます。

企画者の一人、諫早市の地域おこし協力隊の下崎 レイナさん 30歳。

小長井町にある「山茶花(さざんか)高原ピクニックパーク・ハーブ園」の活性化マネージャーです。

埼玉県出身で、おととし10月に赴任。

以前は、調理師やデザイナーとして働いていました。

(下崎 レイナさん)
「諫早といえば、山茶花高原があるよね。みたいな場所にしていきたい」

山茶花高原ハーブ園は、55種類のハーブが植えられた庭園のほか、レストランやショップなどがあります。

(下崎 レイナさん)
「(山茶花高原が) 知られていないという現状もあった。ここの魅力を引き出すのはおもしろそう。いろんなところで、自分のスキルを全部活かせるんじゃないか」

施設は1988年に「山茶花自然公園」として開業。

1996年のピーク時には年間54万人が訪れていましたが、市街地から離れた場所にあることや、PRの難しさから次第に来場者は減少しています。

そんな現状を打開したい。

魅力を高めようと、オリジナル商品のパッケージデザインや、SNSでの広報を担うほか、施設のレストランで商品開発も。

さらに、森理事長らと共にイベントの企画運営も行っています。

企画のひとつが「花手水」。

花手水とは、もともと神社の手水舎に花を浮かべて楽しむ文化で、これを山茶花高原に咲く花で再現するイベントを考えました。

(山茶花高原 森 光徳理事長)
「(下崎さんは)新しい風を入れてくれていて、大変助かっている。(集客は)4~5月がメーン。6月になるとお客さんが減るので、山茶花高原のアジサイが、人に知られずに枯れていく。噴水に花を浮かべたらお客さんも見に来てくれるかなと」

▼見て楽しむだけでなく “体験” の場も

イベントは去年に続いて2度目。開催前日、準備に追われます。

地域おこし協力隊のほかのメンバーも協力して運ぶのは、コンテナ65杯分 約3000個のアジサイ。いろんな色を混ぜながら、噴水まわりに全部浮かべて完成です。

さらに、アジサイとハーブを使った「紫陽花守り」を作るワークショップも行うことに。

その材料も集めます。

(諫早市地域おこし協力隊 木山 睦美さん)
「(下崎さんは)頼りがいがある。得意なところ、イラストやお料理も上手で、そういうところで的確にアドバイスしてくれる」

(諫早市地域おこし協力隊 木下 侑香さん)
「(メンバーを)まとめてくれるよね。脱線するのも全部元に戻してくれる」

ワークショップに向けては、講師と一緒にアジサイに合わせるハーブを厳選するなど、試作も行いました。

(講師 宇野 季美さん)
「アジサイは花が大きいから、花の間に(ハーブを)入れてもいい」

(下崎 レイナさん)
「去年は、花手水だけ見て帰ってしまうお客さんが結構いたので、今年は建物にも入ってもらえる ひと工夫が欲しいなと思って」

▼初めての人も久しぶりの人も大満足

噴水を華やかに彩ったアジサイの花手水。

迎えたイベント当日は雨模様となりましたが、ハーブ園には「アジサイ花手水」を一目見ようと 多くの人が訪れました。

(長崎市から)
「すごくきれいで、色が映えていていい。次は晴れの日に来たい」

(長崎市から家族連れ)
「インスタグラムで見て(来た)。大人になってからは(久しぶり)。子どもたちも初めて。インスタグラムに載っていた通り、きれいでよかった」

ワークショップにも多くの人が。

作業中には下崎さん手作りのクッキーとハーブティーがふるまわれ、笑顔あふれる時間になりました。

最後に願い事を結びつけ、それぞれの「紫陽花守り」が完成です。

(長崎市から)
「何十年ぶりかに来た。楽しかった。花を触る時間はいいなと。きれいなアジサイを選んだら、すごく大きかった。手がぶるぶるした」

(諫早市から)
「楽しかった。娘と一緒にできてよかった。毎日、みんなが笑っていられるように(と書いた)。

(子ども)
「お部屋(に飾る)」

(長崎市)
「差し色が良い味を出せるようにこだわった。花と向き合うことは、なかなかない機会なので、すごくいい機会だった」

(下崎 レイナさん)
「土、日がずっと雨という予報だったので、お客さんが誰も来ないんじゃないかと思ったりしたが、楽しんでいただけている。職員の皆さんは忙しそうにしているが、(建物の)中がにぎわっていてうれしい」

2日間のイベントは大成功。下崎さんの今後の目標は。

(下崎 レイナさん)
「長いようで短い任期の中で、私にできることは意外と小さい。山茶花高原の皆さんが、自分たちで盛り上げていけるような仕組みづくりをしていきたいのと、山茶花高原を盛り上げることで、小長井町全体を盛り上げ、諫早のためにつながったらいいなと思う」

地域おこし協力隊の任期は、残り1年半。まだまだ挑戦は続きます。

▼夏の花手水は「ヒマワリ」

山茶花高原では、夏にひまわりも多く咲くそうで、次のイベントとして「ひまわり花手水」を8月頃に開催したいとしています。

また 下崎さんのアイデアで、施設内のカフェでは、夏限定の新メニューとして「諫早市産メロンを使ったかき氷」の提供も予定しているということです。