「運転士が足りない」4月からバス減便へ “なり手不足と高齢化” 利用者は「減ったら困る」《長崎》
続いては、路線バスについてです。
多くのバス事業者が来月1日から減便などの対応を行います。
原因は「2024年問題」といわれる働き方改革の規制強化です。
バスの運転士などのドライバーの時間外労働は、これまで、労使間で合意すれば実質制限はありませんでしたが、働き方改革の対象の来月1日から「年間960時間」という制限が設けられるようになります。
長時間労働は是正され、公共交通の安全性は高まるものの、慢性的な運転士不足がさらに深刻化すると懸念されています。
(廣田千春さん)
「新地中華街行きです」
長崎バスの運転士、廣田 千春さん 43歳。
長崎バスで働く約600人の運転士のうち、わずか4人という女性運転士の1人です。
(廣田千春さん)
「乗客への接し方でも、やっぱり男性の運転士と違うねと声をかけてもらうこともよくあるので、女性も向いてる仕事なのかなと思う」
運転士歴は10年。
幼い頃からの憧れの職業だったそうです。
(廣田千春さん)
「高校卒業して2年間くらいは別のところで働いたけど、どうしてもバスの運転手になりたくてトラック業界から始めた。機会があればと思いながら、経験を積むためにもトラックに乗ってやっていたけど、10年前ぐらいにチャンスが訪れて、試験を受けた」
長年の目標を実現させた廣田さん。
一方で、「高齢化と成り手不足」から、運転士の数は減り続けていて、現在のダイヤを運行するのに必要な人員すら足りていないといいます。
(長崎バス桜の里営業所 浦川 昌史所長)
「当社では、平日ベースで30名ほど所定の人数に対して足りてないという現状がある。ここ5年から10年ぐらいで運転手不足の傾向というのが顕著に現れてきた」
これまでも、休日出勤や残業などで運転士の不足分を補ってきましたが、来月からは「2024年問題」に対応するため、さらにひっ迫することに。
このため、長崎バスは来月1日のダイヤ改正で、過去最大規模となる16区間を廃止。
最終便も、平日で最大45分、平均18分前後繰り上げます。
これにより、現在と比べて平日は196便、6.4%削減されることに。
利用者からは・・・
(バス利用者)
「困る。(便数が)減ったら。今くらいの便数で維持してもらえたら」
(バス利用者)
「自分の家が(学校から)遠いので、便数がなくなったら困る。結構、年配の運転士も多いので、新しい人も雇ってくれたら」
(バス利用者)
「(減便は)仕方ない、時代だから。(人手不足は)バスだけの問題じゃない。(運転士の)給料が上がればいいのでは」
長崎バスは、運転士確保のため、大型2種免許を取得する費用を支援しているほか、バスの魅力を広めるイベントも行っています。
(長崎バス桜の里営業所 浦川 昌史所長)
「地域の公共交通、路線バス、路面電車を含めて、全社局でもっとファンを増やす。より公共交通をご利用してもらう。あるいは小さな子どもや、将来、バスの運転手を目指したいというような人材の獲得に向けて、社局で連携できれば」
(廣田千春さん)
「バスの運転手ってすごくかっこいい仕事だと思う。こんな大きな乗り物を1人で回して、たくさんのお客さんを乗せるのはかっこいいと思う。1回やってみたいと思ったことがある人はチャレンジしてもらいたい」