×

住民や企業も協力し魅力向上へ 西海市「未来につなぐ脱炭素社会への挑戦」《長崎》

2024年3月19日 6:45
住民や企業も協力し魅力向上へ 西海市「未来につなぐ脱炭素社会への挑戦」《長崎》

脱炭素社会を目指し、西海市では住民や企業も協力して、まちをあげた取り組みが進められています。

新たなプロジェクトも立ち上げ、未来へつなぎます。

豊かな自然に恵まれた西海市。農林業や工業が盛んな地域です。

そんな西海市が今、力を入れているのが。

(杉澤 泰彦 西海市長)
「“脱炭素に向かうまち西海市” を目指している。頑張っています」

公用車には、“電気自動車”。去年、6台導入しました。

屋上には、“太陽光パネル”も設置されています。

(西海市新産業推進課新エネルギー政策班 拝崎 一博課長補佐)
「これから将来、CO2の削減など、環境への取り組みが大事ということで、西海市は取り組みを行っている」

2050年に二酸化炭素排出・実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ宣言」を、3年前に行った西海市。

市役所内に発足した「新エネルギー政策班」が、手軽にできる環境に優しい取り組みをSNSで紹介したり、脱炭素をテーマにしたイベントなどを行ったりして、市民への普及・促進を図っています。

▼「洋上風力」「森林資源も豊か」新たな産業の創出や地域振興へ

また・・・

(杉澤 泰彦 西海市長)
「洋上風力もあるし、森林資源も豊かで、一定のアドバンテージがあるということで進めていきたい。産業の創出につながると感じた」

企業などと連携し、再生可能エネルギーの導入や活用を進めて、新たな産業の創出や地域振興につなげることを目指しています。

市では、現在、22万7000トンの二酸化炭素を排出していますが、2030年度の排出量について、20万トン以下を目標に、国や事業者とも協力して、まち全体で削減に取り組んでいます。

その1つとして期待されるのが、“洋上風力発電”。

「江島沖の海域」で2029年の運転開始を予定しています。

また「松島火力発電所」では、来年度末に1号機を廃止。2号機は最新の設備へと更新し、将来的には二酸化炭素を出さない水素発電の拠点をめざします。

▼“間伐材”の活用 売上金は独自の地域通貨に

土地の約半分を森林が占める、西海市ならではの取り組みも本格化しています。

(木の駅西海の森実行委員会 楠本 強 会長)
「俗に言う間伐材。市場価値がない材木を切り出して活用しようという事業」

“間伐材”を活用した「木の駅西海の森」プロジェクトです。

人工林におけるヒノキの割合が、94%と県内で最も多い西海市。

プロジェクトに加わるのは、森林組合や市民団体、そして地域住民たち。

間伐材を薪やチップに加工して、“付加価値”をつけて販売し、その対価を受け取る取り組みです。

(木の駅西海の森実行委員会 楠本 強 会長)
「石炭や石油を燃料として使用してきた部分を、二酸化炭素の排出量を減らすということでバイオマス化」

売上金は、独自の地域通貨、1枚500円の “ログポイント”に還元。

ログポイントは、早ければ来月頃にも、大瀬戸町雪浦地区の飲食店など14店舗で利用できるようになり、地域の経済循環にもつながります。

(木の駅西海の森実行委員会 楠本 強 会長)
「これを機に西海市を活性化できないか。そのために賛同いただく市民のみなさんを、もっと増やしていきたい」

▼バーチャル空間に西海市を制作 若者にも興味を

市民に身近に感じてもらうための工夫も。

地域商社「西海クリエイティブカンパニー」では。

(西海クリエイティブカンパニー 宮里 賢史 社長)
「私たちが持っている太陽光パネルを、実際にバーチャル上に置いてみたものになる」

若い世代にも関心を持ってもらおうと、AIを活用し、バーチャル空間に西海市を作りました。

(西海クリエイティブカンパニー 宮里 賢史 社長)
「将来的に洋上風力ができてくれば、海の方を見ると風車ができる。太陽光パネルが増えていけば、どんどん増えていくので、まちの脱炭素の動きがここを見ると一目瞭然になってくる。私たちの世代よりも、子どもたちの方がより敏感に“自分事”としてとらえている」

▼「脱炭素のまち」実現へ 教育で未来につなぐ

“未来”につなぐ取り組みも始まっています。

市内7つの小中学校では、去年から市が中心となり、環境問題や脱炭素の取り組みについて学ぶ「出前講座」を実施。

(西海市新産業推進課新エネルギー政策班 堀川 祐輔 主任主事)
「世界の平均気温は100年前と比べて何度上がっているでしょうか?正解は1度。非常に大きな災害、大雨が増えている。そういった原因というのが地球温暖化」

講座の前後に行ったアンケートでは、環境問題について「とても関心がある」と答えた児童・生徒は、事後のほうが12ポイント高くなりました。

(児童)
「クイズ形式で、わかりやすく教えてくれたのでよかった」

(児童)
「100年に1℃しか気温が上がっていないが、結構(地球が)温かくなっていることが印象に残った」

(児童)
「ゴミの分別があまりできていない時があるから、そこを気を付けて生活していきたい」

「脱炭素のまち」実現へ、歩み続ける西海市。

地域の魅力向上にも期待がかかります。

  • NIB NEWS NNN
  • 住民や企業も協力し魅力向上へ 西海市「未来につなぐ脱炭素社会への挑戦」《長崎》