住民や企業も協力し魅力向上へ 西海市「未来につなぐ脱炭素社会への挑戦」《長崎》
脱炭素社会を目指し、西海市では住民や企業も協力して、まちをあげた取り組みが進められています。
新たなプロジェクトも立ち上げ、未来へつなぎます。
豊かな自然に恵まれた西海市。農林業や工業が盛んな地域です。
そんな西海市が今、力を入れているのが。
(杉澤 泰彦 西海市長)
「“脱炭素に向かうまち西海市” を目指している。頑張っています」
公用車には、“電気自動車”。去年、6台導入しました。
屋上には、“太陽光パネル”も設置されています。
(西海市新産業推進課新エネルギー政策班 拝崎 一博課長補佐)
「これから将来、CO2の削減など、環境への取り組みが大事ということで、西海市は取り組みを行っている」
2050年に二酸化炭素排出・実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ宣言」を、3年前に行った西海市。
市役所内に発足した「新エネルギー政策班」が、手軽にできる環境に優しい取り組みをSNSで紹介したり、脱炭素をテーマにしたイベントなどを行ったりして、市民への普及・促進を図っています。
▼「洋上風力」「森林資源も豊か」新たな産業の創出や地域振興へ
また・・・
(杉澤 泰彦 西海市長)
「洋上風力もあるし、森林資源も豊かで、一定のアドバンテージがあるということで進めていきたい。産業の創出につながると感じた」
企業などと連携し、再生可能エネルギーの導入や活用を進めて、新たな産業の創出や地域振興につなげることを目指しています。
市では、現在、22万7000トンの二酸化炭素を排出していますが、2030年度の排出量について、20万トン以下を目標に、国や事業者とも協力して、まち全体で削減に取り組んでいます。
その1つとして期待されるのが、“洋上風力発電”。
「江島沖の海域」で2029年の運転開始を予定しています。
また「松島火力発電所」では、来年度末に1号機を廃止。2号機は最新の設備へと更新し、将来的には二酸化炭素を出さない水素発電の拠点をめざします。
▼“間伐材”の活用 売上金は独自の地域通貨に
土地の約半分を森林が占める、西海市ならではの取り組みも本格化しています。
(木の駅西海の森実行委員会 楠本 強 会長)
「俗に言う間伐材。市場価値がない材木を切り出して活用しようという事業」
“間伐材”を活用した「木の駅西海の森」プロジェクトです。
人工林におけるヒノキの割合が、94%と県内で最も多い西海市。
プロジェクトに加わるのは、森林組合や市民団体、そして地域住民たち。
間伐材を薪やチップに加工して、“付加価値”をつけて販売し、その対価を受け取る取り組みです。
(木の駅西海の森実行委員会 楠本 強 会長)
「石炭や石油を燃料として使用してきた部分を、二酸化炭素の排出量を減らすということでバイオマス化」
売上金は、独自の地域通貨、1枚500円の “ログポイント”に還元。
ログポイントは、早ければ来月頃にも、大瀬戸町雪浦地区の飲食店など14店舗で利用できるようになり、地域の経済循環にもつながります。
(木の駅西海の森実行委員会 楠本 強 会長)
「これを機に西海市を活性化できないか。そのために賛同いただく市民のみなさんを、もっと増やしていきたい」
▼バーチャル空間に西海市を制作 若者にも興味を
市民に身近に感じてもらうための工夫も。
地域商社「西海クリエイティブカンパニー」では。
(西海クリエイティブカンパニー 宮里 賢史 社長)
「私たちが持っている太陽光パネルを、実際にバーチャル上に置いてみたものになる」
若い世代にも関心を持ってもらおうと、AIを活用し、バーチャル空間に西海市を作りました。
(西海クリエイティブカンパニー 宮里 賢史 社長)
「将来的に洋上風力ができてくれば、海の方を見ると風車ができる。太陽光パネルが増えていけば、どんどん増えていくので、まちの脱炭素の動きがここを見ると一目瞭然になってくる。私たちの世代よりも、子どもたちの方がより敏感に“自分事”としてとらえている」
▼「脱炭素のまち」実現へ 教育で未来につなぐ
“未来”につなぐ取り組みも始まっています。
市内7つの小中学校では、去年から市が中心となり、環境問題や脱炭素の取り組みについて学ぶ「出前講座」を実施。
(西海市新産業推進課新エネルギー政策班 堀川 祐輔 主任主事)
「世界の平均気温は100年前と比べて何度上がっているでしょうか?正解は1度。非常に大きな災害、大雨が増えている。そういった原因というのが地球温暖化」
講座の前後に行ったアンケートでは、環境問題について「とても関心がある」と答えた児童・生徒は、事後のほうが12ポイント高くなりました。
(児童)
「クイズ形式で、わかりやすく教えてくれたのでよかった」
(児童)
「100年に1℃しか気温が上がっていないが、結構(地球が)温かくなっていることが印象に残った」
(児童)
「ゴミの分別があまりできていない時があるから、そこを気を付けて生活していきたい」
「脱炭素のまち」実現へ、歩み続ける西海市。
地域の魅力向上にも期待がかかります。