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能登半島地震から1か月 鳥取県の大規模地震の想定は? 5つの断層による地震・津波被害の恐れ

2024年2月3日 7:32
能登半島地震から1か月 鳥取県の大規模地震の想定は? 5つの断層による地震・津波被害の恐れ

能登半島地震から1か月。石川県などで大きな被害が出たことを受け、鳥取県でも地震や津波対策の強化に向け、防災計画の見直しや新たな体制整備が進められています。県が「震災対策アクションプラン」の策定などの基礎データとして作成した主な地震の想定を基に、最も被害が大きくなる場合の予想をまとめました。

■5つの大規模地震を想定

鳥取県で被害の想定されている主な断層は、鳥取県東部の「鹿野・吉岡断層」、中部の「倉吉南方の推定断層」、西部の「西部地震断層」のほか、日本海・鳥取沖の「F55断層」の4つです。また、新潟県西部の佐渡島沖の「佐渡北方沖断層」でも地震の被害はほとんどないとみられるものの、津波による浸水被害が想定されています。

■鹿野・吉岡断層による地震(M7.4)

鹿野・吉岡断層では、1943年に「鳥取地震」が起こり1000人を超える死者が出ました。鳥取県はこの断層に対し、地震の規模を示すマグニチュード7.4を想定し、鳥取市の広い地域や岩美町の一部地域で震度6強、さらに鳥取市の中央から東側の地域では、能登半島と同じ震度7となる恐れがあります。

・人的被害
建物倒壊:死者約530人 負傷者 約3200人
急斜地崩壊:死者約30人 負傷者 約30人
火災:死者約230人 負傷者 約220人

・建物被害
揺れ:全壊 約7700棟 半壊 約1万2000棟
液状化:全壊 約1700棟 半壊 約7500棟
急斜地崩壊:全壊 約320人 半壊 約670人
火災:焼失 約7200棟

■倉吉南方の推定断層

県中部では、2016年10月の「鳥取県中部地震」の記憶がいまも残っていますが、地震前まで活断層は見つかっていませんでした。

一方で、同じ県中部を走る倉吉南方の推定断層では、これまで大きな地震は起こっていませんが、県はマグニチュード7.3規模の地震被害を想定しています。倉吉市、湯梨浜町、三朝町を中心に震度6強の揺れが発生するほか、北栄町と琴浦町の一部でも震度6強となる可能性があります。

・人的被害
建物倒壊:死者 約280人 負傷者 約1600人
急斜地崩壊:死者 約20人 負傷者 約30人
火災:死者 約50人 負傷者 約50人

・建物被害
揺れ:全壊 約4000棟 半壊 約6200棟
液状化:全壊 約1100棟 半壊 約4300棟
急斜地崩壊:全壊 約250棟 半壊 約530棟
火災:焼失 約1200棟

■鳥取県西部地震断層

県西部では2000年に西部地震断層による「鳥取県西部地震」が発生しています。地震の想定も当時と同じマグニチュード7.3規模で、南部町と米子市の一部で震度7となる恐れがあります。また、米子市、南部町、日野町、伯耆町、日南町の広い地域で震度6強、境港市、江府町の一部でも震度6強となる予想です。

・人的被害
建物倒壊:死者 約70人 負傷者 約790人
急斜地崩壊:死者 約20人 負傷者 約20人
火災:死者 約140人 負傷者 約130人

・建物被害
揺れ:全壊 約980棟 半壊 約3800
液状化:全壊 約4200棟 半壊 約1万4000棟
急斜地崩壊:全壊 約190棟 半壊 約410棟
火災:焼失 約4400棟

■F55断層

F55断層は、国土交通省などが2014年度に行った「日本海における大規模地震に関する調査検討会」で評価された鳥取県沖の断層で、マグニチュード8.1規模の地震が想定されています。境港市、米子市、大山町、琴浦町、北栄町の海岸付近で震度6強の地震が発生する恐れがあります。

・人的被害
建物倒壊:死者 約40人 負傷者 約690人
急斜地崩壊:死者 約10人 負傷者 約20人
津波;死者 約50人 負傷者 約260人

・建物被害
揺れ:全壊 約500棟 半壊 約3800棟
液状化:全壊 約5100棟 半壊 約1万8000棟
急斜地崩壊:全壊 約150棟 半壊 約330棟
火災:焼失 約10棟
津波:全壊 約10棟 半壊 約450棟

■佐渡北方沖断層

佐渡北方沖断層は、2012年度の県の津波対策検討調査で設定された独自の地震想定です。能登半島地震でも鳥取県に対し津波注意報が発表され、境港市で60センチ、岩美町で20センチの津波が観測されました。震源が遠い場所であっても津波による被害を受ける可能性があるとして、こうした想定を行っています。

・人的被害津波;死者 約60人 負傷者 約300人

・建物被害津波:全壊 約40棟 半壊 約1000棟

■鳥取県の対応

鳥取県では能登半島地震の後、地震・津波の想定について専門家に確認を行いましたが、現在のところ、見直しの必要はないと評価を受けているということです。一方、県民の安全・安心を確保するため、地震・津波対策の強化・充実を図る取り組みを始めるため、市町村や関係機関、専門家などとともに、研究会を立ち上げています。また、早期に対応可能な対策については、来年度の当初予算で事業費を確保し着手する方針です。