【読み解く】鳥取県内ではがんの中で2番目にり患数の多い"胃がん"の近年の傾向とは? 死亡率低下には早期検診が大切?
気になる話題を取り上げる「読み解く」のコーナーです。今回のテーマは「50歳から注意!胃がんを知ろう」。鳥取県立中央病院の尾﨑知博医師に教えていただきます。
小林沙貴アナウンサー
「"がん"と言ってもさまざまありますが、胃がんは近年どういう傾向がありますか?」
尾﨑知博 医師
「減少傾向ではあるんですが、それでも鳥取県内ではがんの中で2番目のり患数で対策が必要です」
小林アナウンサー
「こちらが2022年の鳥取県内のがん登録数、つまり、新たにがんと診断された方の部位を示したものです。最も多かったのが大腸で 1068人、次いで胃が 836人、肺、前立腺、乳房…と続きます。胃がんは年々減っているのにいまだ800人越えというのは、確かにほかの部位と比較しても多い印象を受けます」
尾﨑知博 医師
「さらに胃がんの患者さんの傾向として、
・50歳前後から増加
・男性患者が女性の約2.2倍
ということがわかっています」
小林アナウンサー
「50歳前後から、特に男性が注意が必要なのはわかりましたが、具体的に日常生活で何を気を付けたらよいのか。鳥取県はこのような啓発活動を行っています。それが、こちら」
小林アナウンサー
「『胃がん検診にいがんといかん!!』がん検診鳥レンジャーです」
尾﨑知博 医師
「鳥取県は、全国的に見てもがんの死亡率が高いので、県としても、死亡率低下に向けて力を入れているんだと思います」
小林アナウンサー
「こんなオリジナルキャラクターを作ってPRするほど、検診って大切なんでしょうか?」
尾﨑知博 医師
「はい。がんの発見経緯と進行度を示したデータがあります」
尾﨑知博 医師
「こちら島根県のものなんですが、がん検診・健康診断・人間ドックでがんを発見した人は、8割が早期がんで、2割が進行がんだったのに対し、症状などを感じて受診した人は4割が早期がん、6割が進行がんとなっています」
小林アナウンサー
「体調がおかしいな?と思う前に見つけることが重要なんですね」
尾﨑知博 医師
「早期の胃がんの多くは、自覚症状がありません。検診は、自覚症状がないうちに受けることが大切なんです」
小林アナウンサー
「胃の検査と言えばバリウム検査や胃カメラをイメージしますが、それぞれどういった特徴がありますか?」
尾﨑知博 医師
「レントゲン検査はバリウム造影剤を介して間接的に病変を確かめていますが、内視鏡検査は直接観察できるので、発見率がより高くなります。また、食道・十二指腸など他の部位の病変を偶然見つけることができるのもメリットです。一方、内視鏡検査が苦手な方はレントゲンの方が楽かもしれません」
小林アナウンサー
「それぞれメリット・デメリットがあるんですね」
尾﨑知博 医師
「どちらも、死亡率の低下が示されていて推奨されている検査ですので、ご自身の状況に合わせて、受けていただければと思います。検診で早期に発見して治療すれば、胃がんで亡くなることを防ぐことができます」