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【特集】世界最大級の研究船「みらい」運用終了へ 日本初の原子力船として建造、数奇な航跡を辿る

2024年3月21日 19:30
【特集】世界最大級の研究船「みらい」運用終了へ 日本初の原子力船として建造、数奇な航跡を辿る

むつ市の関根浜港を母港とする海洋地球研究船「みらい」が再来年度で運用終了となります。
数奇な生い立ちと世界に注目された研究成果、その激動の航跡を紹介します。

今月、「みらい」は北海道沖合の調査に向かうためむつ市の関根浜港に帰ってきました。
4年ぶりの母港で山本市長たちも出迎えました。
海洋研究開発機構・JAMSTECが保有する「みらい」は世界でも最大級の海洋観測船。
北極の氷にも耐える頑丈な船です。
最大の特徴は巨大なサッカーボールのような「ドップラーレーダー」です。
電波を発射し雲の中の風や雨の速さなどを観測する装置で、ほかの国の砕氷船にはないといいます。
長期の観測ができる研究設備もあり、まさに「洋上の研究所」。
およそ200日間で太平洋、大西洋、インド洋を一気に横断した観測航海は世界中の研究者を驚かせました。
なぜこれほどの船がむつ市を母港としているのでしょうか。

海洋地球研究船「みらい」 井上治彦 船長
「『むつ』を半分に切って後ろに新しい船体をむつの前部の船体にくっつけて『みらい』として生まれ変わりました」

「みらい」の前身は日本初の原子力船「むつ」です。
夢の動力と期待され、大湊港にやってきました。
1974年、県内ではホタテ養殖が軌道に乗り始めた頃でした。

「帰れ」

400隻の漁船が取り囲んで出港に反対。
その1週間後、尻屋沖で放射線漏れを起こします。
修理や長い話し合いを経て1988年に母港を関根浜港に移し、1992年に廃船になりました。
廃船後、船を半分に切断して原子炉を撤去。
大規模な改造を加え「むつ」は「みらい」に生まれ変わりました。

海洋地球研究船「みらい」 井上治彦 船長
「原子力船から引き継いでこの『みらい』を絶対成功させなければいけないという使命感は強く持っていました 過酷な環境のなかの作業もありましたしかしながらそのなかでいろんな研究成果を得ていろんな分野で役に立てたと思いますのでわれわれとしてはやってきたという達成感は大きく持っています」

「みらい」が観測したデータは地球環境の将来を予測する研究などに役立てられています。
「むつ」から55年、「みらい」になって27年、老朽化のため2025年度でその激動の航海を終えることが決まりました。
海洋調査の役目とドップラーレーダーはは新しく建造される研究船「みらいⅡ」に引き継がれます。

むつ市 山本知也 市長
「市としてもこれからも支援をしていきたいという思いがありますのでこの次の船がそういった活動を引き継いでくれると思いますのでむつ市としても世界の海洋研究に貢献できる地域となっていきたいそういう思いを持っています」

海洋地球研究船「みらい」 井上治彦 船長
「地球環境の解明 地球温暖化の防止となる研究ができれば3次の船の目的が達成されて日本ひいては世界のためになる船になることを望んでいます」

「みらいは」ことしの夏にも関根浜港に帰港する予定ということです。
新しい研究船は2026年の秋の完成をめざしていて、むつ市は引き続き関根浜港を母港とするようJAMSTECに要望しています。

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