【特集】「青森からの輝石」 江戸文字を継承 現代アートに情熱
「青森からの輝石」、青森から羽ばたき活躍する県人たちを紹介しています
こちらは音楽グループ「ゆず」の曲「奇々怪界」のカバーアート、デザインしたのは青森県出身の人物です。
きょうは日本の伝統的な文字を生かした現代アートに情熱を注ぐ五戸町出身のアーティストです。
東京・秋葉原のIT企業のオフィス。入り口に壁画のアートが描かれていきます アメリカの実業家ジャック・ウェルチの「変革せよ。変革を迫られる前に。」という名言をダイナミックな漢字で表現しています。
この現代アートを描いたのが五戸町出身で首都圏に住むアーティスト「MILTZ」さんです。
★五戸町出身 MILTZさん
「デジタル上で字を書くときはだいたいこのソフトを使ってアイパッドで文字を書いちゃってパソコンに取り込んで色を補正したりラインをちょっと微調整したりもしますし」
MILTZさんの作品は江戸時代盛んに使われた「江戸文字」がモチーフです。ストリートアートやアラビア文字、中国・モンゴル書道などの要素を融合させて現代的にアレンジしています。
★五戸町出身 MILTZさん
「この作風になるまではなんでもデザインする動画でもウェブサイトでも本でもファッションでもずっと人のものを作ってるなと思い始めてやっぱり自分がかっこいいと思えるものを作りたいルーツがないと弱いなと思ってじゃあ自分のルーツなんだろうと考えた時に何もなくて一般の普通の家庭だしそこで日本人であることしかないな」
絵を描くのが好きだった「MILTZ」少年。
子どものころノートだけでは足りずチラシの裏にも絵を描き続けました。ゲーム「星のカービィ」のパッケージや「ポケットモンスター」のキャラクターをまねるなどしていまのデザインの基礎を作りました。
またふるさと五戸町の自然のなかで遊びを見つけることが創作活動の原点となりました。
★五戸町出身 MILTZさん
「良い意味で山しかない町だったそれを言ったら怒られるのかな山に入っていって強い木の棒で剣見つけたと言ってずっと雑草切って敵を倒したみたいな 何もないところで楽しむためにはどうすればいいか今の考え方に基づいてるかもしれないですね」
高校卒業後に上京しグラフィックを学ぶため専門学校に入学。2年間デザインを学び20歳のとき飛び込んだのが広告業界でした。
3年後の23歳で独立しフリーランスとなります。
服やウェブサイトなどさまざまなデザインを手がけました。
2015年からいまの作風となりアーティストとして本格的に活動し始めたのです。
上京して17年目のことし大きな転機がありました。
イギリスの自動車メーカー「マクラーレン」のF1マシンのカラーリングのデザインを任されました。フレーバー付きの水蒸気を楽しむ世界的なブランド「ビューズ」とのプロジェクトで新進気鋭のクリエーターに選ばれたのです。
デザインしたマシンは今月7日鈴鹿サーキットで行われたF1日本グランプリを走りました。
★五戸町出身 MILTZさん
「まさかF1のデザインするとはという感じ 文字を加工して模様っぽく見せないとうまくいかないだろうなと話が来た時点でなんとなく想像は出来ていてなので今回は雲とひげ文字の太いラインを競争する竜に見立ててグラフィックを1個作ってそれをレイアウトしていく 僕のターニングポイントになる仕事だなと思いましたね」
大きく飛躍したMILTZさんの夢は…。
★五戸町出身 MILTZさん
「絵を描く向こう側の価値というか何か自分の力で持っていければいいなと思いますね たぶんもはや絵だけじゃないと思うんですけどスタイルをこう呼ばれるとか語り継がれるものになればいいなと1つ夢としてありますね」
好きなことを仕事にしているというMILTZさん。後世に語り継がれるデザインをめざしてきょうも作品と向き合います。