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四国沖の初ガツオ1か月早く絶好調スタート!地元ならでは”日戻り”の食感はほぼ餅?セリでNISA投資の厳しさ体感

2024年4月12日 19:00
四国沖の初ガツオ1か月早く絶好調スタート!地元ならでは”日戻り”の食感はほぼ餅?セリでNISA投資の厳しさ体感
四国沖で1か月早く始まった初ガツオの特徴は脂の乗り

「何だこれは!味わったことのない食感。これはカツオか?」

今年は1か月も早く初ガツオの水揚げが絶好調だと聞いて、四国一の水揚げ量を誇る愛媛県愛南町の深浦漁港を訪れた。

市場食堂で、その日一本釣りされた初ガツオを食べたが、思わずうなった。

そのモチモチ感、ほぼ餅…といえば大げさに聞こえるだろうか、そう感じた。

さらに”さっぱり”が特徴とされる初ガツオなのに脂がのっている、なぜだ?

一般に、全国的には漁獲量の減少などで苦境が伝えられる漁業だが、カツオ漁は量、価格ともに好調で、取材した日のセリではキロ2,000円もの値が付いた。

これはお盆など特別な日につく値段とほぼ同じらしい。

目の前で競り落とされた初ガツオを買って、「株式市場もこういう感じなのかなぁ?」「今日はお盆なみの高いカツオを買ったのか、昨日だったらもっと安く買えたのかな?」と岸田政権の目玉政策、NISA(少額投資非課税制度)の厳しさを魚市場で体感した。

【南海放送オピニオン室 三谷隆司】

初ガツオは四国沖で豊漁、水揚げは愛媛に集中

カツオは暖かい海に住む魚で、春、黒潮(暖流)に乗って太平洋を北上する。

つまり単純に九州沖、四国沖、関東沖…と釣れ始め、その順に初ガツオが食べられるわけだ。

しかし自然相手だからそう簡単にはいかず、食卓に上るまでには様々な関門が立ちはだかる。

①年によって黒潮の蛇行が異なる。つまりカツオの居場所や量が異なる。

②エサに生きたイワシが必要、イワシがないとカツオが釣れない。イワシを備蓄した港が必要。

③セリや流通など販売の基盤が整い、鮮度などカツオを美味しく保つ人間(漁協)のサポートも必要。

今年は四国沖の「いい黒潮の枝がえぐり込むように」(漁業関係者)沿岸に近づき、愛媛県最南端の愛南町深浦漁港にとって絶好の流れになった。

さらに九州沖でほぼ釣れなかったため、深浦漁港を拠点とする漁船が3月の初ガツオを独占。

3月の水揚げ量は377トンと直近5年間平均の186トンの2倍を超えた。

ところで、カツオといえば高知をイメージするが、なぜ愛媛の漁港なんだろうか?

理由は②のカツオの一本釣りに欠かせない撒き餌、生きたイワシにある。

深浦漁港にストックされたイワシの品質はすこぶる評判が良く、量も豊富、このイワシが漁の行方を大きく左右するのだ。

ちなみにカツオ漁船はほぼ全て高知の漁船。釣るのは高知、基地機能は愛媛という役割になっている。

異変?四国沖で越冬するカツオも?

取材は4月5日、3月の豊漁が落ち着き、漁船によって漁獲にバラつきが出ていたが、「今、カツオは相当にいい。冬場に南の海に戻り切らず、四国沖で越冬しているカツオがいるように感じる。そこに南から上ってきたカツオが加わっている感じ。水温が20度から18度くらい(で、下がり切っていない)」(高知の漁船・光丸の船長)という。

自然相手なので、船長もあくまで”体感”を話しているが、海の環境の変化を注意深く見守る必要はありそうだ。

セリでNISA”投資”の厳しさを知る?

取材した日は量こそ少なかったがセリ値が「盛漁期とほぼ同じ」(漁業関係者)、お盆なみのキロ1,500円から2,000円の高値がついた。

私も撮影用に小サイズ(2キロ強)を買ったがキロ1,887円だった。

コンビニか酒屋でしか普段、買い物をしない私にとって、”日によって違う値段”を実感できたのは非常に勉強になった。経済は教科書だけでは学べない。

大げさかもしれないが、魚市場も株式市場も仕組みは一緒。岸田政権の目玉政策であるNISAにはメリットもあればデメリットもある。その理由は”日によって値段が違う”という市場の機能にある。

全国の初ガツオの水揚げが深浦漁港に集中した3月に水揚げされたカツオの平均単価はキロ600円、取材日に買ったカツオはその3倍だったわけだ。しかしカツオとしての価値は変わらない。

時期や天候、漁獲量、競合する食品、ブランド価値、食べたいと思う消費者の数など…無数の条件が偶然重なって、その日の値段が決まる。

正直、「高値買いしたかな?」と思った。が、あとでその価値に十分、満足する結果になる。

愛南町でしか食べれない特別なカツオ

これ以上の鮮度はあり得ない「日戻りガツオ」の秘密は、深浦漁港の位置にある。

初ガツオは黒潮とともに上ってくるが、四国愛媛の南端にある愛南町だと黒潮の漁場まで2~3時間で到着する。

未明に出港し、日の出とともに一本釣りが始まり、カツオの群れを探しても日帰りが可能だ。

この漁場までの距離の近さが深浦漁港の強力な武器だ。「安定的に日帰り漁ができるのは、全国でここしかない」(地元の漁業関係者)という。

深浦漁港でのセリは午後2時半に行われ、そのカツオを市場食堂(一般の人も利用可能)で刺身で食べた。

カツオを釣るのは腕次第、強者が生き残る

地元ではカツオを濃くて甘い醤油とワサビで食べるが、恐らくそうしないと醤油がカツオの力強さに負けるからだろう。

一口、口に入れて唸り、二口食べて思わず「これは全く別モノだ」と声を上げてしまった。

確かに脂がのっている。近くにいた漁業関係者のお客がビール片手に「高級な牛肉なみやろ」と応え、「値段も結構するけどな」と笑った。

そして「どのカツオ漁船もいいわけじゃないんよ。釣る船もあれば、釣れない船もある。腕次第や。釣る船に船員も集まる。そんな船が生き残るんや」「ワシは海がしけでも出たで~」と猛者ぶりを誇った。

アニマルスピリッツ溢れる漁師が一本釣りした、極上の初ガツオは愛南町深浦漁港の市場食堂で食べることができる。定食でこちらは定価1,550円。インスタなどでその日の入荷をチェックしてくださいとのこと。