夕暮れ時「車のライト」いつ点ける?歩行者が見えなくなる“蒸発現象”…日没早まり注意すべきポイントは
松山市の日没はこの1か月で40分も早くなり、帰宅ラッシュと日没が重なるこれからの季節は交通事故が増える傾向です。普段何気なく使っている 「車のライト」の特性を知って正しく使うことが重要です。
杉本記者:
左の写真が1か月前、8月23日の午後6時35分頃。
一方右の写真は、きのうの6時35分頃の様子。松山の日没時刻は1か月前は午後6時45分、今が午後6時3分ですので、およそ40分日没が早まっています。
松岡キャスター:
同じ時刻でこんなに明るさが違う…日の入りが1年で最も早くなる12月上旬になると日没が午後5時ですから、帰宅ラッシュと日没がどんどん重なってくるんですね。
杉本記者:
これに伴って交通事故も増える傾向があります。
こちらは、県内で去年発生した日の入りの1時間前を含む夜間に発生した「歩行者と車の事故」の件数を折れ線グラフで、死者数を棒グラフで月ごとに示しています。
発生件数は6月に入りぐっと下がり、夏は比較的少ないですが、9月以降、冬にかけて急増し、12月にはピークに。死者も3人と急増しました。
事故を防ぐためにぜひ知っておいてほしいのが…車のライトの“落とし穴”です。
JAF愛媛支部で交通安全講習などを行うセーフティアドバイザー権名津博さんです。
まずは、「夕暮れ時」のライトの点け方について、みなさんにクイズです。
権名津さん:
「少し暗くなった時に、スモールライトつきますね。これ車幅灯なんて言いますけど、車の幅、ここに車がありますよというのを知らせるためのものです」
夕暮れ時のライトはスモールライトをつける。〇か×か?
正解は…
権名津さん:
「これではですね、向こうから見えないというのがあります。このスモールランプだけでは歩行者の方は分かりにくい」
ということで、正解は×!
JAFの調査によると、「早めのライト点灯を実践している」と回答したドライバーは8割に上ったものの、そのおよそ半数が「スモールランプを点灯」していることが分かりました。
権名津さん:
「まずは車の存在を相手に知らせるという意味があります。自分の車はここにいますよ、車が近づいていますよ、ていうのをこれ(ヘッドライト)で知らせます」
また、夜間にスモールランプだけで走行すると「無灯火」として違反になります。
意外と知らないライトの使い方。まちで“車のライト”についての疑問を聞いたところ、最も多かったのが…
男性:
「どうしてるのかな?というのは個人的なギモンです」
男性:
「夕方ぐらいにはつけたい。感覚ですね」
男性:
「何時から点ければいいのか分からないですよね、具体的には。他の車が点けたら点けます」
いつライトを点けるか?
松山市本町で、国道196号を北向きに走る車を対象に定点観測しました。日没前の10分間に通過した車は125台。このうち、ライトを点けていた車は72台で、点灯率は58%。
その後、日没後10分間で点灯率は84%になり、30分後には100%になりました。しかし中には、日没から20分を過ぎてもライトを点けていない車も…
こちらは、夜間、信号のない交差点を右折しようとする車のドライブレコーダーの映像です。右から車が通過し交差点内に進みますが…後続の車と衝突。後続車はライトを点けていませんでした。
JAFでは、まだ明るいかなと感じても、“つけ忘れ”を防止するため、「日没の30分前」にはライトの点灯を呼び掛けています。
この“つけ忘れ”を防ぐため、車に搭載されているのが周囲の明るさを検知して自動的にライトを点けたり消したりする「オートライト」機能です。
しかし、この機能にも落とし穴があるといいます。
権名津さん:
「2020年4月以降に購入された車でしたら、今の基準の1000ルクス以下であれば点灯するとなってるんですが、その以前の車は基準がけっこうバラツキがあります」
2020年4月の義務化前に販売された車にはオートライト機能がついていても、どれ位暗くなったら点灯するかの基準がなかったため、車種によって点灯のタイミングにばらつきがあり…
JAFが車種の違う5台で実験をしたところオートライト機能を使ってのヘッドライトの点灯には最大で40分のひらきがありました。
権名津さんによると、「1000ルクス」の目安は信号や前の車のブレーキランプが目につくようになったら。これを意識して“ライトON”するようにしてほしいということです。
権名津さん:
「手間はかかりますけれども、ちょっと暗くなってるなとか 他の車がつきだしたな、となった時に、早めに手動でつけていただくのが必要だと思います」
また、車のライトにはこんな特徴も…
杉本記者:
「まっすぐに車のライトは壁を照らしていますけど、右の方が斜めにちょっと角度が落ちている」
権名津さん:
「下がっている」
車のヘッドライトが対向車にまぶしくないよう、右側の照射範囲が狭くなっています。
去年、県内で夜間に発生した横断中の歩行者の事故のうち、歩行者の進行方向が「左から右」は26件なのに対し、「右から左」は40件とおよそ1.5倍多く、ライトの性質などもふまえ、特に“右からの歩行者や自転車”に注意する必要があります。
【スタジオ】
松岡キャスター:
感覚で使っていた車のライトも、特性を知って使用していく必要がありますね。
杉本記者:
走行中の基本は「ハイビーム」です。前方に車や歩行者がいない時は「ハイビーム」、いる時は「ロービーム」としっかりライトを使い分けて下さい。
また、ライトを点けていても注意するポイントがあるんです。横断歩道を右から左へ歩行者が渡っています。
自分の車と対向車のライトが交差した瞬間、歩行者の上半身が見えづらくなりました。これは『蒸発現象』といって、夜間のほか、雨が降っている時にも発生しやすいとされています。
ドライバーは、「ライトを点けているから」と安心せず、しっかり左右を確認するなどより注意深い運転を、また、歩行者は明るい服装や反射材で自分を見えやすくして、特に道路を横断する時は左右の確認をお願いします。