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「生活道路」の法定速度が60キロ→30キロに!事故から見える危険、進む対策は

2024年9月4日 17:00
「生活道路」の法定速度が60キロ→30キロに!事故から見える危険、進む対策は

新学期も始まりましたが、きょうのテーマは「生活道路」。

私たちが日常的に利用する道路です。 現状、生活道路の法定速度は原則として自動車専用道路などの他の道路と同じく時速60キロとなっています。

しかし先月政府は、その速度を2026年の9月に時速30キロまで引き下げることを閣議決定しました。 背景には「生活道路」での歩行者などの安全を確保すること、これまでに発生した事故の重大性も深く関わっているとみられます。

愛媛県内でも発生している 生活道路の事故から見える危険、そして進む対策を取材しました。

生活道路には多くの危険が潜んでいる

これは、生活道路を走行中の車のドライブレコーダーの映像です。住宅の敷地から突然…子どもが飛び出してきました。ドライバーの咄嗟の急ブレーキで、幸い事故にはつながらなかったケースです。

私たちが日常的に利用する生活道路には多くの危険が潜んでいます。

店の前が生活道路:
「通学中の子どもが自転車で目の前をすっーと行ったりするので、気を付けるようにはしている」

自宅前が30キロ規制道路:
「朝晩が多いのは多い、車が。特に平日。車が両方から来るので少し接触しそうになったりとか」

警察庁が法定速度を時速30キロに改正するのは、センターラインや中央分離帯のない道路で、目安として道幅が5.5メートル未満の狭い道路などが対象となる見通しです。

生活道路上での事故 半数が「車と歩行者・自転車」

県内では去年1年間に、道幅5.5メートル未満の生活道路上で336件の事故が発生。なかでも、車と歩行者・自転車乗車中の事故はおよそ46%と全体の半数近くを占めています。

この日、西予市宇和町の30キロ規制の道路では、警察が速度取り締まりを行っていました。商店街の中を通っていて学校の通学路にも指定されているこちらの道路。普段から交通量が多く、事故が発生しやすい場所です。

4年前、この商店街の交差点でひき逃げ事件が発生。当時、下校中の小学4年生の男の子が車にはねられ、足首を骨折する大けがをしました。

西予署・西岡交通課長:
「ちょうどこちらの交差点が令和2年に小学生が被害に遭った、ひき逃げの現場の交差点になる」

清家記者:
「かなり見通しが悪くて道路も狭いように感じるんですが…」

西岡交通課長:
「大体道路の幅も4メートルくらいになるのでそういった意味では視界も悪くて危ない」

現場は道幅、およそ4メートルの生活道路と30キロ規制の商店街道路が交わる交差点。

当時男の子は生活道路を南に進んでいたところ、商店街の道路を走っていた車にはねられました。

当時を知る住民:
「あそこは少し見えづらいからね少しカーブになっている」
「夕方の時間帯だったと思うがどうしても交通量が多い時間帯だった」

生活道路ではここに注意!

そこで、生活道路での注意ポイントを西岡交通課長に聞きました。

まずは、道路環境。道幅が狭い生活道路は見通しが悪く、急な飛び出しやスピードを出した自転車が前から来た場合、ドライバーがすぐに反応できないため、事故につながるケースが多いと言います。

西岡交通課長:
「ドライバーには急な飛び出しがあるかもしれないということを 念頭に置いて徐行する、(交差点では)一時停止してもらう、歩行者に思いやりを持って運転してもらいたい」

さらに、取材した道路の場合は…

付近の住民:
「割合みんな飛ばすんよ、危ない。抜け道になっているここ」
付近の住民:
「結構交通量も多くて結構スピードも出ている。国道と並行して走っているのでついつい商店街の方が渋滞しないので」

国道のすぐそばを走る商店街の道路。信号機が少なく、渋滞を避けるための抜け道となっていることから、スピードを出しすぎる車が多いようです。

生活道路での注意ポイント②車の速度。

西岡交通課長:
「慣れている道ということで無意識というか知らず知らずのうちに速度が出てしまうというのがあるかもしれない」

生活道路の法定速度が時速30キロに引き下げへ

生活道路の法定速度は2年後に、時速60キロから30キロに引き下げられることになっています。

この“30キロ”という速度にもポイントが―。

去年、県内で発生した車と歩行者・自転車乗車中の事故を速度別で見てみると、時速30キロ未満の致死率に比べ、30キロ以上の致死率は20倍以上と急激にアップします。

西岡さん:
「一般的に衝突のエネルギーは速度が速くなればなるほどその2乗分大きくなるので、速度が速くなれば致死率も高くなる」

県内各地で進む“速度対策”

その速度対策として設置されたのがこちらのハンプ。道路の一部を隆起させ、通過する車両に上下の振動を与えることで減速を促します。

この商店街では現在2カ所に設置し、安全の確保につなげています。

ハンプ近くの住民:
「どうしても減速をするので一定の効果はあったんじゃないかな。朝晩は住み始めたころから危ないなというのは思っていたので、少しでも効果が出ているのはいいこと」

変わって大洲市の菅田地区。

大洲河川国道事務所 藤本副所長:
「こちらがゾーン30プラスのエリアのスタートになります」

ゾーン30プラス。警察が全国で進める最高速度・時速30キロの区域規制「ゾーン30」とハンプなど設置物を組み合わせ、生活道路をより安全な通行空間に整備したエリアです。

藤本さん:
「通り抜けが多い。速度がそんなに落ちていないというところがあるので、速度抑制を観点に整備している」

今年3月に整備が完了した菅田地区では、小学校と中学校を囲む外周およそ2.6キロの範囲を「ゾーン30プラス」に設定。エリア内には西予市にも設置されていたハンプを含む、主に4つの対策が施されています。

まず、ゾーン30プラスの入り口付近。設置されていたのは、段差舗装とイメージハンプです。

藤本さん:
「(段差舗装は)実際ガタガタと、線は段差があるし、イメージハンプは走ってくると立体的に見えるので、ドライバーに違和感を与えて速度抑制を促すような効果がある」

その先にはハンプも設置されています。

さらに進んでみると、見えてきたのは…緑色のカラー舗装。

藤本さん:
「ここに横断者がいる可能性がありますよというのを示してる。横断歩道も設置できない幅ということもあるので、法定表示ではない色で明示をしている」

道路と交わるように細い道が通るこちらの場所ではmドライバーから歩行者に気づいてもらえるような工夫がなされています。

藤本さん:
「このエリアを設定した目的である通過交通の抑制、速度の抑制が現実になればと思っているので、車のドライバーは意識をしてほしいなと思う」

実はこうした対策は、地域の住民の声が大きく反映されていると藤本さんは言います。

「交通安全というところでいくと警察に相談するのがいい。実際道路でなにか対策するとなればそこの道路管理者に言ってもらえれば、必要であれば対策はすると思う」

Q.そういった声はどんどん上げていいのか?
「あげていった方がいいと思う。それが交通事故の減少にもつながるので、そういう要望があればあげていってほしい」

私たちの声が道路環境を改善させ、痛ましい事故を減らすきっかけになるかもしれません。