かんきつのトロ!せとかを作って20年…手間暇惜しまぬ農家と“3つの太陽”が育てる愛媛の高級ミカン
松山の旬、きょうは果肉のジューシーさで柑橘のトロとも言われている「せとか」に注目です。これを育てて20年。西日本豪雨災害を乗り越えて奮闘する男性を取材しました。
愛媛県松山市高浜港からフェリーでおよそ10分。興居島です。
水口気象予報士:
「おはようございます。よろしくお願いします。いろんな所に黒いネットというか…」
山岡さん:
「サンテと言いましてこれをかけることによって色の退色ですね。これをかけてないと黄色くなっちゃうんですよ。あと鳥。こうやって見えちゃうとヒヨドリが来て食べちゃうので」
水口気象予報士:
「それだけ美味しいんですか」
山岡さん:
「う~ん美味しいんでしょうね」
全国生産量1位! デリケートで苦労も多いせとかの栽培
サンテと呼ばれる黒いネットをかけて大切に育てられているのは今が旬!全国生産量1位を誇る松山農林水産物ブランドの「せとか」です。
「清見」と「アンコール」「マーコット」の3つのかんきつを交配して誕生したせとかは、1箱6000円前後の値が付けられる高級かんきつです。
柑橘農家の山岡さんはせとかを栽培して20年!その大ベテランも手を焼いているのが…
山岡さん:
「鳥とかそういう獣から守るためにトゲを出しとるんやってよく聞くんやけど、そのトゲで自分が刺さってますからね」
枝についた鋭い「トゲ」です。
山岡さん:
「これらですね。自分のトゲで。風も吹いたら揺れるし。傷にはなりやすいですね」
実に傷がつくと商品価値を下げてしまいます。
そのため、トゲのついた枝を剪定するなどこまめな管理が欠かせません。
2月中旬から3月上旬にかけて収穫のピークを迎えるせとか。
特に興居島のせとかは、海水温が高く雪雲が流れ込みにくいなど、冬場暖かくなる条件が比較的揃っているため、路地でも冬を越すことができるのです。
さらに。
山岡さん:
「おひさまですね。3つの太陽ってよく言いますよね。お空の太陽と海に反射する太陽。あと石垣が昼間熱もってるんでよく言うんですけ ど。そういう条件が揃うと美味しいものができます」
温暖な気候に加えて、日当たりが良く傾斜地で水はけがいいことも興居島でせとか栽培を盛んにさせた要因です。
現在、島の柑橘農家の8割がせとかを栽培していて、県内でも有数の産地となっています。
災害の爪痕残るなか 収穫を迎えた農家の思い
山岡さんは今から35年前30歳の頃に脱サラして柑橘農家に転身しました。20年ほど前には、当時注目されていたせとかの栽培を始め、順調に生産量を伸ばしていた2018年、西日本豪雨が園地を襲いました。
山岡さん:
「もうそこの上も土砂崩れで通行できませんでしたからね。どんと道の上から崩れてきて上の1列ぐらいは木が土砂に埋まったかな」
300本を越えるせとかが植えられた30アールの園地は地面が土砂でえぐられ、土に埋もれてしまった木もあったといいます。
山岡さん:
「やっぱりどういう状況にあろうと僕らの仕事はこれですからね。何とかでもこうやって果実がなって収穫できて皆さんがよろこんで食べていただけたらありがたいなとそう思いながら仕事をしてますよね」
いまだに災害の爪痕が残る中、山岡さんの愛情をたっぷりと受け今年もせとかが実を付けました。
山岡さん:
「紅まどんなと同じようにすごくジューシーで」
果皮が薄く柔らかいため手で簡単にむくことができますが、カットするとより食べやすくなるそうです。
水口気象予報士:
「うん!甘!ジュースみたいに甘くて実が本当にプルンプルンですね。すごくジューシー。ゼリーみたいです。甘さの中にもちょっと酸味もあっていいバランスですね」
山岡さん:
「せとかをトロみたいなっていう感じで」
水口気象予報士:
「トロみたい!確かに!」
トロっトロの果肉に爽やかな香りも楽しめるせとかは糖度が15度。メロンのように甘く濃厚な味わいです。
松山農林水産物ブランド「せとか」はJAえひめ中央の直売所太陽市や、松山市内のスーパーなどで3月下旬頃まで販売されます。
山岡さん:
「今年も苦労しながらですが美味しいせとかができましたので、ぜひ皆さんで召し上がっていただきたいと思います」