「国が生活保護費を引き下げたのは違法」原告側が勝訴 松山地裁が市に“減額の取消し”命じる
国が生活保護費を引き下げたのは違法だとして、松山市内の受給者が減額の取り消しを求めていた裁判。
きょうの判決で松山地裁は、原告側の訴えを認め、松山市に減額の取り消しを命じました。
この裁判は国が、物価の下落などを理由に2013年から段階的に生活保護費を引き下げたのは違法だとして、松山市内の生活保護受給者30人が生活保護の実施機関である松山市に対し、減額の取り消しを求めていたものです。
きょうの判決で松山地裁の古市文孝裁判長は「物価の変動率にあわせて生活扶助費を変え、デフレ調整を行った国の判断過程は明らかに合理性を欠くと言える」などとして、松山市に対し、30人の生活保護費の減額を取り消すよう命じました。
原告側の弁護団長 菅陽一弁護士:
「ホッとしたというところがある。この10年を超える訴訟を私が弁護団を務めながら進めてきて、こういう結論を迎えることができたことは本当に嬉しいことです」
原告・福岡哲男さん(60代):
「一緒に立ち上がってくれた仲間が(判決が出るまでに)だいぶ亡くなったのでいい報告ができるのが嬉しいが、残念でなりません。もっと早く解決したらよかったなと思っている」
判決を受け、松山市は「判決内容を確認し、国と協議して今後の対応を検討したい」とコメントしています。
原告団によると、生活保護費の引き下げを巡る同様の裁判は全国で31件行われていて、そのうち一審判決で原告側が勝訴したのは、今回で19例目だということです。