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「人形とは全く違う。怖かった」看護学生が清掃作業中の男性に心肺蘇生 12人のリレーが救った命

2023年12月16日 12:00
「人形とは全く違う。怖かった」看護学生が清掃作業中の男性に心肺蘇生 12人のリレーが救った命

12月14日、松山市中央消防署から聖カタリナ大学の学生11人と教員の計12人に感謝状が授与されました。

勇気ある、的確な‟連携プレー”で一人の命を救ったからです。

今年10月24日の夕方。
聖カタリナ大学松山市駅キャンパスの教室で自習や学園祭の準備をしていた2年生の学生たち。

一人が、教室のすぐそばの廊下で清掃作業をしていた高齢男性が倒れていることに気付きます。

聖カタリナ大学2年 橋元深緒さん:
「脈をみたが、なかった」

聖カタリナ大学2年 香川ここのさん:
「(顔色が)青黒いというか、普通の色じゃなくて、異常な状態だとすぐに分かりました」


男性が心肺停止状態であると確認した学生たちは、男性を仰向けにし、気道を確保したあとすぐに胸骨圧迫を開始。

「自分がやるしか」次々と動き出す12人

ある学生は、事務室の職員へ事態を知らせたあと救急隊がすぐに入って来られるように建物の入り口に立ち、搬送経路を確保。

ある学生は、教員や他の学生に応援を要請し、スマートフォンに症状や時間の経過を記録します。

男性を助けようと、誰に指示されることもなくそれぞれが行動に出ていたのです。

119番通報した男子学生は、消防指令員の指示のもと「ライブ映像119」(今年4月に松山市消防局で運用開始)を使って、スマートフォンで男性の様子を撮影。

消防指令員にリアルタイムで現場の様子を伝えながら、救命活動をアシストしました。

懸命の‟救命リレー”が始まっておよそ7分後、救急隊が到着。

男性は一命をとりとめ現在、病院を退院しているそうです。

完璧な救命処置。彼らは実は…

松山市中央消防署の政田昌三署長から「心肺蘇生、AEDの準備、救急隊の誘導…全てが同時にできていて、救命につながった。本当に素晴らしい」と感謝を述べられた学生たち。

実は全員看護師を志す看護学生で、1年生の時に心臓マッサージやAEDの使い方などの基礎を学んでいたのです。

聖カタリナ大学人間健康福祉学部看護学科2年 橋元深緒さん:
「人形を使っての胸骨圧迫はしたことがあったけれど、実際は初めて。自分では深く押せていると思っても、あまり押した感覚がなかったり、訓練とは全く感覚は違いました。不安と怖さはずっとあったけれど、自分がしないと、という気持ちで無我夢中だった。無事退院されたと聞いた時は本当に命をつなげられてよかったなと思いました」

もしも、に備える

消防庁のデータでは、心肺停止状態の人に応急手当を行った場合、1か月後の社会復帰率は行わなかった場合と比べおよそ3倍高くなることが分かっています。

学生たちの勇気ある行動と知識が救った命。

松山市消防局では、心肺蘇生法やAEDの使い方などを学ぶ「応急手当講習」を定期的に開催していて、「大切な人の命を救うために、是非受講してほしい」と呼び掛けています。

「応急手当講習」は、松山市在住者や市内に通勤・通学をしている人が対象で、事前申し込み制で無料で受講できます。

■応急手当講習のご案内(松山市HP)
https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/bosai/sbbousai/sikenkoshu/oukyuteate/oukyuuteatekousyuu.html