【挑戦】ヒレナマズの陸上養殖… 本当においしいの? 医療法人が挑む食の未来! ナマズの魅力を大調査(every.しずおか特集)
「フグの唐揚げを食べてるみたいな感じで、すごくおいしいです」
この食べ物の正体は…何とナマズ!実は、静岡県内初となるヒレナマズの陸上養殖が始まったんです。
「ふ化から成長まで全て水道水で育てているので臭みが全くない」
「高たんぱくで栄養価も高い、陸上養殖で生産した魚のマーケットは広がってくる」
泥臭いイメージがあるナマズですが、最新式の陸上養殖には様々なメリットがありました!
本当においしいの? ヒレナマズの魅力を大調査!
静岡・湖西市新居町。2023年12月、県内で初めてヒレナマズの陸上養殖が始まりました。この取り組みを始めたのは、浜松市や掛川市で病院などを経営する医療法人「好生会」。なぜヒレナマズの養殖を始めたのでしょうか?
(医療法人好生会 渡邊 実輝宏 理事長)
「物価の高騰や人件費の高騰もあって、病院給食の維持が難しくなってきたのがここ数年で、ヒレナマズに限らず(養殖で)いろんな魚をつくって、給食の方に役立てたい」
病院給食の食材を自分たちの手で育てようというのです。そこで、空き倉庫を買い取り、養殖場を作ることに。
直径4.6m、容量20トンの2つの大きな水槽で飼育します。この陸上養殖のシステムには様々なメリットが。
(医療法人好生会 渡邊 実輝宏 理事長)
「蛇口からそのまま水が飲める国は、なかなかない中で、日本が世界に誇る水道のシステムを使える、水が循環して、その水をきれいにしながら魚を育てるので、排水がいらない」
これは「閉鎖循環型陸上養殖」と言って、汚れた水を分解し循環するので、汚水が出ません。また、水道水しか使わないので、魚に臭みもなく、病原菌が入る余地も無いので薬剤を使う必要もありません。
また、ヒレナマズは生育が早く、半年足らずで出荷レベルに。1度に5000匹もふ化するため、生産リスクも少なく、コストダウンが期待できます。メリットの多いヒレナマズの陸上養殖ですが、この取り組みを始めた、一番の理由がありました。
(医療法人好生会 渡邊 実輝宏 理事長)
「障がい者の方々が十分な賃金を得られないという、業界の構造があり、もしかしたら、これは障がい者の方々の就労訓練にすごくつながるのではないかと」
うまくいけば「障がい者の生活の糧になるような賃金が出せる」そう考えた理事長。障がい者施設の利用者たちに、養殖場での管理や飼育を任せることにしました。作業の難易度も低く、何より生き物を相手にしているため、単純作業に比べて、やりがいがあると好評なんです。
(障がい者施設の利用者)
「実際にエサをあげて、少しずつ成長するのが目に見える形で大きくなってきているので、そのたびに達成感を感じるようになっています」
「僕は生き物が好きなので、特にエサやりをやっていると育てている感じがして、楽しいです」
気になるのは、やはり味。しかし、養殖を始めたばかりのこの施設では、まだ食べることはできないため、取材班は岡山県へ。最初にヒレナマズの養殖を始め、現在はその設備の販売をしている、岡山県の企業にお邪魔すると、そこには、大きなヒレナマズが!
(ジャパンマリンポニックス 内尾 義信 社長)
「以前、インドネシアに行ったときに、国民食がヒレナマズだったので、ぜひとも日本にも持ち帰って、食卓に乗せたいと。低脂肪・高たんぱくということで、健康食に向いていると、すでに岡山県内では、2年ほど寿司ネタで使っている」
そこで、大人気の回転寿し店に潜入!店頭では「桃太郎フィッシュ」という名で販売されているヒレナマズ。お客さんの反応は??
「はいお待たせしました。これがナマズです」
(ヒレナマズを食べたお客さん)
「おいしいです、歯応えが」「クセが無くて、弾力があっておいしかったです」
お客さんの中には一人で10皿食べる方もいるそうで、好評とのこと。
では、静岡県民の口にも合うのか?今回、特別に調理を依頼したのは、浜松市にある浜松郷土料理の店「黒フネ」。用意していただいたのは、ヒレナマズのから揚げとフライ、そして天ぷら。今回、初めて食べるという、この道50年の料理人は…
(黒フネ 兼子茂善さん)
「(ナマズは)泥臭いっていう感じがありますが、これは全然ないです。子どもからお年寄りまで召し上がることができると思います。柔らかいし、結構いけると思います」
お客さんには「ヒレナマズ」とは言わずに試食をお願いすると…?
「アジかなと思ったんですけど違うんですかね?おいしいです」
「味があって、フグの唐揚げを食べてるみたいな感じで、すごくおいしいです。これなんですか?」
正解を伝えると…
「え~ナマズ?これビールにも合いそうですよね!」
続いてこちらのグループは?
「から揚げみたい!ナマズ~!?」
皆さんナマズとは気づかず大好評!県内で初となる陸上養殖のヒレナマズ、今後の目標を聞いてみると?
(医療法人好生会 渡邊 実輝宏 理事長)
「初年度の出荷量として9トン、年商としては800万円ぐらい、そのくらいの売り上げが確保できれば、利用者の方々に作業委託費をお支払いできて、作業に慣れてきたら、いろんな魚種にトライして、食卓でポピュラーな魚やエビなどにトライできれば」
皆さんの食卓に並ぶ日も、近いかもしれません。
(静岡第一テレビ every.しずおか 2024年1月26日放送)