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【台風10号爪痕】県内各地の被災現場で復旧作業進む…めどたたぬ場所がある一方で治水対策の試みも(静岡)

2024年9月4日 17:20
【台風10号爪痕】県内各地の被災現場で復旧作業進む…めどたたぬ場所がある一方で治水対策の試みも(静岡)

静岡・熱海市で発生した大規模な土砂崩れ。県道・熱海箱根峠線では約50メートルに渡り土砂や倒木が流れ込み、4日も重機による撤去作業が進められていますが復旧のめどはたっていません。復旧作業は静岡市でも…。

(佐野 巧 記者)
「静岡市清水区~~歩道が崩落してしまったということです」

静岡市清水区の山間では、大きく歩道が崩れ落ちたことから交通規制を行い、作業が完了するまで片側通行となっています。大雨の時にこの道路を通ったという住民は、当時、雨の強さに恐怖を感じたといいます。

(近くに住む人)
「何日間も雨が続いて気候の変化、中山間地域に住んでいて怖いです」「今回は(復旧への)初動が早く、早急な対応をしていただいて感謝している」

一方、浜松市では…。

(提坂 貴文 カメラマン)
「突風の影響でしょうか、ビニール ハウスの基礎の部分がむき出し になっています」

ビニールハウスの天井がめくれ、一部は傾いていたまま。県内では農業被害も相次ぎ被害を受けた農家は頭を悩ませています。

ここは、2年前の台風15号でも数十件の住宅の浸水被害があった静岡市葵区内牧です。今回の台風10号による大雨では床上・床下浸水が16軒発生しました。

(辻本 真生 記者)
「こちらの現場では、大雨で土砂崩れが起き、水路が土砂で埋め尽くされました。その影響で、あたり一帯、冠水被害が発生したということです」

8月29日、大雨によって山が崩れ、流れ出した大量の土砂は、すぐ下にあった倉庫に流れ込みました。さらに、付近の水路を塞いでしまったのです。住民によりますと、土砂で水路がせき止められたことで水路から水があふれだし、周辺の道路は人の膝上あたりまで冠水。住宅の浸水被害につながったといいます。

(内宮町内会長 杉浦 俊之さん)
「29日が一番降りましたけれど、町内の中ごろに集会場がありまして、初日はそこに10人くらいの方が朝を迎えました。寝泊りしてもらいました」
Q.:断水とかはしなかった?
「ただお水を使って下水を流すと、ここが詰まると全部のお水があふれてきちゃう」「土砂崩れだけだと何軒かのお家の下水が使い方が困ったということだが、実はそれが川を防いでしまったということで、やはり下水が使えなくなってしまったというのが一番問題でしたね」

また、静岡市では、被害の程度を証明する「り災証明書」の申請を、市内の各区役所で受け付けていて、9月2日の時点で26件の申請があったということです。

(床上浸水に遭った人)
「川があふれて、床上30センチぐらいですか、浸水したものです
から」

今回の雨で、静岡市内では複数の川が氾濫するなど浸水被害が相次ぎました。市によりますと、床上・床下浸水の申請がほとんどだということです。

(静岡市 市民税課 一瀬 寿光さん)
「り災証明書は公的な支援を受ける際に必要な書類となってきます。今回の大雨の被害を受けた方には、お手数ですが、各窓口の方にご相談に来ていただきたいと思います」

また、静岡市では災害見舞金の受け付けを行っていて、床上浸水の場合は2万円が支給されるということです。


こうした大雨による浸水被害を地域全体で防ぐ治水対策が各地で進められています。

8月31日の大雨では、静岡市清水区の学校のグラウンドが、まるでプールのように…。実は水を貯める機能があり、川に流出する雨水の量を抑えているのです。

このような地域での治水対策の新たな取り組みとして全国で広がっているのが「田んぼダム」です。菊川市では8月から取り組みを始めました。

(菊川市農林課 横山 貴彦 主幹)
「田んぼダムの要となるのがⅤ字の調整板になります」「Ⅴ字になっていることで水位の上昇とともに水が排出される」

調整板を実際に設置してみると…。

(清水 将光 記者)
「田んぼの水、現在は勢いよく出ていますが、調整板を設置すると水の勢いはかなり弱くなりました」

これにより、田んぼが水を貯めるプールのような役割をします。さらに、田んぼダムの利点はコストの低さ。調整板は8千円から設置できるため、大規模な河川整備に比べて低コストで大きな治水効果が期待できるのです。また、排水量を調整することで作物に影響を与えることはありません。市から「田んぼダム」について説明を受けた農家は…。

(菊川市内の米の生産者)
「少しでも防げるなら、地域住民のひとりとしてみんなで災害対策しないといけない時代だと思う」

では、実際にどれくらいの効果が期待できるのか。袋井市では、2年前から農家に協力をお願いし、現在46ヘクタールを田んぼダムとして活用しています」

(袋井市 土木防災課 河村 神 技師)
「(降水量にもよるが)1ヘクタール100トンの貯留効果が得られた」「少しでも水を貯めることができる河川への氾濫の被害は削減できるのかなと思う」

つまり、46ヘクタールの「田んぼダム」によって、一般的な小学校の25mプールで14杯分を貯水できているのです。この効果で、大雨の時に、下流の水位の低下が確認できたということです。

記録的な大雨によってもたらされた各地の被害。被害を最小限に抑えるためにも、行政や地域が一丸となった対策が求められています。