【潜入】仰天!東名リニューアル工事の舞台裏 ニッポンの大動脈を支える最新技術!(every.しずおか特集)
毎年、車線規制などを伴い、長期間、大規模に行われる東名のリニューアル工事。全線開通から55年が経過し、日本の大動脈として、毎日多くの車が走るため、劣化が激しく、私たちが安全に通行するためには欠かせない工事です。
東名・リニューアル工事の現場、そこで繰り広げられる驚きの最新工事に迫ります。
物流やレジャーなど私たちの生活には欠かせない日本の大動脈・東名高速道路。2024年で完成から55年となるため、道路の損傷や劣化などが進行しています。実際にどのくらい劣化が進んでいるのか…
こちらはリニューアル工事が行われる予定の、静岡市清水区にある西倉沢高架橋。由比PAの近くにあり、すぐ横には駿河湾が広がる、県内でも屈指の絶景ポイントでもあります。その一方で、ほぼ海岸の上を走るため、台風や大雨の時には激しい風と雨、さらに、波にさらされる過酷な場所です。遠くからはわかりませんが、高架橋に近づいて詳しく見てみると…
(NEXCO中日本 萩原直樹さん)
「おそらく塩害が原因で鉄筋が腐食してコンクリートが剥落している状況。こういったことからリニューアル工事の対象となった橋りょうです。塩分によって鉄筋が腐食膨張してコンクリート部分が剥落している、そういったことが床板、けたに生じている状況です」
橋げたの上には鉄筋コンクリートの床板が設置されていて、その上にアスファルトの道路が作られています。この床板部分は表からは見えませんが、車両の大型化や潮風・波しぶきの影響などで、少しずつ、劣化が進んでいるといいます。
(NEXCO中日本 萩原直樹さん)
「鉄筋の機能を果たさなくなると、最悪の場合、床板が抜け落ちる可能性がある」
そんな大事故につながる最悪の事態を防ぐため、日ごろの点検では、むき出しとなった鉄筋部分に錆を防ぐ補修などをしています。さらに…
(NEXCO中日本 萩原直樹さん)
「海に面していることから、飛来塩分により鉄の部分が腐食して層状になっているのがわかる」
この橋脚と橋げたをつなぐ部分は、これまで金属製でしたが、免震性を備えたゴム製にすることで、地震への対策も進めています。
このように、リニューアル工事では進化した最新技術により、安全性の大幅な強化もされているのです。工事のやり方も最新技術を使い、なるべく通行止めをせず、利用者への影響が最小限となるようにしています。
こちらの現場は、清水JCTにほど近い新幹線の上を走る高架橋で、今回、開通から55年で初めて床版を取り換える大工事が行われました。しかし、ここは1日3万台が走行する大動脈。昼間は車を通行させ、午後6時から翌朝6時までの12時間だけ通行止めにして、22日間で工事を完了させます。
古い床板を撤去する班と、新しい床板を設置して舗装する班に分かれ工事が進められます。1日にそれぞれ4mずつ作業が行われ、約80m区間をリニューアルさせるのです。
また、新幹線の上空での工事のため、小さなミスが大事故につながる可能性があり、時間を気にしつつも、細心の注意が必要な難易度が非常に高い工事です。
その作業を見てみると…午後6時、車線が減らされていき通行止めがスタート。まずは、表面のアスファルトをいっきに剥がしていきます。そこに、大型クレーンが登場。古い床板を釣り上げて撤去し、新しい床板を設置する作業が同時並行で行われます。
なんと、この新しい床板の重さは21.6トン。この日の工事では、4枚の床板の交換に100人の作業員が参加。限られた時間内に作業を終えるため、4年前から何度もシミュレーションをしてきたといいます。そして朝5時、アスファルトによる舗装を終え6時にはすべての作業が終了し、通行が再開されました。
(NEXCO中日本 富士保全サービスセンター 近藤 努 所長)
「通行止めの夕方の6時から朝の6時まで、限られた12時間の中で工事をすることが苦労したこと。朝の6時を超えると社会への影響が大きくなるということで、影響を最小限にするために工夫をした」
リニューアル工事は道路だけではありません。近年、大型トラックの駐車場不足が問題となる中、その対策にも乗り出しています。今回のリニューアル工事をうけ、新東名のサービスエリアで駐車スペースの拡大工事も行っているのです。
(NEXCO中日本 萩原直樹さん)
「清水PA上り線では大型車が止められる駐車マスを2倍に拡張、下り線でも休憩施設の確実な確保のため拡張工事を行っています」
私たちの暮らしに欠かすことのできない東名、新東名。リニューアル工事により安全性が高められ、ドライバーの利便性向上も期待できそうです。
(静岡第一テレビ every.しずおか 2024年3月5日放送)