【鉄道保守の裏側】限られた時間で行う作業には綿密なチームワークが必要…安全な運行を支える20歳の女性社員!その奮闘と成長に密着!(every.しずおか特集)
鉄道の安全を支える専門職に就きたいと、男性ばかりの職場に飛び込んだ20歳の女性がいます。なぜそのような決断をしたのでしょうか?彼女の奮闘ぶりに密着しました。
通勤や通学など多くの人の足として生活に欠かせない列車。その列車の運行を影で支えているのが「施設系統」と呼ばれる職員です。
施設系統の職員とは、線路・土木構造物・建築物といった鉄道に関わるインフラの企画・整備・保守など、業務内容は広範囲にわたります。男性が多いこの職場の中で、紅一点、女性社員が働いています。
入社3年目の疋田夕華さん・20歳です。(取材当時)
(JR東海 浜松保線支区 疋田夕華さん)
「夜間工事があったり、一旦線路が走れない状態になっているのを、元に戻して朝、安全に運行しているところを見ると、やりがいを感じます」
JR東海静岡支社によりますと、施設系統で働く社員は約220人。そのうち女性社員は7人です。疋田さんが所属している浜松保線支区では、社員12名の中で唯一の女性社員です。男性が多い職場を、なぜ選んだのでしょうか?
(JR東海 浜松保線支区 疋田夕華さん)
「いつだったか、どんな時期だったか覚えていないんですけど、夜中の夜間工事を見たことがあって、普段、通学に使っている電車は、こういうふうに安全管理されているんだな、ということを知り、興味を持って調べたのがきっかけです」
疋田さんが所属する浜松保線支区は、浜松市の舞阪駅から磐田市の御厨駅間の、約20キロの線路の保守管理を担っています。この日は、台風や地震などの災害時に現場へ急行するためのアルミカートと呼ばれる乗り物に乗り、線路の安全を目視で確認する作業や、線路のゆがみや連結するボルトが緩んでいないかなどを確認する訓練を行っていました。訓練の最中にも列車は通過しているため、現場は、本番さながらの緊張感に包まれていました。
入社3年目の疋田さんの働きぶりに先輩は…
(JR東海 浜松保線支区 袴田和生さん)
「若い子なので、頑張らないといけないという思いがあるので、何か作業をしているときには、こまめに声をかけながら、頑張り過ぎないように抑えるように意識しています」
JR東海エリアの在来線で線路工事を行う際、事前に線路や電力関係の検査をする「ドクター東海」と呼ばれる特殊車両が使用されます。
車両にカメラやレーザー光線、さまざまな精密機器を搭載し、レールの間隔、ゆがみなどをチェックしていきます。その検査の結果で、補修が必要な線路の作業は終電が終わった夜中に行われています。
そしてある日の夜、時刻は午前1時過ぎ。この日は天竜川駅舎から上り線の約250メートルの場所で作業を行いました。
疋田さんが担当するのは、車両を他の方向へ安全に移行させるために設けられた分岐器内の部材に傷が無いかを確認する、大事な検査です。
作業中は、夜中でも反対車線に貨物列車が通行することがあり、現場では常に見張り役の作業員が作業全体の安全を見守ります。
作業は午前1時30分から、始発が発車する午前5時40分までの、約4時間の間に終了しなければなりません。限られた時間で行う作業には、綿密なチームワークが必要とされます。
そして時刻は5時30分、4時間余りの作業が終了しました。午前5時40分の始発列車の発車を見届け、工事の無事を確認し作業を終了しました。
(JR東海 浜松保線支区 疋田夕華さん)
「時間内に終えることができて異常も無かったので、良かったと思います。検査は徐々に慣れてきて、ようやく傷らしき物を発見できるようになってきたのかなと思います。無事に作業を終えることができて、やっぱり感動をいうものがありますね」
上司の石谷さんは、日々成長している疋田さんに期待をよせています。
(JR東海 浜松保線支区 石谷知基さん)
「安全というところに対しては、最優先で行動するのが我々の仕事でもあるので、(疋田さんは)すごくしっかりと認識してくれていると思いますし、そういう社員になってほしいと思います」
最後に、疋田さんに今後の目標を尋ねました。
(JR東海 浜松保線支区 疋田夕華さん)
「今後5年目までに一人前の技術者になって、仕事を任せてもらえるような人になりたいです」
(静岡第一テレビ every.しずおか 2022年4月18日放送)