北海道にクルーズ船の寄港続々 函館の入港予定は過去最多 経済効果に期待高まる
北海道内に寄港するクルーズ船の数がコロナ禍前の水準に戻りつつあります。
大きい船の場合、1度に降りる観光客は数千人にのぼるクルーズ船。
その経済効果に期待が高まっています。
今月20日、函館港に入港したのは、11万トンを超える大型クルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス。
地元の高校生が乗客を出迎え、函館朝市を案内しました。
(観光客)「これはフルーツ?」
(高校生)「いいえ、これはイカで中にご飯が入っています」
ことしクルーズ船の入港が過去最多の58回を予定する函館港。
事業者も観光客の増加に期待を寄せています。
(函館朝市の関係者)「いままで観光が落ち込んでいたので助かりますよね」
函館を出港したダイヤモンド・プリンセスは翌日、小樽港に寄港。
船を降りた観光客は待ち構える観光バスに乗り込み、小樽市内や札幌へ日帰りツアーに出かけます。
(岡山からの観光客)「年を取ったらツアーがしんどいからクルーズが楽。年を取ってからはクルーズばっかり」
北海道運輸局によりますと、道内の港には今年度クルーズ船が133回寄港予定で、2014年の157回に次ぐ2番目の多さとなっています。
クルーズ船を観光の大きな柱に据えるのが小樽市です。
岸壁改良工事が終わったばかりの小樽港第3号ふ頭は、ことしから14万トン級の大型船の停泊が可能となりました。
(アメリカからの観光客)「私はクルーズが大好きなの。これまで行く機会がなかった美しいところにたくさん行ける」
港の近くにはガラス工芸品や菓子など、小樽の土産物を購入できるインフォメーションセンターも先月オープン。
(案内所の担当者)「ここは買い物する通りになっていて」
英語が話せるスタッフがインバウンドに観光名所を案内します。
(宮崎記者)「クルーズ船が立ち寄る小樽港は、小樽駅までの距離が1キロとマチの中心部に近く、利便性の高さが売りです」
観光協会は今後、歩いて回れる中心部の観光を充実させたいと意気込みます。
(小樽観光協会 西條文雪会長)「外国語を話せるツアーガイドでしっかりと案内するところと、小樽のためのオプショナルツアーも協会としても組み立てて楽しんでいただきたいと思っています」
専門家は、経済効果を高めるには数千人の乗客を受け止める寄港地だけでなく、広域での連携が重要だと指摘します。
(大阪公立大学 池田良穂名誉教授)「訪日外国人客の1泊当たりの消費額はだいたい2万円です。それに対して日本にクルーズでやってくるお客さんの消費額というのは2万9千円なんです。日帰りのお客さんでこれだけの消費をしてくれるというのは、地元にとっては非常に大きな経済効果がある。大きな船だと4000人のお客さんがいっぺんに降りてくるので、広域でいろんな魅力をお客さんに見てもらうという対策をする方がいいと思います」
クルーズ船の経済効果をどう波及させていくかー
地域の連携がカギとなりそうです。