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父・修被告裁判ついに結審「生涯責任を果たす」と述べるも「計画は知らなかった」という“論拠”

2025年2月18日 18:37
父・修被告裁判ついに結審「生涯責任を果たす」と述べるも「計画は知らなかった」という“論拠”

親子3人が起訴されたすすきののホテル殺人事件の父親の裁判で、検察は父親に対し、懲役10年を求刑しました。

一方、弁護側は改めて無罪を主張し、裁判はきょう(2025年2月18日)結審しました。

(検察)「被告人を懲役10年に処するのが相当である」

検察が求刑を述べたあとも、修被告が表情を変えることはありませんでした。

2023年7月、札幌・すすきののホテルから頭部のない男性の遺体が見つかった事件で、殺人ほう助などの罪に問われている田村修被告61歳。

起訴状によりますと、修被告は2023年、犯行に使われたのこぎりやキャリーケースなどを購入し、娘の瑠奈被告に提供。

事件当日に瑠奈被告を車で送迎し、殺人を手助けしたなどの罪に問われています。

10回目を迎えた18日の裁判員裁判。

冒頭に遺族の意見陳述が行われ、検察が被害男性の妻の心境を読み上げました。

(被害男性の妻)「何もできなかったと言うなら、せめて警察に通報することが人として最後のできることではないかと思う。修被告には重い処罰を求めます」

修被告は「娘の犯行を知ったのは事件があったあと」と無罪を主張していて、裁判では瑠奈被告の殺害計画をいつ知ったのかが争点となっています。

18日の論告で、検察は「瑠奈被告の計画は一人で確実に被害者を殺害する十分に練られたもので、手助けが不可欠。凶器は修被告が購入しなければ犯行がなされなかった」と指摘。

修被告は事件前から計画を認識していたと主張しました。

その上で…

(検察)「一人娘の瑠奈被告の意思を尊重するために結果的に計画に加担した」

修被告に懲役10年を求刑しました。

一方で、弁護側は「瑠奈被告の殺意などを事前に知っていたと推認できる証拠が全くない」と指摘。

凶器の購入についても「のちに犯行に使われたと判明した」などとして、修被告は事前に計画を認識していなかったと主張。

(弁護人)「修被告はいずれの犯罪も成立しない」

改めて無罪を訴えました。

裁判長から「最後に何かありますか」と問われた修被告は…

(修被告)「すぐに通報しなかったことも損壊のさらなる行為になったことも親としての責任を強く感じています。生涯、親としての責任を果たしていきたいと思います」

涙ながらにこう述べて、裁判は結審しました。

18日で全ての審理が終了した修被告の裁判員裁判。

ほう助罪の成立について、検察は「計画を事前に知っていた修被告の行為は手助けにあたる」と主張する一方、弁護側は「計画は事前に知らず、修被告の行為に手助けの意思はない」とし、両者の主張は真っ向から対立しています。

修被告は有罪か無罪か。

刑事裁判に詳しい中村弁護士は、裁判員の常識や感覚が判決を左右すると指摘します。

(シティ総合法律事務所 中村浩士弁護士)「さまざまな物証が出されているなかで、それらが殺害計画の認識を示すものではないという弁護側の主張と証拠が整合しているのかどうか。社会常識や健全な社会通念に照らした一般感覚による判断が議論されていく。かなり難しい判断を迫られる裁判になると思います」

裁判員はどのような判断を下すのか。

修被告の判決は3月12日に言い渡されます。

最終更新日:2025年2月18日 18:37