切り札なるか電気柵…クマ重点エリアの試行錯誤 住宅街に近い目撃相次ぐ札幌市の最新対策
クマとのあつれきが深刻化するなか札幌市は2024年6月13日、重点エリアの対策について専門家らと協議しました。ゾーニングのための電気柵や監視カメラを設置するなど対策を強化していく方針です。
西区西野など、2024年も住宅街と近い場所でクマの出没や目撃情報が相次いでいる札幌市。
札幌市は6月13日、重点エリアのクマ対策について専門家らと意見交換し、電気柵と監視カメラを設置するなど対策を強化していく方針を確認しました。
(金澤記者)「札幌市の家庭菜園にお邪魔しています。トウモロコシなどを育てているということですが、畑を囲っているのはこちら、電気柵ですね」
札幌市南区の家庭菜園では6月3日、札幌市の貸し出しを活用して電気柵を設置しました。
札幌市ではクマを人里に近づけないため、家庭用に電気柵を貸し出し、対策を強化しています。
(札幌市 環境共生担当課 坂田一人課長)「家庭菜園の作物がクマにやられてしまうと、それがきっかけとなって市街地の方に出没してしまうおそれもあるので。電気柵の効果をお試しいただくという目的で、1回限りですが貸し出しをしています」
貸し出し期間が終わると、電気柵の購入金額の2分の1、最大4万円まで補助する制度もあり関心も高いといいます。
一方、山に近い場所にある公園などでもクマの侵入を防ぐ対策が強化されています。
札幌市南区の滝野すずらん丘陵公園です。
(SPAC滝野管理センター 今井健太さん)「こちらがいわゆるクマ柵と呼ばれているもので、クマよけの柵になります」
滝野すずらん丘陵公園では、2019年・2020年にクマが柵を越えて園内に侵入したことで臨時閉園するなど対応に追われました。
クマは穴を掘り、柵の下から侵入したことも。
このためさらに対策を強化しました。
(SPAC滝野管理センター 今井健太さん)「電気柵はまずこの上の段に一本、外から登ったときにクマの鼻にぶつかるための線が一本と、あとは下から掘ろうとしたときに当たるように下のほうにも一本張られています」
さらに、柵の下に鉄のピンを打ち込み、クマが穴を掘れないような対策も追加したということです。
公園では園内1.2キロ、4か所がこうした柵などで覆われていて、さらにおよそ400台の監視カメラも設置しました。
こうした対策もあり、この4年間は園内へのクマの侵入は確認されていないということです。
(来園者)「対策の成果がそんなに顕著に表れているんだったら、すごく安心して来られるのかなと思います」
札幌市では市内の山と隣接する重点対策エリアに電気柵や監視カメラを設置するなど、クマと人のすみ分けを進め、あつれきを軽減していく考えです。