浜値で1キロ5円 使い道が少ないカジカを有効活用 未利用魚の魅力を発信 北海道
北海道内各地で獲れるカジカ。
市場価値が低かったこの魚に、いま熱い視線が注がれています。
商品価値をつけるその方法とはー
熱い視線が注がれている魚の正体は、道東の標津町にありました。
(武田記者)「まもなくスケソウダラの船が標津港へと入ってきます。スケソウダラはたくさん獲れているのでしょうか」
午前8時、漁を終えた漁船が標津港に戻ってきました。
スケソウダラが大漁かと思いきや―
(武田記者)「スケソウダラは獲れましたか?」
(漁業者)「獲れない」
(武田記者)「一番獲れたのは?」
(漁業者)「カジカ」
この日大漁だったのは、カジカです。
漁業者も、近年はスケソウダラだけでなくカジカの漁に力を入れるなど、海の変化を感じています。
(漁業者)「水温も上がっているし、来てる魚種も違うし、もともと獲れた魚ばかりを狙わなきゃいけない固定概念があるみたいだけど、来た魚を獲るのが漁師だと思うから」
しかし、この日大漁だったカジカは値がつきません。
(武田記者)「浜でどれくらい?」
(漁業者)「浜で5円とか。未利用魚なんで。使い道がない魚ってことで安い」
1キロでなんと5円!
カジカは未利用魚といって、知名度の低さや調理の手間などを理由に市場にあまり出回らない魚といわれています。
日本の魚介類は1990年代以降の漁獲量が減少傾向で、2020年にはおよそ321万トン。
このうち利用されない魚の割合は、正確な統計がないものの3割以上ともいわれています。
年間100万トンもの魚が廃棄されている可能性があります。
そんな利用されていないカジカを活用しようと動き出した人がいます。
漁に参加していた椙田圭輔さんです。
(株式会社しゃけを 椙田圭輔代表)「カジカのお腹をさいて内臓を出して、そのあと加工に回す下準備をします」
椙田さんはこれまで、食に関する地域の社会問題に向き合い、ことし生まれ故郷である標津町に拠点を移してきました。
そこで注目をしたのが、子どもの頃から食べていたカジカでした。
(株式会社しゃけを 椙田圭輔代表)「北海道っぽくて地元の標津町でも獲れて、何かそういった素材を探しているときに、カジカがあると思って使いました」
カジカをどのように活用したかというと…
出汁です。
ことし4月には出汁として販売を開始。
いまやふるさと納税の返礼品にもなり、カジカの魅力を道内のみならず全国に発信しています。
(株式会社しゃけを 椙田圭輔代表)「いま出汁をつくったので、出汁の派生というか、出汁のカレーにしてみたり鍋の素やみそ汁を作ってみたり、そういったことを考えています」
急に獲れだした魚をふるさと納税の返礼品にしたマチもあります。
サケ漁が盛んな白糠町です。
近年は漁獲量が急増したブリを活用して、しゃぶしゃぶセットや漬け丼セットをふるさと納税の返礼品にしています。
(immue 田中友康副社長)「もともと東京で地域を盛り上げるマーケティング会社として活動していて、ブリが価値のない魚として(北海道では)活用されていないという現状を知って、ここに対して何か活動ができないかという中で活動を始めたのがきっかけ」
利用されていなかったりこれまで獲れなかった魚に商品価値をつける。
海の変化をとらえた動きは今後も広がりをみせそうです。