ビックリして飛んで逃げる!シカを追い払うのは「ヒトデ」 強烈な臭いで退散 北海道
野生動物を追い払うユニークな道具が注目されています。
北海道で相次ぐクマやシカの被害を防ごうと「におい」を使った対策グッズが次々と開発されています。
エゾシカの前に置かれた3つの箱。
黒い箱にはエサが、白い箱にはエサのほかにあるものが入っています。
白い箱に近づいたシカはー
びっくりしたように飛んで避けました。
ほかのシカも恐る恐る近づいては逃げていきます。
箱の中には何が入っているのでしょうか?
映像を撮影した根室市の水産加工会社を訪れると、見せてくれたのは黒っぽいナゾの液体です。
これがシカを追い払ったものの正体だといいますがー
(武田記者)「これは何ですか?」
(吉田水産 辻宰課長)「ヒトデの濃縮液です」
液体の正体は「ヒトデ」です。
地元の漁業者から網にかかった「ヒトデ」を買い取り、独自の製法で発酵させることでシカが嫌がるにおいを出す忌避剤を製造しています。
(吉田水産 辻宰課長)「嗅ぎますか?臭いですよ」
(武田記者)「牛のふんの臭いに似ているかも。それを強烈にした臭いです。けっこう鼻にきますね」
開発のきっかけは、シカによる被害です。
シカの生息数は推定72万頭と年々増えていて、農業被害や交通事故も増加傾向にあります。
この会社ではもともとヒトデをつかった肥料を生産していましたが、シカ被害に悩む農家の声に応え、忌避剤を開発しました。
(吉田水産 辻宰課長)「いろんな害獣で困っている人に少しでも貢献出来たらなと思います」
道内ではクマの出没も問題となっています。
道警によると、ことしの出没件数はこの5年で最多となっています。
そんなクマをにおいで撃退しようと、ユニークなクマよけの開発が進んでいます。
札幌市内で開かれた大学生によるビジネスアイデアの発表会です。
北海学園大学の学生が紹介しているのは、ハッカのにおいでクマを追い払うトラップです。
トラップは丸い容器ととげのついたフタという2つの部品からなります。
容器にハッカのにおいを発する液体がつまった袋を入れ、これをクマが踏むと袋が破裂し、においが噴き出します。
学生は手軽で安全なクマ対策グッズとして製品化につなげたいと話します。
(北海学園大学 飯野準基さん)「動物と人間の生活領域の境目をつくって、環境保護にも役立てるような商品だと思う」
年々増加する野生動物の被害。
人と動物の軋轢を減らすための試行錯誤が続いています。