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草野球の試合にブルペンも開放 「ナイトラン」を開催 赤字解消へ試行錯誤が続く札幌ドーム

2024年3月9日 12:30
草野球の試合にブルペンも開放 「ナイトラン」を開催 赤字解消へ試行錯誤が続く札幌ドーム

ファイターズが北海道北広島市に移転して1年が経ち、

札幌ドームの経営環境は大きく変化しました。

赤字解消へあの手この手で試行錯誤を続ける札幌ドーム。

現状と今後の可能性を探りました。

移転後初 ファイターズのオープン戦を開催

3月2日、国道36号沿いの歩道に数百メートルにわたって続く人の波。

札幌ドーム周辺にかつての賑わいが戻ってきました。

ファイターズの移転から1年、札幌ドームでは移転後初のファイターズ戦が開催されました。

入場ゲートの前には、オープン戦にもかかわらず開場前から待ちわびたファンの長い列ができました。

(ファン)「去年札幌に来たばかりなんですよね。だから札幌ドームは初めて来たんです」

(ファン)「初めてこんなに早い時間から並ぶと思わなかったので、すごいなってちょっと思いました」

(ファン)「ことし最後かもしれませんもんね、この球場でやるのはね。ちょっと最後に目に焼きつけたいと思います」

北広島市に自前の球場があるなかで、オープン戦2試合を札幌ドームで開催したファイターズ。

しかしこの先、札幌ドームでファイターズの試合が見られるかは不透明です。

札幌ドーム側はどう考えているのでしょうか。

今季ファイターズの公式戦の予定なし

(札幌ドーム 吉田圭吾専務)「少なくとも今シーズンに関しては公式戦は予定はしていません。簡単にファイターズ戦を誘致するというのは大変かもしれませんけれども、これからもいろいろとファイターズと情報交換をしていきながら、できれば札幌ドームでも何試合かやっていただければありがたいなというふうには思います」

札幌ドームのイベント数は、コロナ禍前の2019年度が「127日」に対し、今年度は「98日」とおよそ2割減少しました。

10億円かけた「新モード」 利用は低調

観客席の一部を「黒い幕」で仕切ることで2万人規模のイベント会場として活用できる「新モード」は、10億円をかけて改修しましたが利用は低調。

赤字額は2億9400万円の見込み額よりさらに増える見通しです。

札幌ドームではイベントが減ってできた隙間を生かして、先月23日から5日間、球場を一般利用で開放しました。

空いた日に球場やブルペンを開放

土日祝日は2時間半50人までの利用で20万円、平日は3時間で半額の10万円と、プロ仕様の球場が利用できるとあって、草野球などを楽しむ人たちで枠はほぼ埋まりました。

(利用者)「草野球チームのメンバー内でも、札幌ドームでいつかやりたいという話はしていましたので、ずっと定期的にネットで確認をしていて、急に空いたものですから、迷わず予約させてもらったという感じです。やっぱり広いですね。でも楽しいです」

さらに、これまで一般利用のオプションとして開放していた室内ブルペンも1時間単位で貸し出しています。

この日は江別市のクラブチーム「江別ブルーインズ」のメンバーが仕事終わりに集まり、午後8時から2時間初めて利用しました。

(江別ブルーインズ 西垣類監督)「冬場(練習)場所の確保が非常に難しいので、こういった素晴らしい環境でできるので非常にうれしいです。もっと幅広く認知されれば、少年野球から社会人まで(練習が)できると思いますので、また野球に限らず使えればもっと有効な使い方があるのかなと思いますし、スポーツ人口も増えるのかなと思います」

最近では、室内ブルペンを野球以外のスポーツやレクリエーションで利用する人も増えているといいます。

「ナイトラン」を楽しむランナーも

(樋口記者)「平日の午後6時を過ぎた札幌ドーム。グラウンドは静まりかえっていますが実はこの時間も一般開放されているんです」

札幌ドームではいま一般利用に力を入れています。

冬の間、1周716メートルの3階コンコースをランニングコースとして一般開放する「ナイトラン」です。

月ごとに実施日を設定して、午後6時から午後9時まで3時間を開放。

この日は平日にも関わらず75人のランナーが利用する人気ぶりです。

(札幌ドーム 吉田圭吾専務)「ナイトランについては、いままでは11月から3月までの期間を冬場の期間ということでやっていたんですけれども、ことしについては4月・5月に試験的に運用してみまして、夏場の利用でご提供できるかどうかを含めて検討していきたいなと思っています」

また、ドーム内のトレーニングルームは1回500円から利用できます。

入会金や年会費はなく、資格を持ったスポーツトレーナーも常駐しサポートしてもらえます。

(利用者)「イベントが減ってさびしくはなっていますけれども、トレーニングルームですとか、そういった部分は逆にちょっとイベントがない分、使いやすくなったのかなというところですね」

(利用者)「ここ(札幌ドーム)を中心に駅ができたりバスターミナルがあってマンションが建っていて、ファイターズがいなくなったことによってそこが活性化しないのはないかなと思うので、何かしらでいい相乗効果があって活性化してくれるといいなと」

命名権に応募なし 募集期間を延長

さらに、新たな収入を確保するため、札幌ドームに愛称をつけることができる命名権「ネーミングライツ」の販売にも乗り出しました。

札幌ドームは新年度、2年から4年の複数年で年間2億5千万以上を希望しています。

しかし、先月29日までの締め切りまでに正式な応募はありませんでした。

(札幌ドーム 吉田圭吾専務)「発表してから募集する期間が短かったというところと、あとは年度末というところもあって今回、また延長して募集をするという経緯に至った次第です。いまのところ複数社からご興味のある企業さんもいらっしゃいますので、そういったところとこれから話し合いを進めていきながら、できるだけ早く結論を出したいなというふうには思っています」

札幌ドームの周辺環境も変化

札幌ドーム周辺でも大きな動きがありました。

最寄りの地下鉄東豊線福住駅直結のスーパー・イトーヨーカドー福住店が閉店を発表しましたが、引継ぎ先はまだ決まっていません。

その一方で・・・

(樋口記者)「札幌ドーム周辺の国道36号沿いでは、現在新たな建物の建設も進められています」

新たな光明も 試行錯誤が続く札幌ドーム

札幌ドームのすぐ近くには、ハンバーガーチェーン・マクドナルドが4月末にオープンする予定です。

札幌ドームの周辺環境も変化するなか、赤字解消へ次の一手はあるのでしょうか。

(札幌ドーム 吉田圭吾専務)「今月30日に初めて札幌ドームで行う音楽フェスなんですけれども、複数のアーティストに出ていただいて、フェスティバル的なコンサートをやると。いままでにない札幌ドームの魅力創出、イベントづくりというのをやっていきたいなというところと、平日にどういったイベントが誘致できるか、市民にどうやって利用いただけるかというところが課題かなと思っています」

プロのアーティストによる音楽フェスは、新モードでは初めての開催となります。

新たな光明も見えてきた札幌ドーム。

いかに地域に根ざした施設に生まれ変われるか、試行錯誤が続きます。