硬くて割れない!幻の「まさかりカボチャ」は北海道・開拓の味 カボチャ生産量日本一のナゾ探る
生活に潜むさまざまなナゾを解き明かす「ナゾトキ」です。
きょうのナゾは「カボチャ」です。
カボチャといえば何を思い浮かべますか?
ハロウィーンでにぎわっていたのは北海道・ニセコです。
子どもの身長と同じくらいの大きなカボチャ。
カラフルに彩られていたのはJRニセコ駅です。
(観光客)「すごいですよね、色がかわいいですよね、カボチャの色って」
(観光客)「道路沿いに(カボチャが)いっぱいありました」
台湾から来た観光客や…
ハロウィーン用の衣装を着たワンちゃんも写真撮影していました。
飾られているカボチャは地元のカボチャ農家が育てたもので、ニセコ町では今週末(13日)に開かれるハロウィーンイベントを前に、早くもにぎわっていました。
(宮永キャスター)「ハロウィーンとカボチャはどういう歴史で生まれてきた?」
(日本ハッピーハロウィン協会 岡本恭和さん)「アイルランドが発祥で、もともとジャック・オー・ランタンはカブでアイルランドでは作っていて、アイルランド人がアメリカにハロウィーンをすすめて、カボチャで作ってみたらカボチャのほうが作りやすかった」
(宮永キャスター)「カボチャの装飾の文化はアメリカが発祥?」
(日本ハッピーハロウィン協会 岡本恭和さん)「アメリカ発ですね」
2023年の全国のカボチャの収穫量はおよそ15万9700トン。
そのうち、都道府県別でみるとおよそ48パーセントが北海道産、2位の鹿児島と比べて北海道が圧倒的に多く、全国第一位なんです。
こちらのカフェでも道産カボチャを使ったメニューが!
カボチャをまるまる1個使った贅沢なプリンです。
濃厚で甘いニセコの坊ちゃんカボチャと倶知安のタマゴを使ったプリンは、秋の人気ナンバーワンです!
器のカボチャも柔らかく、皮まですべて食べられます。
(客)「お目当てはこのカボチャプリンです」
(客)「やっぱり秋の味覚といえばカボチャプリンかな。すごくおいしいです」
そんなカボチャ、収穫は終わりの時期を迎えているんです。
8月~9月に収穫したカボチャは、熟成されて甘みを増した頃合いにお店に並ぶといいます。
まさにいま、おいしい時期を迎えているんです。
そんな北海道の特産であるカボチャですが、品種がたくさんありますよね。
実は、北海道で最初に栽培されたといわれている品種が「まさかりカボチャ」というものなんです。
(宮永キャスター)「芽室町の直売所にやってきました。収穫の秋、カボチャもシーズンを迎えています。たくさん並んでいますね。これは変わった形をしていますよ。バターナッツかぼちゃなどいろいろあるんですけども、北海道のカボチャのルーツ・まさかりカボチャは見当たりませんね」
(宮永キャスター)「北海道で最初に作られた、まさかりカボチャって聞いたことは?」
(客)「ないです」
(客)「あー、むかしありましたよね。もう70年食べていない」
(客)「まさかりカボチャは当時はあったけど、いまは改良されているから」
(宮永キャスター)「まぼろしのカボチャ?」
(客)「まぼろし…そうでしょうね」
「まぼろし」というまさかりカボチャ、じつはいまも生産している農家さんがいるんです。
(川合農場 川合拓男さん)「こちらがまさかりカボチャです。開拓時代に主に食べられた、作られたと聞いています」
育てているのは芽室町の農家・川合拓男さん。
北海道で数少ない、まさかりカボチャの生産者です。
(宮永キャスター)「形も独特ですよね?」
(川合農場 川合拓男さん)「カボチャらしい丸い形からすると、ラグビーボール状、ひょうたん型というか、独特な形をしています。明治の開拓ぐらいの時代に北米から導入された品種で、それが北海道の開拓時代を支えたと言われている」
(宮永キャスター)「どうしてまさかりカボチャという名前?」
(川合農場 川合拓男さん)「名前の由来となったのは、カボチャの皮がとても硬い。まさかりじゃないと割れないと言われているくらい硬い」
そう、最大の特徴は皮の硬さ。
開拓の厳しい時代で食べるのに、長期保存に向いていたのではないかといいます。
(宮永キャスター)「では、まさかりでないと割れないというまさかりカボチャ、どうやって割ったらいい?」
(川合農場 川合拓男さん)「これは包丁では危険なので、硬いアスファルトに直接叩きつけて割る。ビニール袋に入れます」
(宮永キャスター)「では、いきますよ。割れるかな、それ!おおー、割れた!」
(川合農場 川合拓男さん)「しっかり皮ができている状態ですね」
硬くて包丁では切れない「まさかりカボチャ」ですが、一度割れてしまえば、あとは内側から包丁で切って調理することができます。
ということで、川合さんのカボチャをふかしていただきました。
冷凍食品などに加工されるカボチャ「ケント」と、開拓時代の味「まさかりカボチャ」の食べ比べです。
(宮永キャスター)「まずは、普通のなじみあるケントです。実がホクホクというか、粘り気がある感じで、うん、甘い!おいしい!」
(宮永キャスター)「では、まさかり。とりあえず、かじってみるかな…皮は全然ダメですね、めちゃくちゃ硬い。昔のカボチャってこんな感じだったなという食感ですね」
ホクホクでおいしいカボチャだったのですが、生産が減少していった背景には、まさかりカボチャの独特な形から箱詰めが難しかったという流通の都合の問題や、核家族化の影響で、小さなカボチャが好まれるようになっていることなどが考えられるといいます。
(川合農場 川合拓男さん)「決しておいしくないから消えていったわけでもないところ、おいしいけど人間の都合で、社会的な背景で消えてきたということで、おいしいというところをピックアップすれば活かせるのかな」
まさかりカボチャをむかし食べていたという高齢の方や道外から「食べたい!」という問い合わせも多いといいます。
道内で圧倒的な収穫量を誇るカボチャですが、道内だけで見てみると収穫量は減少傾向でもあるんです。
北海道産カボチャの販路を広げようと取り組んでいる農家もいるんです。
厚沢部町の畑です。
こちらでもカボチャの収穫がラストスパートに。
収穫されたカボチャは廃校になった中学校の校舎に集められ、きれいに磨かれていきます。
年間600トンものカボチャを生産する相良さん。
出荷しているのはブランドカボチャの「さがらマロン」
近年、新たな販路が広がっているといいます。
(相良洋平さん)「10年くらい前から香港の百貨店におろしていて、そのつながりでここ数年、スーパーからもオーダーいただくようになって、海外に出荷している状況です」
相良さんが取り組んでいるのはカボチャの輸出です。
出荷先はシンガポール・マレーシア・台湾、さらにグアム!
国内では消費されない小さいサイズのカボチャが海外で人気で、いまや全体のおよそ1割が海外輸出です。
(相良洋平さん)「食品ロス、売れないものを海外でも売るような仕組み、ロスを極力減らせるような販売が出来ているので素晴らしいと思う。北海道のブランドが海外に受け入れられるのが分かって販路が広がっていったので、自信ではないがやりがいがある」
道内で生産数が減少傾向のカボチャですが、ジャパンパンプキンは甘いと海外では大人気だそうです。
カボチャはいろいろあって、それぞれおいしい!
古いものを残しつつ新しいものを取り入れた農家さんの努力がありました。