「高額療養費制度」見直し“凍結”…異例の方針転換に与党内からも批判
高額療養費の負担上限額について石破首相が引き上げの見送りを決めましたが、異例の方針転換に、野党だけではなく、与党内からも批判が出ています。
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野党からも…
国民民主党 玉木代表(10日午後)
「選挙に有利だからやる、不利だからやめる、みたいなこと言ってると、この国の屋台骨が折れちゃいますよ」
身内の自民党内からも…
自民党 小林鷹之元経済安保相(9日)
「政策の決定が、意思決定が二転三転しているように私自身は感じています」
“ぶれている”と批判されたのは、二転三転の末、石破首相が“凍結”を表明した「高額療養費制度」の見直しです。10日の国会で野党は、凍結は夏に予定されている参議院選挙のためではないかと、石破首相を追及。
立憲民主党 徳永エリ議員
「よもやそんなことはないと思いますけれども(選挙後に引き上げを)強行することはないと、明言をしていただきたいと思いますがいかがでしょうか」
石破首相
「そのようなことはいたしません。もっと丁寧な議論が必要である。そして患者の方々にご納得いただけない限り、これはやってはならないということも、よく承知をいたしておるところでありますし、私どもは選挙目当てでこのようなことをやっているのではございません。強行することもいたしません。以上は明言しておきます」
凍結は「選挙目当てではない」と強調しました。
先週、石破首相の決断の直前、高額療養費の引き上げ凍結を求めて面会した患者団体は…
全国がん患者団体連合会 轟浩美理事(10日午後)
「メディアの方がいらっしゃらなくなってからは、(石破首相は)ご自身の言葉でおっしゃっていました。そのときに私は心を感じて信じて進んできてよかったと思いました」「高額療養費制度について検討しなくてはいけないことはわかっています。だからやみくもに反対してるんじゃない、維持するためにゆっくり丁寧に考えてほしい」
こうした中、閣僚の1人が指摘したのは“新たな方針転換”の可能性です。
閣僚
「高額療養費を見送れば、年金も見送らざるを得ない」
10日に自民・公明の幹部が協議した、政府が国会への提出を目指す「年金改革関連法案」。パートなどで働く人など厚生年金に加入する人を増やすことで将来もらえる年金が増える一方、保険料を納めることになる中小企業などの負担は増えるといった懸念の声があるのです。
自民党内からは…
自民党議員
「参議院自民党を中心に、選挙前に年金はやるなという声もある」
立憲民主党 徳永エリ議員(10日)
「総理、この見送りに関しても、また参議院選挙の話が出てきてるんですよ。これが選挙の争点になったら大変だと」
石破首相
「(『年金改革関連法案』について)それは報道がおっしゃることでございます。いかにして、この年金制度を維持していくかということを考えましたときに、じゃあ、その事業主の負担というものをどのように考えるべきなのだろうかと」
与党はこの法案について、野党に協議を呼びかける方針を決めましたが、その野党は…
立憲民主党 野田代表
「なんで年金だけそうなんでしょう。なんかの共犯にしたいんでしょうか? 出てくる法案の中身を見ないと、いいとか悪いとか申し上げることはできない」
石破首相にとって、乗り越えるべき次の壁が立ちはだかっています。
(3月10日放送『news zero』より)