「ブレている」高額療養費めぐり二転三転…自民党内からも首相批判 野党「凍結は選挙目当て」
高額療養費制度をめぐり、患者負担引き上げの“凍結”を決断した石破首相に対し、身内の自民党からも、「二転三転してブレている」と批判の声が上がっています。
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10日午後。
全国がん患者団体連合会 轟理事
「私は石破総理が好きな言葉が『ふるさと』と言っていて、国民の声を聞かずして政治を行うものではないということをおっしゃっていた方は、絶対にこの声を読んでいただいたら、わかってくれると信じていた」
石破首相が見直しの“凍結”を決めた高額療養費制度について、自らの思いを語る全国がん患者団体連合会の轟理事。轟理事はこれまで見直しの「凍結」を訴え続け、7日には石破首相と面会し、患者らの意見を直接伝えていました。
全国がん患者団体連合会 轟理事
「みんなが自分事として考えている、この思いを裏切らないでほしい。やみくもに反対してるんじゃない。(制度を)維持するためにゆっくり丁寧に考えてほしい」
二転三転の末、決まった見直しの“凍結”。
石破首相(9日)
「私たちはもう一度、丁寧に、弱い人、苦しい人、つらい人、そういう人の声を聞き、国民に最も近い自由民主党(になる)」
9日の党大会で、石破首相は自民党議員らに理解を求めました。しかし、総裁選で争ったこの人からは苦言も。
小林元経済安保相
「高額療養費の制度を含めて、政策の決定が、意思決定が二転三転しているように私自身は感じています。自民党としてどう政策をしっかりと決めていくのかっていうところ、今はそこがややブレてるように感じています」
今年、立党70年を迎える中、厳しい政権運営を強いられている石破首相。今年7月の参議院選挙に向けて、結束を呼び掛けるシーンもありました。
石破首相
「私も先頭に立ち、都議会議員選挙、参議院選挙、必ず勝ち抜くべく我が身を滅して総力を尽くしてまいります」
こうした中、野党からは「凍結は選挙目当てではないか」との指摘が。
立憲民主党 徳永議員(10日午前)
「よもやそんなことはないと思いますけれども(選挙後に引き上げを)強行することはないと明言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか」
石破首相
「そのようなことはいたしません。私どもは選挙目当てでこのようなことをやってるのではございません。強行することもいたしません」
「選挙目当てではない」と強調した石破首相ですが、“さらなる課題”が待ち受けています。
自民・公明の幹部は10日朝、政府が国会への提出を目指す「年金改革関連法案」などについて協議。法案の成立には野党の協力が不可欠となるため、野党に協議を呼び掛ける方針を決めました。ただ、この法案はパートなどで働く人の厚生年金への加入を拡大する一方、中小企業などの負担が増加するもので、党内からは懸念の声が。
自民党議員
「参議院自民党を中心に、選挙前に年金はやるなという声もある」
石破首相にとって、乗り越えるべき“もう一つの壁”が立ちはだかっています。