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4万円台突入 史上最高の株価 なぜいま株価上昇? 地方への波及は? 景気の実感は… 《新潟》  

2024年3月6日 20:02
4万円台突入 史上最高の株価 なぜいま株価上昇? 地方への波及は? 景気の実感は… 《新潟》  

東京株式市場で4日、日経平均株価が史上初めて4万円台に到達しました。
その背景と私たちの生活にはどのような影響があるのか―

■株価上昇の背景は

話を聞いたのは、岡三にいがた証券の橋本貢浩エクイティ情報部長です。

Q)まず4万円台を達成したときは、どのような様子でしたか?

【岡三にいがた証券 橋本貢浩エクイティ情報部長】
「3万8915円(日経平均株価がバブル期の1989年に記録した最高値)を更新したときもですが、4万円台を達成したときにはみんなで立って拍手して『おめでとう』と言いました。バブル期以降ここまで34年間かかったことなので感慨深いものがありました」

橋本部長の顔には笑みがこぼれますが、そもそも、なぜ株価上昇が良しとされるのか、改めて聞いてみました。

Q)株価がこれだけ上がっても街には高揚感がないのですが・・・。

【岡三にいがた証券 橋本貢浩エクイティ情報部長】
「株価は基本的には企業の業績と連動しているので、株価が上がっているということは基本的には企業が儲かっています。儲かっているということはそれだけ従業員に給料を支払ったり、設備投資をしたり、または株主であれば配当金を増やしたりということで、働いている人や投資している人には恩恵が出てきます」

Q)その実感がないのですが・・・。

【岡三にいがた証券 橋本貢浩エクイティ情報部長】
「いまの景気実感としてはあまり良くなくても、株式市場的には、『これから景気が良くなりそうだ』という先行きの感覚をとらえて株式市場は先に上昇していくので、景気と株式市場の間ではずれが生じる場合が多いです」

■株価上昇3つの要因 

では、なぜいま株価が上がっているのか。橋本部長は3つの要因があると分析しています。

【岡三にいがた証券 橋本貢浩エクイティ情報部長】
「1つ目が『国内環境の変化の波』が起きていることです。約30年以上デフレ環境が続いてきましたが、そこからいまようやくインフレ環境に変化しようとしています。そうした中で企業も守りの経営から攻めの経営へ変わろうとしています。設備投資や人材投資に回そうとしているという企業自体の変化ができてきているということです」

そうした企業の姿勢を投資家が評価しているということです。

■半導体需要の波

【岡三にいがた証券 橋本貢浩エクイティ情報部長】
「2つ目が『海外環境の変化の波』が起きていることです。地政学の変化ともつながってきますが、いままで世界の製造業は人件費の安い中国に製造拠点をつくってきました。それによって中国が大きく成長して、アメリカを脅かす存在になってきている中、アメリカがそれを食い止めようとして製造拠点をアメリカ本土に戻したり、日本に工場進出を促したりしています。そのことを象徴するのが、台湾の半導体大手のTSMCが熊本につくった工場です」

また、この工場は3つ目の要因にも大きく関わっています。

【岡三にいがた証券 橋本貢浩エクイティ情報部長】
「3つ目が『半導体需要の波』が起きていることです。“チャットGPT”に代表されるような『生成AI革命』がいま起きていて、もともとあった半導体需要に生成AIの需要が上乗せされています。これが半導体関連の株価の上昇につながり、日本株全体の株価上昇をけん引している代表的な銘柄群になっています」

Q)日本の半導体の強みはどこにあるのでしょうか?

【岡三にいがた証券 橋本貢浩エクイティ情報部長】
「台湾のTSMCが熊本に工場をつくりましたが、それだけで半導体全てが完成するわけではなく、半導体にはいくつものたくさんの工程が必要なので、それに関連する日本企業が熊本の近くや九州にいま工場を建設しています。確かにメモリーやディーラムはバブル期からすると大きく衰退していますが、一方で半導体の素材や製造装置のところは日本は強い分野になっているので、もう一回半導体の製造拠点をつくることで、これからさらに伸びてくると思います」

■株価上昇は続くか?

では、株価の上昇はどれくらいの期間続くと考えられるのでしょうか。
ポイントの一つに「海外環境の変化の波」がありましたが、ことしはアメリカで大統領選が行われます。気になるあの人が再選した場合、影響はないのでしょうか。

【岡三にいがた証券 橋本貢浩エクイティ情報部長】
「トランプ前大統領は、アメリカという国を第一に考えているので、やはりアメリカ中心の制度ができたり、いまEVの流れですがハイブリットとかガソリン車に戻るような変化はあると思います」
「ただアメリカとしては中国を意識していて、覇権をアメリカに保持したい、そのためには中国の成長をこれ以上加速させないようにする必要があります。そのために日本の力も必要になるので、日本企業にとっては一部でもしかしたら影響が出てくるかもしれないが、全体で見たらアメリカは日本をサポート・支援する方向だと思います」

Q)今後については?
「いまようやく30年以上にも及ぶデフレからインフレに変わろうとしていて、そこで大きな変化が生まれてきています。いまちょうど変化が始まったところなので、5年10年は続いていくとみています」

Q)では、ほかに考えられるリスクはあるのでしょうか?

【岡三にいがた証券 橋本貢浩エクイティ情報部長】
「日本株上昇の大きな立役者、つまり誰が買ってきたかというところについては海外投資家が中心になっています。海外から見たらまだ割安な面と、日本企業の変化を先取りして買っているところだと思います。この海外の投資家が離れていくリスクはあり、例えば賃上げのところで、大企業から地方や中小企業に賃上げの波が波及せず、大企業で終わってしまった場合は、賃金と物価の好循環が生まれなかったということになり、また少し見立ては変わってくると思います」

Q)最後に、今回の出来事を受けて「株」や「投資」に興味を持った人もいると思いますが、その人に何を伝えたいですか?

【岡三にいがた証券 橋本貢浩エクイティ情報部長】
「これからインフレ経済になっていくと、お金の価値はどんどん減少していくことになるので、いまある資産をインフレに強い資産に移していくことを考えなければならない時代になっているのかなと思います」

(2024年3月5日放送「新潟一番」県内ニュースより)