「言葉の暴力…」悪質“カスハラ”…現場のリアルな声 働く人を守るには?【バンキシャ!】
客から著しい迷惑行為を受ける「カスタマーハラスメント」、いわゆる“カスハラ”。厚生労働省は17日、過去3年間で従業員から相談を受けた企業が約28%に上ったことを明らかにしました。こうした中、バンキシャ!は、飲食業、運送業で“カスハラ”を受けた3人を取材。追い込まれる現場の実態とは──。(真相報道バンキシャ!)
◇◇◇
ある温泉旅館の防犯カメラの映像には、チェックインができる30分前、客が2人入ってきたところが映されていた。
男性
「変だよお宅の旅館は!」
女性
「謝ってきたって私たちが悪いんだったら」
男性
「ちょっと社長呼んでくれる!」
この旅館では、館内の消毒を行うため、チェックインまでは車で待つよう案内している。
それに客が激怒。口調はさらに強まる──。
男性
「冗談じゃないよ!旅館じゃないよ!」
「申し訳ないじゃねえ、ばかやろう!謝るんだったら“土下座”…」
18日、バンキシャ!は、栃木県那須塩原市の温泉旅館「湯守田中屋」へ。当時、約30分にわたって対応にあたったという田中佑治専務は、「謝罪も常にしていました。これ以上なすすべがない。私が最終的に土下座をする選択をしました」と話した。
湯守田中屋・田中佑治専務
「暴力的な言葉も多々あって、恐怖を感じました」
◇◇◇
客が悪質なクレームなどを行うカスタマーハラスメント、いわゆる“カスハラ”。厚労省は17日、新たな調査結果を発表した。過去3年間で「従業員から“カスハラ”に関する相談を受けた」企業の割合が、約28%に上ったという。
バンキシャ!は、接客の現場で働く3人を取材。語られたカスハラの実態とは──。
集まってもらったのは、運送業の2人とラーメン店の店主。それぞれどんなカスハラにあっているのか。
──飲食店は、いろいろなお客さんがいますが、いかがでしょうか?
ラーメン店店主(41)
「他の店で受けたサービス、たとえば“ニンニクが無料で卓上に置いてあります”とか。うちにはおいてないんですね。『なんでニンニクくらい無料で出せない!』と怒鳴られてしまった」
また、コロナ禍には…。
ラーメン店店主(41)
「(お客さんに)『マスクつけてください』と言わなきゃいけなかった。それに腹を立てたのか、シンクを蹴り飛ばされた。水道管も配管も割れて、入れ替えに50万円くらいかかった」
「なんでここまでされなきゃいけないんだっていう。悲しさですよね、怒りを通り越した」
一方、運送業界の“カスハラ”は…。
運送業(28)
「倉庫に戻って、『これで今日の仕事終わり』っていう時に、お客様から電話がかかってきた。『お風呂に入ってたからインターホンに気づかなかった』『持ってきてくれ』と。『業務終了しているので、お伺いできません』と説明したけど、温度感が高くなってしまって『なんで来られないんだ!』と。自分の退勤時間を延ばして、倉庫からお客様のお宅に向かった。『持ってきました』と言ったら、『来られるなら最初から持ってこいよ』と」
──指定の時間に持って来いということで、“カスハラ”に発展した例は?
運送業(41)
「何十回もあります。1回や2回じゃないです」
「午前中の指定は一般的に午前8時~12時だと思うんですけど、『午前8時1分に持って来い』とか。ピンポイントで届けないと怒る方はたくさんいます」
では、こうした“カスハラ”は、現場にどんな影響を及ぼしているのか──。
運送業(41)
「“カスハラ”の対応をすることで、時間も奪われるし、その分(配達の)数が減るので、給料も減っちゃうし、メンタルがどうしても落ちてしまう」
「“カスハラ”の言葉の暴力は、すごい(影響が)大きい」
運送業(28)
「ドライバーの退職につながる。ただでさえ人手不足の業界なので、ドライバーの離職につながるのは残念」
ラーメン店でも。
ラーメン店店主(41)
「僕が厨房(ちゅうぼう)で作っている以上、最初にクレーマーに相対するのはスタッフ」
「今後続けていく自信がないって。特に女性スタッフは『辞めたいです』という相談受けることもあります」
◇◇◇
では、働く人を守るには一体どうしたらいいのか──。
客が悪質なクレームなどを行う、カスタマーハラスメント。“カスハラ”を受けたという温泉旅館「湯守田中屋」ではその後、「新たな対策」を始めていた。
見せてくれたのは旅館のホームページだ。そこには、「宿泊拒否できるケース」として、“土下座などによる謝罪の要求を繰り返した場合”など、6つの具体例があげられていた。法律が改正され、去年12月から“迷惑客”の宿泊を拒否できるようになったのを機に、明記したという。
湯守田中屋・田中佑治専務
「お客様に安心して泊まっていただくこと、スタッフも安心して働いてもらうことが一番」
「スタッフが、ひとりでも安心して働けるように、今後も取り組みを続けていこうと思います」
こうした中、自民党は16日、"カスハラ"から労働者を守るため、事業主に対応を義務づける法整備を求める提言を岸田首相に提出しました。
岸田首相は、「重く受け止める。政府の対策に生かしたい」と述べたということです。
(5月19日放送『真相報道バンキシャ!』より)
◇◇◇
ある温泉旅館の防犯カメラの映像には、チェックインができる30分前、客が2人入ってきたところが映されていた。
男性
「変だよお宅の旅館は!」
女性
「謝ってきたって私たちが悪いんだったら」
男性
「ちょっと社長呼んでくれる!」
この旅館では、館内の消毒を行うため、チェックインまでは車で待つよう案内している。
それに客が激怒。口調はさらに強まる──。
男性
「冗談じゃないよ!旅館じゃないよ!」
「申し訳ないじゃねえ、ばかやろう!謝るんだったら“土下座”…」
18日、バンキシャ!は、栃木県那須塩原市の温泉旅館「湯守田中屋」へ。当時、約30分にわたって対応にあたったという田中佑治専務は、「謝罪も常にしていました。これ以上なすすべがない。私が最終的に土下座をする選択をしました」と話した。
湯守田中屋・田中佑治専務
「暴力的な言葉も多々あって、恐怖を感じました」
◇◇◇
客が悪質なクレームなどを行うカスタマーハラスメント、いわゆる“カスハラ”。厚労省は17日、新たな調査結果を発表した。過去3年間で「従業員から“カスハラ”に関する相談を受けた」企業の割合が、約28%に上ったという。
バンキシャ!は、接客の現場で働く3人を取材。語られたカスハラの実態とは──。
集まってもらったのは、運送業の2人とラーメン店の店主。それぞれどんなカスハラにあっているのか。
──飲食店は、いろいろなお客さんがいますが、いかがでしょうか?
ラーメン店店主(41)
「他の店で受けたサービス、たとえば“ニンニクが無料で卓上に置いてあります”とか。うちにはおいてないんですね。『なんでニンニクくらい無料で出せない!』と怒鳴られてしまった」
また、コロナ禍には…。
ラーメン店店主(41)
「(お客さんに)『マスクつけてください』と言わなきゃいけなかった。それに腹を立てたのか、シンクを蹴り飛ばされた。水道管も配管も割れて、入れ替えに50万円くらいかかった」
「なんでここまでされなきゃいけないんだっていう。悲しさですよね、怒りを通り越した」
一方、運送業界の“カスハラ”は…。
運送業(28)
「倉庫に戻って、『これで今日の仕事終わり』っていう時に、お客様から電話がかかってきた。『お風呂に入ってたからインターホンに気づかなかった』『持ってきてくれ』と。『業務終了しているので、お伺いできません』と説明したけど、温度感が高くなってしまって『なんで来られないんだ!』と。自分の退勤時間を延ばして、倉庫からお客様のお宅に向かった。『持ってきました』と言ったら、『来られるなら最初から持ってこいよ』と」
──指定の時間に持って来いということで、“カスハラ”に発展した例は?
運送業(41)
「何十回もあります。1回や2回じゃないです」
「午前中の指定は一般的に午前8時~12時だと思うんですけど、『午前8時1分に持って来い』とか。ピンポイントで届けないと怒る方はたくさんいます」
では、こうした“カスハラ”は、現場にどんな影響を及ぼしているのか──。
運送業(41)
「“カスハラ”の対応をすることで、時間も奪われるし、その分(配達の)数が減るので、給料も減っちゃうし、メンタルがどうしても落ちてしまう」
「“カスハラ”の言葉の暴力は、すごい(影響が)大きい」
運送業(28)
「ドライバーの退職につながる。ただでさえ人手不足の業界なので、ドライバーの離職につながるのは残念」
ラーメン店でも。
ラーメン店店主(41)
「僕が厨房(ちゅうぼう)で作っている以上、最初にクレーマーに相対するのはスタッフ」
「今後続けていく自信がないって。特に女性スタッフは『辞めたいです』という相談受けることもあります」
◇◇◇
では、働く人を守るには一体どうしたらいいのか──。
客が悪質なクレームなどを行う、カスタマーハラスメント。“カスハラ”を受けたという温泉旅館「湯守田中屋」ではその後、「新たな対策」を始めていた。
見せてくれたのは旅館のホームページだ。そこには、「宿泊拒否できるケース」として、“土下座などによる謝罪の要求を繰り返した場合”など、6つの具体例があげられていた。法律が改正され、去年12月から“迷惑客”の宿泊を拒否できるようになったのを機に、明記したという。
湯守田中屋・田中佑治専務
「お客様に安心して泊まっていただくこと、スタッフも安心して働いてもらうことが一番」
「スタッフが、ひとりでも安心して働けるように、今後も取り組みを続けていこうと思います」
こうした中、自民党は16日、"カスハラ"から労働者を守るため、事業主に対応を義務づける法整備を求める提言を岸田首相に提出しました。
岸田首相は、「重く受け止める。政府の対策に生かしたい」と述べたということです。
(5月19日放送『真相報道バンキシャ!』より)