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【特集】伝統の祭り“シャングシャング馬” 役目を終えても輝ける場を 復活させた元ジョッキー 馬を通して伝えたいこと 《新潟》

2024年5月4日 17:03
【特集】伝統の祭り“シャングシャング馬” 役目を終えても輝ける場を 復活させた元ジョッキー 馬を通して伝えたいこと 《新潟》

4月に行われた胎内市の伝統の祭り“シャングシャング馬”。
人馬一体となった馬の駆け上がりが多くの観客を沸かせました。
一度は途絶えていた、この祭り。
元ジョッキーの男性が復活させことしで10年目を迎えました。
馬を通して伝えたいメッセージとは……。

■五穀豊穣を願う伝統の祭り

馬のいななきと賑やかな声が山里に春を告げます。
胎内市伝統の祭り「シャングシャング馬」。

かつて馬を農業に使っていた下赤谷集落……。
300年以上前からこの祭りを行い五穀豊穣を願ってきました。

馬頭観音がまつられている鳥坂神社の社殿を目指して馬たちが一気に駆け上がります。

一度は途絶えていたこの祭り……。元ジョッキーの松原正文さんが復活させました。

■牧場には元競走馬のサラブレッドも

ことしで、10年目を迎えます。

<松原正文さん>
「どんどん続くには馬の余生を過ごす養老牧場がもっとできればいいのかな」

Q)すごく分厚い爪ですね
<松原正文さん>
「冬に伸びてるから」
「普通は装蹄師に頼むが新潟はいない、自分で切る」

松原さんは、胎内市で牧場を運営しています。
暮らしているのはおよそ15頭の馬……。

中には競走馬として活躍したサラブレッドも……。

■引退した馬が余生を過ごす「養老牧場」

ここは引退した馬が余生を過ごすための養老牧場です。

<娘・彩花さん>
「仕事休みの日にリフレッシュしに来ます」

この日、馬の世話をしていたのは娘の彩花さん。

この1週間後に開かれる「シャングシャング馬」で駆け上がりに挑戦するといいます。


■祭りの準備を高校生が

その舞台となるのが鳥坂神社。
祭りの準備が進められていました。

手伝っていたのは新発田市にある新発田農業高校の生徒たち……。
境内に撒いていたのは、“もみがら”です。
馬がケガをしないように毎年 祭りの数日前に行っているといいます。

<生徒>
「あまり触れあわない動物だったので、ちょっと怖かった、今はかわいいなと思って世話しています」

■学校で馬を飼育する高校生

新発田農業では学校で馬を飼っています。
名前は“カステラ”……。

去年の祭りでは生徒が手綱を引き坂を駆け上がりました。
ことしも参加するといいます。

<生徒たち>
「躍動感がすごくて」
「走り切れるのかなと緊張しています」

「最後までやり切りたいです」

<松原正文さん>
「過去があるから今があるというのを子どもらに教えたい」
「みなさんの脳裏にちょっとでも焼き付いていればいい、親になって自分の子どもにこういうのを伝えられれば」

■馬たちが駆け上がる「シャングシャング馬」

4月18日に開かれた「シャングシャング馬」。

鞍に装飾された鈴の音からその名が付けられました。

ことしも馬たちの駆け上がりが始まります。
新発田農業の生徒は、馬についていけず転んでしまいました。

<高校生>
「思ったよりスピード速くて転んじゃった」
Q)思い出に残りました?
「残りました、すごい!」


松原さんの娘・彩花さんの姿もありました。
<娘・彩花さん>
「楽しみです。ちょっと緊張もありますけど。馬と一体となって一緒にがんばりたいです」

社殿の頂上まで一気に登り切りました。

<娘・彩花さん>
「馬と楽しく乗れたのでよかったです」
Q)後ろ姿、お父さんっぽい感じでしたよ
「本当ですか、うれしい」

馬の勇壮な姿……。静かな集落に歓声が響きます。

<鳥坂神社・威本正之 宮司>
「こうやって子どもたちが来てくれたり、地域の人たちが協力してくれてるんで」
「神事自体はやっていた毎年、お祭りはやっていたけどごく一部の人しか来ない、こうやって松原さんがぜひともやりたいと、最初はどうなんだと思っていた、 年々人が来てくれるし、非常にありがたい」

■引退馬は殺処分されることも

競馬で活躍した引退馬は殺処分されることも少なくありません……。
松原さんの牧場には、馬にふれあいに来る人も多くいます。中には馬に乗る年配者の姿も。

Q)みなさん楽しんでいますけど……
<松原正文さん>
「いいんじゃないの、楽しいことは長生きの秘訣」
「やっぱり高齢者を笑顔にしてあげないと、それが一番、地域に溶け込まないと自分さえよければいい世の中じゃだめなんだ」


生きていれば、きっと誰かの役に立てる……。そして、誰かを支えられる……。