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【特集】能登半島地震から2か月 石川県穴水町の酒店が新潟県長岡市の祭りに参加 被災地同士の絆で復興へ寄り添う 《新潟》

2024年3月1日 21:00
【特集】能登半島地震から2か月 石川県穴水町の酒店が新潟県長岡市の祭りに参加 被災地同士の絆で復興へ寄り添う 《新潟》
能登半島地震の発生から2か月を迎えます。
被災した石川県穴水町の酒店が2月、長岡市のイベントに屋台を出しました。被災した直後にもかかわらず長岡に駆けつけた理由。そこには被災地同士の交流がありました。

■穴水町から長岡市へ

どんなにつらくてもまちの人に会うと明るい笑顔が戻ります。
七海友也さん・59歳。石川県穴水町で酒店を営みながら各地のイベントで屋台を出しています。

■参加したのは長岡市で開かれた冬まつり

2月24日、参加したのは長岡市・旧川口町で開かれた冬まつり・・・。
地震で被災しながらも特別な思いを抱いて石川からやってきました。

<穴水町・七海友也さん>
「相変わらず川口の人たちは温かいなっていう思いがあります」

元日の能登半島地震。石川県は最大震度7を観測し、建物の倒壊が相次ぐなど甚大な被害を受けました。発生から2か月が経とうとする今も多くの人が避難生活を強いられています。

能登半島の中心部に位置する穴水町。七海さんはこの町に店を構え地酒などを販売してきました。

<穴水町・七海友也さん>
「本来能登の地酒の一升瓶がずらっとたくさん並んでいましたし、奥には4合瓶、小瓶などがたくさん並んでいたわけなんですが、8割9割が割れました」

震度は6強を観測。ほとんどの商品が床に落ちました。倉庫も見るに堪えない状況に。
七海さんはショックのあまりすぐには手が付けられなかったといいます。それでも・・・。

<穴水町・七海友也さん>
「川口町の方の協力を得て、足の踏み場もなかったから店内が何とか中を歩けるようになるまで回復しました」

地震の直後に旧川口町の人たちが駆け付けてくれたのです。穴水町と旧川口町は15年以上前から商店街同士の交流が続いていました。

■きっかけは「中越地震」

きっかけは、2004年の中越地震。
旧川口町は最大震度7を観測し、8割近くの住宅が半壊以上となるなど大きな被害を受けました。地震によって人口の減少は加速し商店の廃業も相次ぎました。

■商店街の賑わいを再び取り戻したい

商店街の賑わいを再び取り戻したい・・・。
有志が集まって始めたのが「ふれあい市」というイベントでした。

■穴水町に出向きイベントに参加

当時のメンバーの一人、中林浩さんです。

<中島屋酒店・中林浩さん>
「みんな第3日曜日休みだから、そのときに『ふれあい市』っていうような感じでもってやれば 大勢出てきてくれて楽しめるんじゃないかなっていうことで」

そうした中、2007年に能登半島で震度6強を観測する地震が起きます。
旧川口町の人たちは同じ境遇を味わった商店街を盛り上げようと穴水町に出向きイベントに参加するようになりました。

<中島屋酒店・中林浩さん>
「ボランティアっていうよりも、行ってその人たちと 会いたいっていうか、会って話がしたい。お互いこっちはこうだったけど、こうやってとかさ、こうやった方がいいんじゃないかとかっていうような感じでもって、そんな話をしたくて行ったと思います」

■お互いのイベントに参加

川口は穴水へ・・・穴水は川口へ・・・。
お互いのイベントに参加することでそれぞれの商店街の復活を目指してきました。

穴水町で酒店を営む七海さんも当時から交流を続けてきた一人。しかし、今回は以前の地震よりも大きな被害となりました。それでも旧川口町の人たちの支援を受け地震から4日後には店を再開することができました。店を開いたことでまちへの支援物資も届くようになりました。

<店に訪れた人>
「ここ(営業)されているってメールが入ってきたので3回目なんですけど、常に補充してくれているのですごく助かっています」

<穴水町・七海友也さん>
「地域の方に少しでもお役に立てればという思いで今も頑張っている次第です。この先の人口減や、まちの復興に 長期間を要することを考えると問題と不安しかないそんな感じです」

■「能登半島地震で頂いた支援に感謝」

2月24日。旧川口町で冬まつりが開かれました。

会場には屋台の設営にあたる七海さんの姿が・・・。コロナ禍の前には毎年、出店していたこのイベント。日常が戻らない中でも参加する理由がありました。

<穴水町・七海友也さん>
「今日はできるだけ多くのこの地域の方と顔を合わせて皆さん能登半島地震で頂いた支援に対する感謝を述べたいと思います」

■5年ぶりに屋台で

七海さんが出店すると聞き中林さんも会場にかけつけました。

このイベントに七海さんが屋台を出すのは5年ぶり。穴水産の焼き牡蠣が人気を集めていました。

<カキを食べた人>
「すごく大きくてぷりぷりしていておいしいです」

七海さんはうまみが詰まったカキを提供しながら訪れた人に能登の状況を伝えます。

屋台には地震を乗り越えた地酒も・・・。
能登の酒蔵の中にはことしの酒造りを諦めたところもあるといいます。

<穴水町・七海友也さん>
「次いつ手に入るのか今のところ全く見通しが立ってない状況なんですけど、お店に奇跡的に割れなかったものを持ってくることで、そういった状況を知っていただく一つのきっかけになればなと思っています」

■地域の復興に関わる

七海さんの屋台の隣で生ハムを販売する春日惇也さん。山形県出身ですが中越地震のあと、旧川口町で地域の復興に携わってきました。
七海さんとは当時から交流があり、元日の地震直後、穴水町へ駆け付けました。

<みんなのハム・春日惇也さん>
「本当にきょう来てくれて何より嬉しいですし、隣でさせてもらえるので一緒に能登の魅力も自分もお伝えさせてもらえたらなと思います」。

■フィナーレの花火

七海さんの屋台は暗くなっても列は途切れませんでした。まつりもいよいよフィナーレ。締めくくるように花火が打ち上げられました。

■被災地同士の交流

<穴水町・七海友也さん>
「震災の現地同士の交流は非常に大きな助けになるし、この輪は広めていくことが大事かなと思っています。急には明るい未来を描くことは今はできません。でもこういうことの積み重ねで 一歩ずつ前を向いていけるのかなと思うので、きょうはいい日になりました」

長年育んできた被災地どうしの絆・・・。
同じ境遇を味わった仲間たちが能登の復興に寄り添います。

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