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【特集】災害時どうする? "障がい者の避難” 国指定の難病「ALS」患者 人工呼吸器は生命線 電源は? 避難先は? 対応を迫られる福祉施設や当事者たち《新潟》

2023年12月24日 10:01
【特集】災害時どうする? "障がい者の避難” 国指定の難病「ALS」患者 人工呼吸器は生命線 電源は? 避難先は? 対応を迫られる福祉施設や当事者たち《新潟》

地震や豪雨などが発生した際、避難したくてもできない人がいます。
重い障がいのある人たちです。

中には「迷惑がかかる」として避難をためらう人も・・・。県内で毎年のように起きる自然災害。当事者や福祉施設が対応を迫られています。

◆災害が発生したときの対策を

どのようにベッドから起きて、外へ出る準備をするのか。行政の職員や福祉施設のスタッフに見てもらいました。

長岡市に住む夫婦、桜沢信樹さんと利恵さんです。
夫の信樹さんは、国指定の難病「ALS」を患っています。意思を伝えるには、まぶたや瞳の動きで合図をする必要があります。

〈妻・利恵さん〉
「枕を入れるのですが、枕を定位置に置いて動かないようにしています。目を見ててもらうと分かるのですが、良いところでばちっと合図をしてくれます。意思を伝える手段は、まぶたや瞳の動き」

桜沢さん夫婦は自分たちの生活を知ってもらい、災害が起こった際の対策を一緒に考えたいと「研修会」を企画しました。

〈桜沢信樹さん(機械の音声)〉
「天気予報を見るのは日課です」
「最近の災害の多さに危機感を覚えてやってみたいと思いました」


◆災害への不安 

信樹さんは5年前、全身の筋肉が衰えていく国指定の難病「ALS」の診断を受けました。
目の動きによる「視線入力」を使い、夫婦はパソコンを通じて話します。

〈桜沢信樹さん(機械の音声)〉
「大好きですよ(笑))」

2人で一軒家に暮らしていますが、不安に感じているのが、「自然災害」です。

◆停電すれば人口呼吸器の電源が入らなくなる

去年夏、村上市や関川村など県の北部では記録的な豪雨が発生。
冬には桜沢さん夫婦が住む長岡市で交通網がマヒするほどの大雪になりました。

災害で停電が長期化すれば、信樹さんの人工呼吸器も電源が入らなくなります。
外出する際には常にモバイルバッテリーを持ち歩きます。

〈妻・利恵さん〉
「(内臓バッテリーの)残りが、推定11時間30分。これをまず確認して、この時間内にどうするかを考える」

〈記者〉
「電源復旧がいつかわからない大災害の時は」

〈妻・利恵さん〉
「ね、どうしましょう・・・」

停電の情報はすぐにでも知りたいといいます。

〈妻・利恵さん〉
「停電したからといって(すぐに)避難準備しようとは思わない」

〈県職員〉
「停電が起こりました、この停電はしばらくかかりますという情報が、いつのタイミングでどういうふうに(分かるかというのが大事)」

〈妻・利恵さん〉
「そうなんです」

〈妻・利恵さん〉
「ひとつ皆さんに見ていただきたいものが。1回の外出に必要な荷物です」

〈県職員〉
「これは災害に関係なく…」

〈妻・利恵さん〉
「じゃなくて、これが通常」

避難の難しさ、電源を確保する重要性・・・。
夫婦の日常を通して、理解を深めるのが研修の狙いです。

〈妻・利恵さん〉
「現状を分かってもらったかな。(患者は)何気ないことができない。(災害が)起きてからではと思うので、今起きる前に考えてもらうチャンスかなと」

課題はほかにも・・・。

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