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DMAT医師が見た被災地の病院“最前線” 医師や看護師も「家に帰れない」 危機的な状況に 《新潟》

2024年1月19日 19:35
DMAT医師が見た被災地の病院“最前線” 医師や看護師も「家に帰れない」 危機的な状況に 《新潟》

今回の地震でも被災地で活動する医療チーム「DMAT」が新潟から派遣されています。最前線で医療支援を行った県内の医師が見た危機的な状況とは。話を聞きました。

〈新潟市民病院救急科 吉田暁医師〉
「病院自体の周りも一部陥落が見られたりという状況で、ここ救急車が入るところなんですけど、パイロンが置かれているように救急車が入れない」

こう話すのは新潟市民病院で救急医療に携わる吉田暁医師。

災害派遣医療チーム「DMAT」として1月4日から石川県の能登半島にある穴水町の病院に入りました。

これは吉田医師が実際に医療支援を行ったときの映像です。

〈新潟市民病院救急科 吉田暁医師〉
「診療で使う水がないので透析ができない、手術ができない、カテーテルができないということが起きています」

穴水町は断水が続いていて、現場は深刻な状況。

何ができて何ができないのか…常に判断が求められたといいます。

〈新潟市民病院救急科 吉田暁医師〉
「どの検査をするのか、治療はどこまでできるのか、ある程度限界を超えたら転院という形で半島外に送らざるをえないんですけど、それも送るまでに4時間5時間かかるという状況でした」

命と向き合う医療の現場。

しかし、ある現実も突きつけられたといいます。

〈新潟市民病院救急科 吉田暁医師〉
「現地の医療スタッフの方々が不眠不休で働いているんですけど、『(家に)帰らないんですか?』という話をうちのスタッフがしたら、『帰れないんです』という言葉が返ってきて。もう家がなくなっているとか足がない、車がないという状況で病院に残らざるをえない状況、病院に残ればやるべきことがいっぱいあるからやっていると話していて、少しでも力にならねばと感じました」

医療スタッフも被災者に…日を追うごとに濃くなる疲労と心労。現地の医師や看護師が交代で休めるように吉田医師は全国から集まった医師と協力してサポート体制を整えました。

患者にも影響が…

病院に行きたくても行けない、退院したくてもできないという状況が少なくなかったといいます。

〈新潟市民病院救急科 吉田暁医師〉
「患者さんは実は退院できる状態になっている方は複数いた。ただ家がないので帰れない。家族と連絡が取れないから迎えに来られないという形で病院に残らざるをえない方は複数いました」


地震から間もなく3週間。

石川県はより安全で医療も受けやすい2次避難所として約3万人分を確保していますが、1月19日時点で入ったのは1900人ほどにとどまっています。

〈新潟市民病院救急科 吉田暁医師〉
「健康だけの問題を考えたらより衣食住がしっかり整った場所へ移動していただいて、次のステップに進んでいただけたらという思いはあります。ただ一方で感情的な面でいままで慣れ親しんだコミュニティ、そして家を離れたくない気持ちも分かるので本当に難しいなと」

様々な葛藤を抱えながら目の前の命と向き合った吉田医師。

現在、新潟市民病院から第2陣のDMATが派遣されています。