【特集】「突然…首から下が動かない」新型コロナ後遺症の女子高校生 春の卒業が目標 そして いつか元のように…【長野・岡谷市】
新型コロナウイルスの感染をきっかけに県内で、その後遺症に悩む高校3年生の女子生徒がいます。突然、首から下が動かなくなってしまった彼女。この春の卒業を目標に頑張っています。
2024年元旦。今年は、諏訪地域からもはっきりと初日の出を拝むことができました。
年が明けてから28日目。青空が広がったこの日、家族一緒に神社へ向かいました。バリアフリーの神社を探してようやく見つけたのが、高校がある松本市の神社。今年は、ちょっと遅い初詣です。
岡谷市に住む山田博章さん一家。
長女の幸奈さんは首から下が自由に動きません。自分で手を合わせることもできなくなってしまいました。
母:笑子さん「いい?」「お願いしました?」
幸奈さん「早く、少しずつでも動けるようになりたいことを願いました」
幸奈さんは岡谷市に住む高校3年生。1日の大半をベッドの上で過ごしています。
幼いころから発達障害があった幸奈さん。穏やかな日常が一変したのはおととし9月7日。新型コロナウイルスに感染してからです。
40度近い高熱が続いて肺炎を併発し、病院に入院しました。感染直後から倦怠感や息苦しさ、味やにおいを感じなくなるなどの症状が現れ、姿勢を保つことさえ難しくなりました。
当時、病院の検査では異常が見つからず、県などにも相談しましたが、同じような症例は把握していないと言われたそうです。
幸奈さん
「(病院で)気の持ちようとか、甘えているとか、赤ちゃん返りしているとか、いっぱい言われてつらかったし、1年以上、動けないからもっとつらい(涙落ちる)」
そんな時、東京にいる専門医の存在を知り、リモート診察を受けることができました。診断結果は、COVID-19後遺症。つまり、新型コロナウイルスによる後遺症でした。
平畑先生
「全身になかなか力が入らないといった状況なので、症状としてはかなり重い方、たった1回コロナにかかっただけでそこまで(寝たきり)いってしまうこともある」
今は、新型コロナウイルスの検査をしても陰性。でも、体は元のように戻りません。
この日は、久しぶりの学校。普段はリモートで授業を受けていますが、月に3日ほどは登校しています。以前は、電車で通っていましたが、今は、母の送り迎えがなければ通えません。
母:笑子さん「いい?痛くない?」
幸奈さん「痛くない。大丈夫」
途中、何度も車を止めては、幸奈さんの体勢を整えて学校へ向かいます。
母:笑子さん
「こんなかたちだけど、ちゃんと学校生活として楽しみを持ってくれているので、それがはり合いですよね」
学校に到着すると、いつも担任の吉見先生と同級生たちが迎えに来てくれます。中には、福祉を学んでいる生徒もいて、幸奈さんを介助してくれます。
同級生「3・2・1 はい」
車いすでは3階にのぼれないため、階段は昇降機に乗りかえて移動します。首に力が入らない幸奈さんのために同級生が支えてくれてくれます。
3年1組の教室。入り口側の一番前が幸奈さんの席です。この日は、世界史の授業。幸奈さんは鉛筆を握ることもできないため、隣で母の笑子さんがノートをとります。以前は当たり前だった友達と一緒に受ける授業。今の幸奈さんにとっては貴重な時間です。
幸奈さん
「本当は毎日学校に行きたいけれど行けないから、リモートで頑張って、みんなと一緒に卒業するのが目標」
その目標をかなえるため、学校側も協力してくれています。登校できない日は、リモート授業や課題の提出などを行って単位を取得できるよう最大限サポートしてくれています。
担任の吉見繁憲先生
「幸奈の姿を見ていて、怠けているわけでもないですし、さぼっているわけでもないですし、コロナという病気にかかって急激に変化してしまった子で、毎日学校に来たいんだよ先生と伝えてくれているので、最大限のことはやってあげなくちゃいけないというのはある」
幸奈さんが新型コロナウイルスに感染してから家族はいろんなことを我慢してきました。旅行も…散歩も…普段何気ない日常が大きく変化しました。でも、いつか元のように動けるようになるから…
家族全員がそのことを信じて今を過ごしています。
幸奈さん
「私みたいに後遺症で悩んでいる人たちが周りのみんなからも理解されていったらいいなと思う」
この春、卒業。幸奈さんはまず、この目標を見据えて進んでいます。