【宇宙の謎解明へ】「アテルイⅢ」天文学専用の新スーパーコンピューター運用開始 天体現象をシミュレーション
宇宙の謎に迫る新たな力です。岩手県奥州市で2日、天文学専用の新しいスーパーコンピュータが、報道陣にお披露目されました。
国立天文台水沢VLBI観測所で2日から運用を開始した、天文学専用のスーパーコンピュータ・「アテルイⅢ」です。
1秒間におよそ2000兆回という計算能力により、コンピュータの中に宇宙を再現して実験する、「シミュレーション天文学」の分野で利用されるものです。
アテルイⅢは、ことし8月まで運用されていた「アテルイⅡ」の後継機で、データ通信の速さ、メモリ容量の大きさ、という特長の異なる2つの計算システムを使い分け、天体現象をシミュレーションします。
望遠鏡による観測が、天体現象の実像を瞬間で捉えるのに対し、シミュレーションでは、時間の経過とともに何が起きているかを数字で明らかにします。
国立天文台水沢VLBI観測所 本間希樹 所長
「天文学の両輪として観測だけではなく計算する天文学にも改めて興味を持ち応援してもらうきっかけになればと思う。観測の結果と理論の予想とを比較することなしに科学は進歩しないので、そういうところでのアテルイⅢの成果にとても期待している」
電気代など年間の運用費だけでおよそ3億5000万円というこの「アテルイⅢ」、審査を通った国内外の研究者が無料で利用することができ、2031年の3月末まで運用される予定です。